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タキオン・リベリオン~歴史に刻まれる王国反乱物語~  作者: いちにょん
王国反乱編 第十一章 強さを求めて【後編】
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episode170 十英傑

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「よぉ、ユスティー=ツィア」

「俺をその名で呼ぶな、ペネトレ」

「相変わらず自分の名前が嫌いだな、マールム」

「正義なんてクソくれぇだ」

「まーた言ってるよ」


 薄暗い洞穴の中。ペネトレとマールムと呼ばれた二人の男が明かりも持たずに顔を合わせる。

 二人の男は明かりが無いためシルエットしか分からないが、マールムと呼ばれた男は高身長の筋肉質。一方ペネトレはマールムとは逆に猫背でやせ細っている。


「それで、リベリオンの奴はどうだったんだ?」

「ただのガキだな。実力はそこそこ、だがせいぜい侯爵がいいところだろうな」


 ペネトレからの質問に淡々と答えるマールム。


「ただの平民のガキが侯爵級の実力持ってる世の中なんて俺は嫌だけどな。まぁ、勝てるけど」

「それで、お前の方は終わったのか?」

「そこはもうバッチリ済ませてある。この計画が実行されたらさぞ憤慨するだろうなぁ」

「命を切り捨てられない偽善者にしか通用しない手だがな」

「ハッ、俺からしたらマールムが一番の偽善者だけどな」

「なに?」

「俺達は仕事仲間であって、友達では無い。思ったことは言う、これが俺の性分なんでね」


 マールムを煽るペネトレ。

 どうやらマールムにとって自分が偽善者と呼ばれるのは相当な地雷だったらしく、声音に強烈な怒気が含まれている。


「死にたいのか?」

「おいおい、ここで殺り合う気か?」

「俺は一向に構わん。残りの計画は俺一人でも問題ないからな」

「確かに俺よりマールムの方が実力は上だが、両腕二本は覚悟しておいた方がいいぜ」

「そうか…【悪魔の腕ディアボルス・ブラキウム】」

「ガッ…!」

「それで?俺の腕二本潰したところで何になる?」


 ペネトレがマールムの両腕を掴んで脅そうとした瞬間、マールムの背後から無数の黒い腕が伸び、ペネトレの全身を掴みあげる。


「邪教徒がッ!!」

「それは褒め言葉だ。悪、邪、不、闇、欲…悪いな、お前はここで死ぬ」

「待て!そんなことをしたら王国と教国との国交は断絶するぞ!」

「神は慈悲深き『物』なんだろ?この罪も許してくれるだろうよ」

「アガッ…!ッグ……!ァ………」

(マールム)ってのはな、正義よりも強い力がねぇと成立しないんだよ」


 ペネトレを掴む【悪魔の腕】が力を強めていく。ミシミシと音をあげて骨が(きし)む音が洞穴の中に響く。

 そして、呆気なくペネトレの体は限界を迎える。

 ボキリッという音がマールムの耳に届いたと同時に、グシャリという生々しい音が洞穴の中で反響する。


「最後まで汚いな」


 顔に付いた血を拭うと、マールムは【悪魔の腕】を解除し、踵を返して洞穴を後にする。


 彼こそは正義(ユスティー=ツィア)に生まれ、(マールム)に生きる者。

 この世から正義を無くすために生まれた悪魔。



「はぁ…はぁ…」

「甘い甘い」

「うへー…一撃も当たらない…」

「一撃でも当てられたら、ワシは和国の王を引退しないといけないかもなぁ」


 手合わせを初めてから一週間。カーリとシキデンは、刀の作成のために『刀屋さん』に行ったり、面倒事に結局巻き込まれたり、刀の扱いについて習ったりしている時以外は夢中で手合わせをしていた。

 と言っても、一方的な手合わせで、カーリはシキデンに一撃たりともいれることができなかった。


「ワシはこれでも十英傑の一人だからな」

「十英傑って学園長とかヴィデレさんみたいな?」

「そう。一人で戦争の戦況をひっくり返してしまう世界で認められた十人に送られる称号みたいなもんだな」


 十英傑。


 『英雄』ヒカル【王国】


 『原初の固体』ヴィデレ=アルケー=ヴァンパイア【無所属】


 『七星刀』シキデン=シンチョウ【和国】


 『死に戻り』スピーリトゥス=サンクトゥス【エルフ国】


 『騎士王』エクエス=インクブス【王国】


 『使徒』モルナカ=パーパ=デウス【教国】


 『飛燕(ひえん)』ウングラ=ウルペース【帝国】


 『暴火姫』ドラコー=ドミヌス=フィーリア【黄金の翼(アウレア=アーラ)


 『幻王』アストラル=ソリドゥス【鏡の国】


 『宝石箱』アニマ=クリュスタッルス【天空大地】


「ワシは、この中でも九番目だがな」

「一番は?」

「ヴィデレ=アルケー=ヴァンパイア。五十年くらい前に一度、戦う機会があったがあれは化け物だ。勝てる未来が一瞬たりとも見えなかった」

「時々忘れるけど凄い人なんだよな…」

「俺を合わせてこの十英傑を三人取り込んでいるのがリベリオン。そりゃあ、どの国だって警戒するはずだ」

「そん考えるとレオって凄いな…」

「どうせ出れん戦争に興味などないがな」


 戦えるなら是非とも参加したいがと付け加えてシキデンは、刀を鞘へと収める。


「まぁ、お前さんはまず刀を使いこなさないと意味が無い。筋はいいんだ、存分にその才能を伸ばせ」

「はい!」

祝170話

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