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タキオン・リベリオン~歴史に刻まれる王国反乱物語~  作者: いちにょん
王国反乱編 第四章 師匠
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episode52 覇王祭試験

誤字脱字報告、ブックマーク、感想、レビュー、文章ストーリー評価等いただけると幸いです。

「もうそんな季節か。」

「みんなで出てみてはいかかでしょう?」


 元学園長室である部屋で、ヒカルとレオは、机を挟んでコーヒーを飲みながら、雑談をしていた。


「『覇王祭』…。」

「結構いいと思いますけどね」


 四年に一度、凩月(十一月)の終わりに七日間かけて行われる大イベント。

 レオが【深淵】を取り込む時に訪れた中立都市【アーベルン】で開催され、性別、年齢、立場、国籍、人種、など関係なく、誰でも参加できる最強決定戦。

 どこかの国の王子から、指名手配を受けた犯罪者、獣人の姫まで、毎回一万人を超える参加者が集う。


「確かにここ半年訓練ばかりで実力を発揮する場所も無かったしな…。」


 顎に手を当てて、深く考え込むレオ。


「実力の確認、リベリオンの売名、優秀な人材のスカウト、後は賞金だな。」

「王国に、力を誇示することも出来ますしね」

「いいだろう。参加希望者全員を応募だと多いな…よし、試験でもして俺が選ぼう。全員で上限二百人だ。」

「ちなみに、ニーツくん、ビスティアくん、ヴィデレ、私も参加しますよ」

「ほう、それは面白くなりそうだ…。」


 ヒカルも参加すると聞いて、スっと目を細め、嬉しそうに笑うレオ。


「おぉ、怖い…その飢えた獣のような目を向けるのやめてくださいよ」

「全員倒す。」

「ちなみに、全員再生禁止ですよ。流石にパワーバランスが崩れますからね」

「了解した。すぐに伝令を回そう。」


 そう言って席を立ち上がり、部屋をあとにするレオ。

 そんなレオを、ヒカルも獲物を狙う鷹の如く見つめていた。



「あれが総督…」

「どう見ても俺達よりも年下だぜ」


 場所は、多目的訓練場。

 早速参加希望者を集めたレオは、規則正しく隊列を組む希望者の前で、静かに目を閉じていた。


「静粛に」


 小さく聞こえる話し声を遮るように、【兵科】の教官であるレックスが手を叩き、皆を静かにさせる、


「これから、【覇王祭】に参加するメンバーを選出する試験を始めるぞ!それも、直々にレオ総督が試験監督を務めてくれる!」


 レックスの言葉に、「おお」という、感嘆の声が所々で上がる。

 希望者は、約千人。そこから百七十人ほどを選ぶ。


「リベリオンの総督をさせて貰っているレオだ。」


 ここで、初めてレオが口を開く。


「一応俺は、全員の顔を覚えているが、この中には俺の顔を見るのが初めてというやつもいるだろう。そして、この中に俺が総督ということを良く思わない奴もいると思う。」


 レオはリベリオンの中で噂程度には流れているが、中々全体の場で顔を出すことをせず、実力を見せることも無い。

 国を変える反乱軍のトップが十三歳の子供で、実力も分からないような奴では、認めない人も当然出てくる。


「だが、ここで試験も兼ねて、貴様らを導く総督が、貴様らに取って頼らる存在であり、命を預けられる存在だと言うことを証明しよう。 」


 レオは目を開き、自分の目の前に立つ千人の希望者を見渡す。


「試験は簡単。この多目的訓練場の中で小鐘一つ(三十分)後、立っていること。その時間の中で、俺に攻撃を当てれた者は試験終了を待たずに合格だ。」

「レオ総督、そんなガバガバな試験で大丈夫か?」


 試験内容が心配になったレックスが、レオに尋ねる。


「問題無い。では行くぞ、各々武器を構えろ!スタートだ!」


 突然の事で驚く希望者たち。

 だが、すぐ様武器を構え、レオに向かって突っ込んでくる者、様子を伺う者、後に下がって時間経過を待つ者など様々な反応を見せる。


「【ギアス】、【魔闘気】、【魔眼解放】、『システム:魔剣起動』」


 レオは、今使える【深淵】以外の手を全て発動する。

 【ギアス】を全開放したことによる膨大な余剰魔力。

 その魔力を取り込み、気力と合わせ、訓練場を包むほど大きな紅色に輝く魔闘気。

 見つめられただけで、背筋が凍るほど恐怖を植え付ける魔眼。

 禍々しいオーラを放ちながら、漆黒に輝く魔剣。


「ぁ…」 


 圧倒的な存在感。

 本能が叫びを上げ、全力でここから逃げ出せと警報を鳴らす。

 中には、事切れた人形のようにその場で崩れ落ち、殆どの者が膝を折る。


「小鐘一つは、いささか長すぎたか?」


 挑発するように、わざと嘲笑を浮かべるレオ。


「上等だぁぁぁ!!!」


 だが、彼らにもプライドがある。

 元々戦闘経験を積んでいた者や、ここでレックスと共に厳しい訓練の中で掴んだ確かな実力の上昇。

 そんな中で、年下のレオに舐め切られたことは、彼らにとって屈辱的なものだろう。


 数十人が立ち上がり、武器を持ってレオに向かって駆け出す。


「ふっ!」

「【風よ 我が願いを叶えろ 形は剣 貫け暴風 激しく荒狂う風(ニンブス)】」

「甘い。【我が願い 静まれ暴風 反魔術(レジスト)】」


 数人がレオに向かって剣を振るうが、全員ネーザによって軽く受け止めら、反撃に蹴りを貰って後方へと吹き飛ぶ。

 魔術を放った者もいたが、流れ作業のようにすぐ様、詠唱を短縮された状態で反魔術されてしまう。


「さあ、まだまだ始まったばかりだ。俺の本気はこんなものじゃないぞ?」


 俺をもっと楽しませろとばかりに、挑発的な笑みを浮かべ、ネーザを地面に突き刺すレオ。


「【小動極地】」


 レオは、訓練場の地面を全て埋めつくほどの魔術陣を展開すると、【大動極地】を室内用に威力を抑えたものを発動する。

 だが、腐っても対軍級魔術。多くのものが、次々に突き上げる地面と共に空中に飛ばされる。


「さて、これで半数は脱落だろう。」


 まるで、単純作業を繰り返すようにレオは息一つ切らすことなく、余裕たっぷりに訓練場を見渡す。



「三、二、一…ふむ、やりすぎたな。」


 試験が始まってから小鐘一つ後、死屍累々の如く、訓練場に倒れるリベリオンの仲間達を見てレオは呟く。


「最終的に立てていたのは、三十名ほどだな」

「予定よりも少ないが、まあいいだろう。挫折も大事な経験だ。」

「それよりも、レオ学生はどんどん強くなるな」

「当たり前だろ?俺は天才だからな…っと、今立っているものは、明後日昼過ぎに正門に集合だ。宿は抑えているが、二週間ほど宿泊すると思って荷物をもってこい。」


 レオはそう言い残して、次の仕事を思い出したのか足早に訓練場を後にする。


 この試練以来、レオに不信感を抱く者は九割減り、より精進しようと訓練に励むものが増えたようだ。

第四章開幕…!もしかしたら、覇王祭で、第五章まで行くかもしれないです

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