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タキオン・リベリオン~歴史に刻まれる王国反乱物語~  作者: いちにょん
王国反乱編 第七章 思い出の地
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episode109 真実

誤字脱字報告、ブックマーク、感想、レビュー、文章ストーリー評価等いただけると幸いです。

「あ、あのレオ様…」


 宿屋に戻り、ミラと一緒にシムルを部屋へ送り届けたレオ。

 部屋から出ていこうとすると、シムルから呼び止められる。


「俺は、貴様に謝らないといけない事がある。おそらく今、貴様が打ち明けようとしている真実。それは、貴様を初めて見た時から気づいていた。」

「えっ…?」


 レオを呼び止めたシムルの表情は暗く、何度も何かを言おうとしているが、その度に止まる。

 その時、レオが口を開く。

 まさか自分がひた隠しにしてきた真実を明かした時、レオに軽蔑されるのでは?と考えていたシムルにとって、レオのこの言葉は驚きでいっぱいだった。


「気づいていて尚、貴様を雇った。安心しろ、俺は、それくらいで怒りもしないし、クビにもしない。」

「本当…ですか?」

「不安にして悪かったな。」

「あの…ミラちゃん状況が全く掴めないんですけど…」


 トントン拍子で事が進み、状況が理解できないミラ。

 真剣な面持ちのレオと、不安が取り除かれ、張り詰めたものが無くなり、泣き始めたシムルを前に、申し訳ないと気持ちで、二人の会話の間に割って入ったミラ。


「シムル。それを明かしたところで、他の奴の態度は変わらん。何かあったら全て俺がなんとかしてやる。安心しろ。」

「…はい」


 シムルは、レオに後押しされ、涙を拭いながら自分の髪を数度撫でる。


「っ!!」


 そして、シムルの髪から間から勢いよくぴょこんと出てきた狐耳(・・)

 それを見たミラは、心底驚いている。


「シムルちゃんが…亜人?」


 シムル、そしてシムルの両親は共に狐の亜人。

 獣人国には亜人の姿は人族よりも割合が多く、珍しくない程度には住んでいる。

 獣人国で宿屋を経営していたシムルの両親は、経営が悪化し、借金を繰り返して破産。

 厳しい取り立てに限界だったシムルの両親は、自ら家族全員で奴隷落ちを選び、借金取りの目から逃げるために王国の奴隷となった。

 だが、迫害の多い王国で、亜人の奴隷の扱いは、奴隷の中でも更に扱いが酷くなる。

 それを危惧(きぐ)したシムルの両親は、シムルに耳と尻尾を隠す練習をさせ、自分たちも人族として生きることに決めた。


「シムルが奴隷としていた期間は二年と少し、その間隠し続けていたんだ。リベリオンでも隠すのが自然な流れだろう。対王国と言ってもシムルがいた頃は、人族がほとんどだったからな。」


 シムルを落ち着かせるために、ベッドの隣に座ってシムルの背中をさするレオ。


「俺とクソ勇者は気づいていたが、わざわざ俺達から問い詰めるものでもないと判断し、何も言わなかったそう言うわけだ。」

「ようやく結びつきましたよ」

「黙っててごめんなさい…」

「謝るような事じゃない。今回は獣人や亜人も数人連れてきたが、アイツらは戦闘向きだ。買い物をする時、人族の俺たちじゃ結構値段を釣り上げられてな。貴様なら大丈夫だろう、任せたぞ。」

「…はい!」


 レオは、シムルの頭を撫で、敢えて小さい事でもシムルがいると助かる。そういった例を出し、シムルに自分は必要なんだと思わせる。

 精神状態が不安定な人は、自分の存在価値について自問自答してしまうことが多い。その人に存在価値があると思わせ、宥めるだけで、結構精神が安定したりするものだ。

 実際シムルも、ぎこちないながらもいつも通りの笑顔を見せ、喜んでレオに撫でられている。


「クソ勇者も言っていたが、異界人からすれば動物の耳や尻尾が生えた方が、モテるということも耳にしたことがあるしな。」

「ほ、ほんとですか?レオ様も、耳や尻尾があった方がいいですか?」

「そうだな…撫で心地は良さそうだ。」


 素直な感想を述べるレオだが、これは浅はかな判断だったようで、シムルは顔を真っ赤にし、そこにいたミラ、扉の奥で盗み聞きしていたニーツ、ロゼ、天井裏に潜んでいたウムブラ、気配を消してずっと部屋の中にいたヴィデレに聞かれ、後々大変な目にあったそうだ。



「懐かしいですね」

「エドラスさんは、ここに来たことが?」


 エドラスと一緒に獣人国を見て回っていたカーリ。『ファトゥウス』の頭として日が浅いカーリは、エドラスに大変世話になっており、懐いていた。


「ええ。私とビスティアが初めて出会った場所であり、『ファトゥウス』が結成された場所でもあるんですよ」

「え、そうなんですか!?」


 エドラスの口から意外な事実を聞かされ、驚くカーリ。


「そうですね、今日は一日暇ですし、腹ごしらえでもしながら話しますか」

15000pv突破!皆様、ありがとうごさいます!

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