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タキオン・リベリオン~歴史に刻まれる王国反乱物語~  作者: いちにょん
王国反乱編 第四章 師匠
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episode72 約束

誤字脱字報告、ブックマーク、感想、レビュー、文章ストーリー評価等いただけると幸いです。

 魔人騒動や、優勝者不在などといった不測の事態もあったが、【覇王祭】も、七日間が過ぎ、無事に終了した。


「今日の宴の費用は全て【リベリオン】が負担する!皆、大いに楽しんでくれ!」


 レオが、都市全体に響くように魔術を利用して叫ぶ。

 何を食っても、リベリオンの奢りだと言うことで、住民から、参加者まで大いに盛り上がる。


「くぅ!!こうなったら私も普段我慢していた高級料理を食べ尽くしますよぉぉぉ!!!今更、高級料理食べたところで誤差です!誤差!」


 泣きながら、貴族が食べるような高級料理を手当り次第に食い散らかすヒカル。


「あ、あの、レオ…くん……」


 ジュースの入ったグラスを持ち、この都市のお偉い様方に挨拶をしていたレオに、不意に声がかかる。


「見かけない顔の…いや、フォルス様?」


 幼い、少し間の抜けた声が、下からかかったレオは、下を向くと、まず視界に入ったのが、半月を描くアホ毛。

 そのまま下に視線を向けていくと、淡い紫色の髪に、少し眠そうにとろけた瞳。

 カーリは見慣れているが、レオの知っているフォルスは、小さくともキリリとした雰囲気のフォルスなので、一瞬判断が付かなかったようだ。


「う、うん…フォルスはフォルスだよ…うん、恥ずかしい感じ…」


 頬を染め、チラチラとレオを見ては、自分で恥ずかしがって視線を逸らし、キャーキャー小声で喜ぶフォルス。


「それで、何か御用でしょうか?」


 生まれつき、神を崇めるという習慣の無い王国で育ったレオ。

 一応、立場は上ということもあり、敬語を使っているも、レオも神と話すのは初めてで、どう言った対応をしていいか分からず、少し戸惑った様子のレオ。


「あの…その…えっーとね……祝勝会一緒に回らないかな…?うん、言っちゃった感じ…」

「はぁ…挨拶回りも済みましたし、私で良ければ是非。」

「ほ、ほんと!?うん、嬉しい感じ!!」


 突然の上級神の申し出に、「何故?」という気持ち大半のレオだが、特に断る理由も無く、フォルスの申し出を了承するレオ。


「「「「「!?!?」」」」」


 その瞬間、レオの周りで驚く気配が多数。

 互いに牽制しあっていたライバル(恋敵)達だったが、完全にフォルスに出し抜かれてしまった。


「レオ…くんは、どこか行きたいとこあるかな?うん、合わせる感じ…」

「そうですね、では、知人がオススメしていたフルーツジュースのお店などいかがでしょうか。ここでしか取れない『ナナバ』というフルーツが体にいいと聞いて、興味がありまして。」

「そこにしようか…うん、賛成な感じ」

「では行きましょう。」

「あの…手を……うん、お願いする感じ」

「手?あぁ、はい。」


 早速店に行こうとするレオの手をギュッと握りしめるフォルス。

 耳どころか、アホ毛まで真っ赤になっているのではと思えるほど照れており、憧れのレオと直接話せた喜びで、積極的になっているのだろう。


 レオもレオで、上級神がまさか自分に惚れているとは思っておらず、ノーガードだ。

 更に、レオは、フォルスが、ミラやシムルと身長が変わらないくらいのため、この人混みだとはぐれる可能性があり、上級神に何かあっては失礼に値するのでは?という別の深読みを始め、フォルスの手を握り返すレオ。


「あ、ありがとう…うん、照れくさい感じ」

「そうですね。私も人と手を繋いで歩くなんて初めてなので、少し照れくさいです。」

「は、は、初めて!?」

「はい。幼少から稽古、修行、訓練の毎日でしたから。」

「そ、そうなんだ…うん、驚きな感じ」


 無自覚天然たらしのレオ。別に鈍感という訳ではなく、相手が相手なので、一切発言を気にしていないゆえの結果だ。


 その後も、フォルスが羞恥心で耐えられなくなるまで、小鐘三つほどデートは続いた。


 その後も、祝勝会は、かなりのカオスを極めた。


 次は私の番だと言わんばかりにレオを連れ去ったヴィデレ。

 それを奪還しようと、どこからともなく現れた『ツンデレオ様を愛する会』の方々に救出されたと思ったら、ウムブラに連れ去られるという無限ループ。


 宿屋に付いたらついたらで、片腕を骨折したミラに泣きつかれ、なくなくお姫様だっこをしてベッドへと運ぶと、それを見ていたシムルとロゼの奥手コンビに「私にもしてください」という目を向けられ、断りきれずに、お姫様だっこを二人にもしたレオ。


 やっと寝れると思い、ベッドへと入ったレオを待ち構えていたのは、ニーツ(ラスボス)

 「ご褒美の約束を果たしてもらいます。」と言われ、要求されたのが、膝枕をさせてくれという普通逆なのでは?と思うような要求が出され、それくらいなら…と承認したレオだったが、翌日の夕方まで開放されず、リベリオンへ帰る予定が大いに狂い、頭を悩ませることに。


 こうして【覇王祭】は本当に幕を引き、無事とは言い難いが、確かな成長と、目標をリベリオンに与えてくれ、周りにもいい刺激になっただろう。



 そして、【覇王祭】から約一年後。


「いらっしゃいませ~、あれ、総督様…?」

「邪魔するぞ。」

「お一人で?」

「いや、連れが先に来ている。」


 レオが訪れたのは、リベリオン内にある酒場の一つ『風車亭』。

 普段、こういった場所には視察以外では訪れないレオ。看板娘も、驚きを隠せていない。


「あぁ、こちらになります」


 連れと言われてすぐに察したような看板娘。

 カウンターの前へと案内される。


「店主、俺とコイツに一杯ずつ。」

「あいよっ」

「レオ…」

「酒場に来て飲まないとは、何しに来たと言いたいな。」


 カウンターに着くなり、店主に注文をするレオ。

 隣には、看板娘程ではないが、驚いた様子のカーリがいた。


「悪いね総督様、安酒しか無くて」

「たまに飲む分には充分だ…っと言っても、酒を飲むのは初めてだがな。」

「いいのか?」

「何がだ。」

「ほら、年齢的にも」


 今日はカーリの十五歳の誕生日。

 ようやく酒が飲める年齢になったのだ。

 レオは、ここにカーリが絶対来ると知っていていたため、連れを装い、カーリに会いに来たのだ。

 なぜならここは、カーリがビスティアと十五歳になった時、酒を一緒に飲もうと約束した場所だからだ。


 そして、レオは誕生日が、カーリよりも遅生まれ。

 まだ飲んではいけない年齢だ


「馬鹿か貴様は。それは王国の法であって、ここは王国と敵対するリベリオンだ。王国の法なんぞ、関係ない。」

「でも…いや、ありがとな」

「ふん…。」


 普段、レオはこういった屁理屈のようなことはあまり言わない。

 王国を変えようとする者だからこそ、王国の法に則り、変える。そんな考えのレオ。

 だが、今、それを言った。

 何のために?などと野暮なことは言うまい。カーリはそれを察し、素直にお礼を述べる。


「貴様の師匠の代理だ。今日は潰れるまで付き合ってやる。」

「飲み比べだな、負けないぞ」

「はっ、俺は全てにおいて完璧だ。酒なんぞで潰れるものか。」


 こうして、憎まれ口を叩き、最後は笑って乾杯を交わすレオとカーリ。


「師匠とは飲めませんでしたけど、代わりに、いいライバルと飲むことが出来ました…」

「おい、俺はもう三杯目だぞ?」

「なっ!?おっちゃん、もう一杯!」

「あいよ!」


 レオとカーリの飲み比べは続き、『風車亭』には、朝まで賑やかな声が絶えなかった。

4章これにて完結。

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