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タキオン・リベリオン~歴史に刻まれる王国反乱物語~  作者: いちにょん
王国反乱編 第四章 師匠
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episode54 第二ブロック予選

誤字脱字報告、ブックマーク、感想、レビュー、文章ストーリー評価等いただけると幸いです。

「まぁ、ニーツ姉さんと、ヒカル(クソ野郎)は問題無いだろう。番号も被って無いしな。他の【兵科】の連中次第と言ったところか。」


 ブロック分けを見ながら一人静かに観客席の後ろの空いている席へ腰を降ろしていたレオ。

 【覇王祭】もまだ初日、皆が楽しみにしているのは、各ブロックから四名の代表が選ばれてからのトーナメントだろう。人は多いが、満席には程遠かった。


「お姉ちゃん頑張ります」

「ニーツ姉さん、もうすぐ受付終わります。応援はしますから、安心してください。」


 そして、いつの間にかレオの隣で無表情のまま両手に握り拳を作り、意気込んでいるニーツ。

 呆れ果てながら、あと数分もせずに終わってしまう受付に、ニーツを向かわせるレオ。


「本当ですか?」

「はいはい、本当です。」

「勝ったらご褒美くれますか?」

「はいはい、できる範囲ならしますから。」

「では、本気を出します。」

「…え?」


 しつこく問い詰めるニーツに、時間が無いので適当に返すレオ。

 レオが止め暇無く爆弾発言を置いて、ステージに向かったニーツ。


「…死者が出ないことを祈るか。」



『それでは、始めてください』


 そして始まってしまった、ニーツの出る第二ブロック第三試合。

 これは試合では無く、死合と言った方が的確だほうか。


 開始直後に、ステージの真ん中で絶叫が響く。


「【強化(スカンデレ)】、【強化】、【強化】、【強化】、【強化】」

「うわぁぁぁぁぁぁ!!!」

「助けてくれぇぇぇ!!」

「死にたくねぇ、おっかちゃーん!!」

「レオきゅんの応援…レオきゅんが応援してくれている…【強化】」


 【他強化】の属性にあたる、他者の身体能力を一時的に上げる【強化】の魔術を自分に使い、一回り大きい屈強な男達を素手でステージの場外へと投げ飛ばしていく。


「おい、あれって…」

「間違いねえ、あのハイライトの薄い瞳、戦っていても一切動かない表情、馬鹿げた魔術の使い方…『前衛の後衛』ニーツ=ロールスだ!!」

「子供を誘拐して金儲けしていた山賊、『ブンブクチャガーマ』を壊滅させたあの、『前衛の後衛』か!」


 何やっているんだ姉さん。という気持ちと、説明している暇があるなら逃げたらどうだ。という気持ちを口に出すのを抑えながらステージ上で無双していくニーツを見つめるレオ。


「【強化】、【強化】、【強化】」


 レオに応援されているという事で内心、天に昇るような気持ちのニーツの【強化】は止まらない。


 人形のように整った顔立ち、青白い長髪を揺らし、ハイライトの薄い瞳で標的を捉え、圧倒的なパワーで参加者を蹂躙していくニーツに会場のボルテージは更に上がる。


「【ギアス】と【魔闘気】だけで戦ったら、多分負けるか…。ナーブスや、カーリよりも一撃の重さは、上だろうな。」


 ステージに残る参加者が一桁を下回ったことで、レオはもう終わりだろうと腰を上げて、観客席を後にする。


「売り切れる前に行かないとな。」


 【覇王祭】ということもあり、多くの出店が立ち並ぶ中で、レオがどうしても買いたいものが一つだけあった。

 『限定百食 卵焼きパフェ~クリーム&卵ましまし~』。それがレオが狙っているものだ。

 シムルからは微妙な顔で「最終日でも買えると…思います…」と言われたが、そうは思えないレオは足早に出店へと向かった。



 そしてやってきたヒカルの出番。

 ロゼと同じローブを深く被ったヒカルが、ステージに登るのを見て、レオは鼻で笑う。


「どうかしたんですか?」

「それはこっちのセリフだ。」


 レオの隣にちょこんと座り、静かに見ていたシムル。

 だが、全身を見る限り、相当満喫しているようだ。


 まず始めに、どこから持ってきたのかと問い詰めたくなるような、ゴシックロリータファッション…ゴスロリ風の黒いワンピースに身を包んでいるシムル。


「学園長先生が、これでレオくんを悩殺だ☆って買ってくれました」

「あのバカ…。」


 そして、シムルの足元には、出店で買ってきたであろう多くの食べ物や、雑貨に加え、他にも遊技系の屋台で取ってきたであろう商品が山積みされている。


「歩いてたらいっぱい貰いました、えへへ」

「…それでいいのか。」


 嬉しそうに頬を緩ませるシムルを見て溜息をこぼすレオ。

 レオは、現実逃避も兼ねて、ステージでの試合に集中することにした。


『それでは、始めてください…えっ…』


 開始のアナウンスがステージに響いた瞬間、全ての参加者が宙を舞い、当然の出来事にアナウンスも素っ頓狂な声をあげる。


「おや、力加減を間違えましたかね」


 軽い口調で、ステージの真ん中で空に舞う参加者達を見ながら呟くヒカル。

 あまりの瞬殺気味に、会場全体がシーンと静まってしまう。


『な、な、なな、なんてことだー!瞬、殺!!まさかの結果に私も驚きです!!ええ、びっくりです!!謎のローブ男、半端ないです!!!』


 アナウンスのお姉さんが、興奮気味に自分の仕事を忘れて解説を始めるという珍事件。

 アナウンスのお姉さんの声で、やっと我に返った観客席は、数秒遅れて歓声を送る。


「うわぁ、凄いですねー」

「やりすぎだ馬鹿…。」


 こうしてまた、レオの頭痛の種が一つ増えたのだった。

今日は短めです

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