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タキオン・リベリオン~歴史に刻まれる王国反乱物語~  作者: いちにょん
王国反乱編 第一章 決意
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episode9 文体祭【前編】

誤字脱字、ブックマーク、感想、レビュー等いただけると幸いです。


 文体祭当日。

 学園の正門に取り付けられた手製のゲートをカップルや家族連れなど老若男女、様々な人が通り抜けていく。

 誰も彼もが興奮した様子で、目の下にクマを作ってる人すらおり、どれだけ文体祭を楽しみにしてたが見受けられる。


「今年も多くの人が来てくれたようで良かった良かった」

「魔獣騒ぎで見学に来る人減ると思ってたんですがね」

「好奇心には勝てないと言うことだな。」


 ゲート近くのテント下に学園長であるヒカルと、実行委員長のニア、そして実行委員のレイオスの姿があった。

 三人は、入場してくる人々を見守りながら、その人数をカウントしていく。入場者数を把握することも実行委員の大事な仕事だ。


「文体祭は全体で三日日程だけど、やっぱり初日が一番大事だからね、ビシッと決めちゃってくれよ二人とも」

「分かってます」

「初日は別用があると言っただろうが。」

「あれ、そうでしたっけ?」

「これから開会式の参加、終わったら挨拶参り、その後は王族の相手だ。」

「流石は現当主、社畜みたいな生活してるねー!」

「社畜が何かは知らんが、後で殺す。」

「その後ってのが一秒後なんだけどー!?私の首筋に当てられた剣をどうにかして欲しいんだけどー!?」

「あはは、それじゃあレイオスくん、お父様によろしく」

「ああ。」


 いつも通りの茶番劇を繰り広げながらも、三人は仕事は疎かにせず、テントの下で騒いでいる自分達を何事かという目で見ている来場者をカウントしている。


 レイオスは初日の仕事は、実行委員ではなく、貴族の方だ。

 やはり、子供でも伯爵家の現当主。

 挨拶回りなど、色々と面倒な仕事が待ち受けているため、レイオスは今からげんなりとしていた。



『それではこれより、開会式を行います。』


 司会である女性のアナウンスで始まった、文体祭開会式。

 開会式は、学園の中でも一番広い裏庭で行われている。

 裏庭には、今回参加する生徒を含めた数千人が集まっており、真ん中には特設のステージが作られていた。

 歴史ある王国行事のため、多くの貴族が参列しており、中にはチラホラと王族の姿が見受けられる。と言っても、ほとんどがこの学園の卒業生だ。

 その中にはレイオスの姿もあり、いつもの学生服とは違い、正装を身を包み、いつもの三割増しでキリリとしている。


「ロゼ、あそこ!レイオスだ!」

「指を指さないの!」


 ステージの上にいるレイオスを見つけ、指を指して隣のロゼに話しかけたのは、開会式を遠くの方から見ていたカーリ。

 

 他のクラスに比べ、貴族が少なく、仲がいい四組はお揃いのTシャツを作成したようで、シンプルな黄色に『いちのよん』と青色で書かれたものを二人とも身につけている。


「おや、ロゼくんにカーリくん」

「え?でもあそこに…え?」

「あれは偽物です。」

「偽物!?」


 カーリとロゼの後ろから顔を覗かせたのは、ステージの上でレイオスや貴族達と同じく、学園長席に座っているヒカルだ。

 どうやら、なんらかの魔術で分身を作ったらしい。


「私は昔から、ああいう堅苦しのが苦手でしてね。抜け出してきちゃいました!」

「抜け出してきちゃいました!じゃないですよ!絶対バレますよ!」

「まぁ、毎年の事なので大丈夫でしょう、アハハハ!!!」


 それでいいのか学園長。といいたくなるようだが、本当に毎年の事なので何とも言い難い。

 レイオスの額に、青筋が浮かんでいるように見えるのは気のせいだろうか。


『ご来賓の王族及び貴族の皆様のご紹介をします』

「おや、二人とも、レイオスくんが出てきますよ」

「レイオスが?」

「ええ、一人ずつ爵位の高い順から名前を呼ばれ、ステージ上の一番前で一礼をしますからね。レイオスくんはかなり後ろの方で座ってますが、この時はレイオスをきちんと見られますよ」

「おぉ!」


 レイオスが前に出てくると聞いてはしゃぐカーリ。

 ヒカルの世界風に言うのであれば、友達がテレビに映ってテンションが上がるのと一緒と言えるだろうか。


『フィエルダー家より、レイオス=フィエルダー伯爵』


 レイオスは無言で椅子から立ち上がると、ステージの一番前までゆっくりと歩いてくる。


「レイオスだ!」

「もう!恥ずかしいからあんまりはしゃがないの!」

「うおー!あのマント無茶苦茶かっこいい!!」


 レイオスの今の格好は貴族の正装である白が基調の燕尾服で、腰に帯刀しており、そして銀色のマントを着用している。

 この銀色のマントは貴族が冠婚葬祭などの大事な行事に付けるものであり、マントの中心には王国のシンボルマークが描かれたいる。


 レイオスはステージ上の一番前までくると一礼し、マントを翻して元の場所れと戻っていく。


「やばい!あのマントをクルってするやつ超かっこいい!学園長!やばくないですか!」

「もう、カーリ大声出さないのー!」

「うーん、確かに格好いいですね…!」


 レイオスの立ち振る舞いに興奮を隠せないカーリと、想像よりも板についたレイオスを見て舌を巻くヒカル。

 この時、壇上に立っていたレイオスの耳にはカーリの声が届いており、レイオスが心の中で『後で絶対殺す』と決意していたのをまだカーリは知らない。



「今年はどこが勝ちますかね」

「やはりまた勇者記念魔術学園かと」

「いえいえ、今年の王国近衛兵専門付属学園には、王族の中でも一番有望株のマークくんがいますからね~…今年はもしかしたらがあるかもしれませんよ?」


 場所は変わり、第八訓練場。

 今日の第一種目である「障害物魔術レース」の観戦をするために、レイオス達貴族は、特別に設けられた貴賓席に座っていた。

 用意された椅子は肘置きが両サイドに付いており、多くの綿を使ったふかふかとした低反発のもので、見た目も金の装飾を施した誰が見ても高いものと思うものだ。ちなみにヒカルのお手製である。

 レイオスはその椅子に肩肘を付き、拳を頬に当てて退屈そうに前方で話される貴族達の会話に耳を傾けていた。

 そして、何故か隣には学園長のヒカルが座っている。


「では私は王国近衛兵専門付属学園に三本」

「ならば勇者記念魔術学園に私は十二本賭けよう」

「今、私は持ち合わせがないので愛玩奴隷五人でしょうか?」

「ほほう、またそれはどこからの?」

「この前没落した貴族あったでしょう?騙して金を剥ぎ取ったあと、そこの娘達を奴隷にしたのですよ」

「中々悪いことをしますな~、ハッハッハッー」

「それほどでも」


 レイオスの目の前で行われているのは、今年の優勝校がどこか、お金や奴隷を賭けて遊んでいるのだ。

 一本あたり百万。なんとも豪遊の貴族らしい馬鹿げた遊戯だ。


「おい。」

「どうしました?レイオスくん」

「どうにかならないのか。」

「レイオスくんも当主なら多少は目を瞑らないとやっていけませんよ?」

「わかっている…チッ。」


 やるせない表情のレイオス。行き場のないイライラが募り、貧乏ゆすりを繰り返す。

 王国では金を代償とした賭け事は禁止されており、奴隷制度も遠の昔に無くなっており、奴隷も賭け事と同じく禁止だ。

 だが、貴族の間では、道楽として昔から深く楽しまれてきた。今でも、裏では普通に行われており、貴族ならば嫌でも目に入る光景だ。


 レイオスはこういった事が嫌いだ。確かに、傍若無人な振る舞いのレイオスだが、王国の法に背くことは絶対にしない。むしろ、そういった行為は見過ごせないタイプだ。

 だが、ここで意義を申し立てたところで、自分の立場を悪くするだけで何も変わらないことをレイオスは理解していた。

 貴族の間で賭け事を始め、賄賂や奴隷などの違法行為は見て見ぬ振りをすることが裏で決まっている。

 どこの世界にも暗黙の了解や裏事情が存在するということだ。

 レイオスの行き場のないイライラは、間違っているとわかっていても何も出来ない自分への怒りだった。



「みんな!次あそこの屋台行こうぜ!」

「待ってよカーリ!」

「カーリくんは相変わらず騒がしいですね…」

「いつも通りと言えばいつも通りだね」


 レイオスが不機嫌な頃、カーリやロゼは同じ四組の生徒であるアイリスとフドと一緒に文体祭を満喫していた。

 四人はクラスの役割が休みの時間を利用して、こうして学園内を回っているのだ。


「おっちゃん!丸八つ足揚げを二つちょうだい!」

「あいよ!券六枚ね」


 カーリは、丸八つ揚げの屋台を見つけると、三人を置いて走りだし、屋台のおったゃんに元気よく注文する。

 

 この文体祭では通常のお金ではなく、事前にお金を換金した券で買い物をする。

 昔はお金の換金システムが今ほど復旧しておらず、他国から訪れる人達も共通のお金で物が買えるようにと作られたのが券を使う制度で、換金システムが復旧した今では面倒なだけだが、伝統ということでこうなっている。


「おっちゃん、こんなに可愛い俺が頼んでるんだぜ?まけてくれてもいいじゃなーい?」


 声をいつもより高めにし、妖艶(笑)な感じで腰をくねらせながら、屋台のおっちゃんに迫るカーリ。

 ヒカルと比べても見劣りしないくらい危ない。


「寝言は寝ていうんだな坊主、俺はァ野郎には興味ねぇんだよ」

「なるほど、野郎じゃなきゃ興味あるのか。少女趣味ってやつだなおっちゃん」

「ば、馬鹿言っちゃいけねェ!」

「せんせーい!ここに少女趣味のおっちゃんがー!!」


 少女趣味という言葉に慌てた店主を見たカーリは、隙ありとばかりに大声で先生を呼び叫ぶ。


「わかったわかった!券五枚でいいよ!」

「衛兵さーん!」

「四枚にまけてやるから叫ぶのをやめろ!!!」


 慌てた店主は、屋台から身を乗り出すようにしてカーリの口を塞ぎながら、カーリに脅された形で券をまけるおっちゃん。


「おぉ!!おっちゃん優しいな!今見ると超いかした顔してるぜ!」

「お前、そのうち誰かに殺されるぞ?」


 カーリは券四枚と交換に、屋台のおっちゃんから丸八つ足揚げを受け取る。

 券をカーリから受け取ったおっちゃんの顔には焦りからか、脂汗が浮かび上がっていた。


「へへっ、ありがとな!おっちゃん!」

「おう!二度とくんじゃねぇぞ!」


 カーリは店主のおっちゃんに別れを告げると、ロゼ達三人の元へと走っていく。


「カーリ、今何話してたの?」

「屋台のおっちゃんがイケメンだって話を」

「そうかな?僕にはそうは見えないけど」

「フド、人を見た目で判断しちゃだめだぜ?やっぱり人間、心が大事だからな」


 屋台での出来事を見てる人がいるならば、お前が言うなと言いたいところだが、ここには誰にもいないため、カーリの発言をおかしく感じるどころか、フドは感心すらしていた。


「ほら、丸八つ足揚げ買ってきたから食おうぜ」

「すごい、揚げたてだね」

「おっちゃんがサービスしてくれたからな!」


 丸八つ足揚げとは、あり大体に言えば揚げ(たこ)焼き

だ。

 蛸の見た目をそのままを命名しただけの安直な名前だが、この世界ではこの名前で定着している。

 ちなみに、イカはイカのままで、何故か蛸だけ丸八つ足と呼ばれている。


「さーて、満喫できないレイオスの代わりにも沢山楽しむぞー!」


 同じ手口で割引きを繰り返したカーリは、屋台連中から敵視されたのは言うまでもない。



「カーリくん、代表戦いいところまでいったみたいだね」

「ああ。」

「決勝トーナメントの三回戦で高等部の男爵家の子に負けちゃったけど、かなり惜しかったよ」

「知っている。見ていたからな。」

「へー、見てたんだ」

「顔が近い。」


 ニヤニヤとした笑みを浮かべてレイオスに顔を近づけるヒカルの顔を手で押し返しながら、心底嫌そうな顔をするレイオス。


「っ…!これは、あの時と同じ魔術!」


 瞬間、大きな魔力の反応を感じてレイオスの体が跳ねると、椅子から勢いよく立ち上がる。


「どうされました、レイオス伯爵」


 レイオスに声を掛けたのはトーナリ公爵家当主、ミール=トーナリ。

 今年で還暦で白髪をオールバックにした渋めのオジサマだ。


「どうやらこの文体祭を邪魔しようとする馬鹿がいたようです。」

「ほう?」


 レイオスの言葉に、今までずっと訓練場の方を見ていたミールが目を細め、椅子から立ちがある。


「中級の魔獣を始め、多くの上級魔術が学園内に出現しました。おそらく、転移系の魔術でしょう。」

「し、失礼します!学園内に多くの魔獣が出現!至急応援をお願いします!」


 レイオスの言葉と同時に、ドアを壊すほどの勢いで部屋に駆け込んできた衛兵の言葉に、そこにいた貴族全員が立ち上がる。

 ヒカルの姿は既にそこには無く、既に現場の処理に向かったようだ。


「学園長の判断が出されるまで、各自で事に当たってくれ。優先はここに来ている者達の命だ。なんとしても死者は出すな!」


 レイオスを初めとする多くの貴族達が部屋を飛び出す。

 そこには先程まで、金を賭けて楽しんでいた時のような緩んだ顔つきをしたものは誰もいなかった。


「今度は慢心しない。【ギアス】」


 レイオスは走りながら、目の前に五つの魔術を出現し、三つの魔術陣を握りつぶす。

 レイオスの周りから黒い靄が立ち込める。

 前回、死者を出してしまったレイオスは、次こそ死者を出さないために最初からギアスを三つ解放し、全力で第八訓練場を後にする。

 

「レイオスくん、現状を把握しました。初級魔獣が約二千。中級魔獣が百体。上級魔獣が三十体です。最上級が二体。そして…超級が一体です。」


 逸早く現場に駆けつけ、学園全体の状況を把握したヒカルは分身体を使い、レイオスや貴族達に並走する形で把握した状況を伝えた。


「最上級に…超級だと?」 


 魔獣には上級以上の階級が存在する。

 上級の上である最上級。そして、最上級の上、魔獣の階級において一番上の超級。

 最上級は一個軍隊と同レベル。そして、超級は一国を滅ぼすほどの戦闘能力を秘めているとされる。

 最上級は数年に一度、超級に至っては百年に一度出現するかしないかといったほど目にかかることは無い。レイオスも、最上級と一度、刃を交えたことがあるだけで、超級に至っては書物ですら記録が無いことが多いので、数体ほど知識があるだけだ。


「現在、裏庭で多くのゴブリン系の魔獣を引き連れた最上級である皇帝大鬼(エンペラーゴブリン)が出現。これは、ミールくんを含め、貴族の皆さんと私が殲滅します。」


 エンペラーゴブリン。

 最後に確認されたのは、約三十年前の教国。

 軍隊系に属する魔獣で、多くのゴブリンや、その上位互換の魔獣を引き連れ、統率の取れた動きで街から街へと仲間を増やしながら移動する厄介な魔獣だ。


「そして、第一訓練場付近で出現した同じく最上級である風竜ウェントゥス・ドラゴンは王族の三人に任せました。」


 ウェントゥス・ドラゴンは属性竜と呼ばれる、その属性の魔術に長けた竜に付けられる称号で、ウェントゥス・ドラゴンは風属性に長けており、歩けば突風が、翼を羽ばたかせればカマイタチが起こると言われるほどの魔獣で、個体系と呼ばれる個体としての戦闘能力がずば抜けて高い魔獣に分類される。


「そして最後にゲート付近に現れた超級の雷光牛(アーステリオース)。これについてはほとんど情報がありません。ただ、レイオスくんと同じ雷系の魔術を使うので相性はいいですが、特殊系の魔獣なので充分注意してください。こちらが片付き次第、援軍を送りますので持ちこたえてください。」


 アーステリオース。

 情報は少ないが、超級に属する最強と名高い魔術。

 特殊系と呼ばれる、軍隊系や個体系とも違う、特殊な魔術や技を使う魔獣で一癖ある厄介な個体だ。


「他の上級、中級魔術は各校の教師たちが既に対処に当たっています。避難誘導は高等部の生徒達が率先して行ってくれていますので心配なく!」

「安心しろ。むしろ、俺が先に倒して貴様の援軍に行ってやる。」


 魔術には相性が当然のように存在する。

 水属性の魔術は火属性の魔術に強い。だが、それは絶対ではない。

 水属性の魔術に、水が蒸発するほどの熱い火をぶつければ、火属性の魔術も水属性の魔術に正面からぶつかっても勝つことができる。

 だが、例外が存在しないものもある。それは、同じ属性の魔術だ。

 同じ属性の魔術ならば、より威力の高いものが勝つ。これは覆されない絶対的なもので、この王国に雷属性の魔術でレイオスの右に出るものは存在しない。

 その事をレイオスも理解しているため、超級のアーステリオースを一人で食い止めろと無茶を言われても、何一つ文句は言わない。


「頼もしい!では任せましたよ!」

「ああ。」


 検討を祈ります。その言葉を最後にヒカルの姿が陽炎のように掻き消える。


「超級までも用意してくるとはな。敵の目的は分からないが、今はこっちに集中だ。」


 レイオスは避難する人混みの間を縫うようにゲートの近くまで一気に走り抜ける。


「見えた。」


 レイオスが、一際大きな影を見つける。

 ゲート付近では未だに、多くの人々が悲鳴を上げ、逃げ惑っている。

 高等部の生徒や教師達が大声を上げて避難するように誘導している。


 騒ぎの中心。

 前に戦ったトロールよりも一回り大きい姿がレイオスの目に止まる。


 グルゥゥゥ


 低い唸り声をあげるアーステリオース。

 簡単に言えば二足歩行の牛だが、その姿はとても禍々しい。

 ドス黒い分厚い皮膚。レックスのような筋骨隆々とした体。金色の捻れた長い角。鋭い牙の間から漏れるドロっとした涎。両手で握りしめられた戦斧(せんぷ)はレイオスの身の丈の四倍ほどある。

 そして特徴的なのはアーステリオースの体を回るように浮遊している二つ光の玉。

 アーステリオースが個体系ではなく、特殊系に部類される一番の理由がこれだ。


「【雷同(らいどう)】」


 レイオスは、人間離れした跳躍で一気にアーステリオースの真上までジャンプすると、雷同の魔術陣をアーステリオースの体に刻む。

 レイオスは、空中に出現させた魔術陣を足場にして、アーステリオースへと急降下すると、その勢いのままアーステリオースを魔術陣目掛け殴り飛ばす。

 殴られたことで大きな巨体をぐらりと揺らし、ゲートを破壊しながら倒れるアーステリオース。

 その体には無数の雷が迸っている。


「来い、特別に雷の正しい使い方を見せてやる。」



この作品初の、話を跨いでの話です。

一応、文体祭は三話でまとめるつもりです。

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