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タキオン・リベリオン~歴史に刻まれる王国反乱物語~  作者: いちにょん
王国反乱編 第七章 思い出の地
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episode113 レオvs獣王【前編】

誤字脱字報告、ブックマーク、感想、レビュー、文章ストーリー評価等いただけると幸いです。

「何で謁見に行ったのに、模擬戦になってるんです?」

「作戦だそうだッ」

「むむむ…ミラちゃん、総督には無駄に怪我してほしくないゾ」

「でも、本人は凄い楽しそうですけどね」


 闘技場に移動したレオと獣王。そして、補佐役のロヒュウと、リベリオンの主要メンバー達。

 そして、獣人国の城下町に住む人々。

 闘技場の観客席は、満席になるほど埋め尽くされ、【覇王祭】を彷彿(ほうふつ)させるほどの賑わいだ。

 獣王とレオの模擬戦が決まってから約一時間でこれほどの人数が集まるあたり、獣人国はかなり血の気を好むものが多いようだ。ここまでくると、異常とも言える。


「ふぅー…準備運動はこれぐらいでいいか。」

『ご主人、いつもより念入りにしてますけど、何かあるんでやがります?』

「今回、【ギアス】を除いた魔術を使う場合、全て初級魔術を使う。ハンデというやつだ。だがまあ、相手は獣人国一強い相手だからな、念には念を入れているんだ。」


 ネーザを太ももに当てて屈伸を繰り返し、体を伸ばすレオ。

 勝つ自信はあるものの、相手は獣人国最強。油断は出来ない。


「そういえば獣王、賭けをしませんか?負けた方の願いを聞くなど無難なのはどうでしょうか。」

「賭け…?」

「そうです。ただ戦うだけでは面白くない。獣人国の王と、王国の未来の王が戦うのです。何かあった方が盛り上がるでしょう?」

「そうだな、俺が勝ったらお前よりも強い奴と戦わせろ」

「分かりました。じゃあ私は、この模擬戦が終わったあと、獣人国と交渉をしたいと思っています。その交渉に前向きに検討していただく。それが私の願いですかね。」


 表情一つ変えないものの、レオの話に上手く食いついた獣王に対して、レオは心の中で笑みを浮かべる。


「おい」

「なんです?」

「何か勝算があるかは知らねぇけどよ、その舐め腐った態度どうにかならねぇのか?」

「何か気に入らない事でも?」

「見下してんだよなぁお前、俺はずっと末っ子で頭も悪かったから分かるんだよ。見下された時の特有の感じが」

「…問題無いか。確かに俺は、貴様を見下している。腕っ節だけの貴様とは違って、俺は頭脳明晰だからな。戦闘に必要なのは頭だ。身体能力や技術で何とかなるのは二流までだからな。」

「やっと本性見せやがって、おもしれぇ」


 ニヤリと口の端から獰猛な牙を見せて笑う獣王。


「それと、お前が勝った時の交渉についてだが、無条件でその交渉に首を縦に振ってやる」

「ほう?獣人国に不利益な交渉だとしてもか?」

「まだまだお前は、王の器じゃねぇな。一国の王が、それも、獣人国一の実力を持った王が負けるんだ。それは、国が負けたの同じなんだよ」


 最初、レオを小馬鹿にしたように笑う獣王だったが、一気にその重圧(プレッシャー)が跳ね上がり、王から戦士へと姿を変える獣王。


「その言葉、心に刻んでおこう。」


 レオはネーザを腰から抜剣すると、時間に余裕があるため、無詠唱で【ギアス】、【魔闘気】、【魔眼解放】を行う。


「本能で恐怖しろ。」


 獣王の重圧が膨れ上がったように、レオの纏う雰囲気が攻撃的なものに代わり、身に纏う魔力の多さと質の高さに闘技場に来ていた獣人達の毛が逆立ち、レオの言った通り、本能的に恐怖を始める。


「それでは準備はいいですか?あくまで模擬戦ですから、致命傷は避けてください。回復魔術で回復できる範囲の怪我でお願いします」

「腕、一、二本ってとこだな」

「安心しろ、こっちには優秀な回復魔術の使い手がいる。臓器三つまでなら回復できる。」

「よしきた!」

「…開始!」


 審判を務めるロヒュウの発言をご都合主義で捉え、戦闘の規模を拡大しようとする獣王とレオ。

 そんな二人にため息を内心で零しながら開始の合図を出すロヒュウ。


 闘技場の真ん中を避け、ある程度距離をとって様子を伺う獣王とレオ。


 いつも身につけている鎧よりも頑丈な軍服を見に纏い、ネーザを右手で持ち、右手首に左手を添えるいつもの構えを取るレオ。

 体に紅色の【魔闘気】を纏い、【魔眼】を解放し、深紅の瞳を朱殷色に変え、瞳の奥に金色の正三角形を宿している。


 そしてレオは、目の前の獣王を見つめる。

 百獣の王たる獅子の獣人。勇ましい(たてがみ)に、筋骨隆々とした大柄な体。レオの身長よりもありそうな大剣を肩に担ぎ、獰猛な笑みを浮かべ、牙を剥き出しにしている。


「さて、どう組み立てやろうか。」


 自分で設けたハンデ、魔術は、初級魔術のみ。

 大柄だが、相手は身体能力に優れた獣人。スピードも、人族の尺で測ると痛い目を見るだろう。

 レオは、楽しそうに口元に笑みを浮かべる。

 当然真剣だが、久しぶりの命を賭けず、様々な事を試すことのできる模擬戦で、しかも相手は強者。そして、お互いの手を知らない中での戦い。

 これほどレオを高揚させる条件は他にないだろう。


「今なら何でもできそうだ。」

獣王の姿の描写については、あえて後ろに持ってきました。

明日は、戦闘シーンです

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