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タキオン・リベリオン~歴史に刻まれる王国反乱物語~  作者: いちにょん
王国反乱編 第七章 思い出の地
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episode108 獣人国

誤字脱字報告、ブックマーク、感想、レビュー、文章ストーリー評価等いただけると幸いです。

 人、亜人、獣人、この三種族の違いは受け継いだ血の濃さによって変わる。

 亜人や獣人といった種族は、原初の個体として生み出された人族よりも後に出来た種族で、人と動物が交わった事により生み出された特異種と言える。

 人の血が九割から十割を人族。

 人の血が七割、動物の血が三割で、見た目は人間だが、耳や尻尾といった動物的特徴を受け継いだのが亜人。

 人の血が四割、動物の血が六割で、骨格は人に近いが、体が大きく、見た目が動物なのが獣人。

 人族は、動物との混血など有り得ない。純血の人族こそ至高という考えを持っているため、王国では未だに迫害や差別は多い。


「こうして見ると、俺達が異色な存在だな。」

「わぁ、全部が大きいですね」

「ジロジロと見られるのは苦手なのだがねッ」

「ナルシストナノニ?」


 ゾーウモス討伐から約三週間。

 レオ達は、獣人国へ足を踏み入れ、獣人国の国王、通称『獣王』がいる獣人国最大の街、【アシュミルン】に訪れていた。

 レオが、情纏に口止めをしたものの、ゾーウモスの討伐は既に噂として広まっており、ただでさえ人族が獣人国に来るなど珍しいというのに、噂のせいでかなり悪目立ちしていた。


「このまま獣王のいる城に行く。相手もそれなりに頭が働くのなら、この書状とリベリオンの名を聞けばアポイントメントが無くとも謁見くらいはできるだろう。それくらいの事を成し遂げて来たのだからな。」



「…まさか、獣王が脳までが筋肉で出来た阿呆だったとは…。想定外だ…。」


 ベッドに腰掛けて頭を抱えるレオ。

 ヒカル風に言うのなら、「フラグ回収乙。」と言った感じで、「リベリオン?知らん」の一言で追い返されてしまった。

 

 今回獣人国を訪れた人数は三十人。人族でも快く部屋を貸してくれた宿屋を貸切にしたリベリオン。

 予定ではトントン拍子で事が運ぶ予定だった。


「もう一度足を運んだところでだな。明日また、行くとするか。ウムブラ、今日はそれぞれ休むなり、観光するなり好きにしろと伝えておけ。」

「……」

「ベッドの下にいるのは分かっている。それを今更注意はせん。だが、仕事はしっかりこなせ。」

「…了解」



「住居の作りや、大きさは違うが、他はさほど変わらないな。」

「そうですね」


 一日を暇にしてしまったメンバー達。

 レオ、シムル、ベッルス、ミラの四人は、獣人国の衣食住や、環境などの調査も兼ねて城下町をぶらついていた。


「テメェ、シムルか?」

「きゃっ」

「やっぱりシムルじゃねぇか!テメェ、奴隷になって逃げやがって、両親はどこだ!?」


 レオが雑貨屋で、孤児院の子達に買うお土産を見ていると、何やらシムルと男が揉める声が聞こえ、レオは急いで店を出る。


「何事だ?」

「おいおい、このちいせーのがシムルの主人か?」

「シムルは奴隷では無い。俺が正式に雇用している世話係だ。」

「そんなことはどうでもいいんだよ。こいつの両親が借金、アンタが返してくれるのかどうかが大事なんだよ」


 シムルと揉めていたのは、いかにもガラの悪く、ガタイのデカい熊の獣人で、右目の下に剣で刺されたあろう傷が特徴的だ。


「シムルさんの両親が獣人さんに借金?人族であるシムルさんとシムルさんの両親が、なんでわざわざ獣人に借金を?」

「なるほど、理解した。」

「自己完結しないでくれたまえ総督ッ、僕は絶賛混乱中なんだが」

「おい、シムルの両親が残した借金はいくらだ?」

「利子含めて金貨一万枚だよ」

「そうか。ミラ、貴様今すぐ王国に捕まったこい。懸賞金で借金を返す。」

「その言い方は、私よりもシムルさんが大切で、私はどうでもいい存在だって聞こえるんですが」

「その通りだ。」


 いち早く状況を理解したレオ。

 すぐ様、解決へ向けて話を進めるが、他のメンバーはまだ理解していないようだ。


「まあ、冗談だから安心しろ。金貨一万枚だな。この紙を見せればいつでも受け取れる。俺の血印が入っているから問題ないだろう。」


 レオは、懐から真っ白な紙を取り出すと、最低限の必要事項だけを書き、ネーザで指を浅く切ると、血印を押して男に差し出す。


「……。ペンを貸せ」


 男は、レオから紙を取り上げると、隅から隅までじっくりと見つめると、しっかりとした書類だと言うことを確認し、ペンで自分のサインを書いていく。


「いい主人を持ったなシムル」


 そう言い残し、男は去っていき、雑多の中に紛れる。


「シムル、今日は取り敢えず宿で休め。」

「はい…」

「あの総督、ミラちゃんまだ状況を飲み込めないんですけど?」

「話は夕食後だ。ああいうタイプは大丈夫だと思うが、これ以上の厄介事に巻き込まれるのは避けたい。」


 目の焦点が合わず、肩を震わせて怯え続けるシムルの肩に手を置き、ゆっくりと宿へと向かうレオ。


「…これ以上、何も言わない方がいいですね」

「同感だッ」

この物語を作る頃から決めていたシムルのあれこれをやっと…!

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