僧侶を求めて
新しい街には包丁売ってるかな。この包丁スライム切ったから、調理用は分けたいな…フィオルはそこはこだわりたいと、強く思った。
白い塗料を使って塗られた壁。
どこもかしこも塗り尽くされ、影が青いとすら思える。
海が近いせいだろうか。
潮風が鼻腔をくすぐる。
ここに、私の仲間がいるのね…
アイラは
「出迎え…なしかよ」
街に入って、やたら勇者、勇者と連呼しているなとおもった。どの街人もポカンだ。アイラは
「ちっ、うちと全然違うじゃん」
たしかに、みんなドライだ……と言うより普通だ。
よくある旅人を迎えるシーンぐらいのささやかな会話。そこにアイラがズカズカと勇者を連呼しても、大人な対応してくれる。
フィオルは
「この街の人は勇者ってあんまり知らないんだよ。もう黙っておいた方がいいかもね」
アイラは悔しそうだった。自分の街でもてはやされた温かさがない。手紙でも書く‼
アイラは宿に着くなり、愚痴を紙にしたためた。
フィオルは海の見える窓辺に座り、いったいどうやって僧侶の子を探すのか。どうやって勝つのか…それを考えていた。考えていても始まらない。フィオルは
「ちょっと散歩してきてもいい?」
アイラの後ろ姿に言ったら、
「いいよー」
片手を上げてこたえた。
潮風が気持ちいい。景色がきれいで大きな街だから、なんだか自分がひどくちっぽけになったよう。
とたんに
「よー。ねぇちゃん。一人か?」
男に腕を捕まれた。
フィオルは
「いえ…部屋に友達がいます」
やたら強い力で捕まれ、フィオルはステータスを見ると、力9だった。
男の横から男。さらに男
「いい女じゃんか。今から飲みにいくのかい?」
そんな訳はない。フィオルは未成年だ。
しまった…フィオルは自分の容姿が男受けする事忘れていた。まだ宿の入り口で、こんなにすぐ絡まれるなんて…
「い…痛いです。はなしてください」
フィオルの細い腕はちょっと力を入れられると痛むのだ。
「痛いのは最初だけーなんちゃって。」
下品に笑う男達。すると、
「この街でよくも汚い言葉が吐けたものね…」
そこに、肩ほどに髪を伸ばした女の子がいた。ナース服のように、体のラインにピッタリとくっついている。細いワイヤーのフレームの眼鏡をスッとあげる仕草はカッコいい。そう…女エロ教師、いや、看護婦か。
男は
「へへ…へへへ」
困ったように、顔を見合わせている。少女は、カルテのような物に
「記入したわ」
「にげろー」
「記入したってよ。にげても無駄だ」
「それでも逃げろー」
みんなまとめていなくなってしまった。少女は
「旅の人。あなた名前は?」
聞かれたので
「フィオル、フレイムフォールです」
「記入したわ」
フィオルは内心、記入されたら何かあるのだろうかと思った。
「この辺…旅人には物騒よ。あなたのように目をひく外見なら、なおさら気を付けた方がいいわ」
少女の声はあまり大きくないのに、とてもよく響く。静かだからこそ、耳をたてて聞いてしまう声だった。
フィオルは
「助けていただいてありがとうございます。えっと…あなたは?」
少女は
「メイサ、グラインド。ここの神官をやってる者よ」
フィオルは
「メイサさん。神殿あるんですか?」
そしたら、メイサは少しバカにしたように
「そりゃ、あるでしょう」
どこぞの小さな村にはなくても、この大きな村にはありますよ。
そんな笑いだ。
フィオルは
「私…まだ、旅に慣れてなくて…お恥ずかしいです」
そしたら、
「何か訳があるの?家出かしら?」
また何か記入しようと構えてる。フィオルは
「いえ。ちょっと…会いたい人がいて…」
「なら、名前、わかるかしら?」
意外と親切な人だ。神殿の関係者だけあって、面倒見がいいのかもしれない。
フィオルは
「僧侶…って人みたいなんです。わかりますか?」
メイサは
「僧侶…それは神の戦士の僧侶の事かしら?」
筆を止めた。
フィオルは
「いえ…わかったらいいなと思ってただけです」
そしたら、メイサの視線が少し上を向く。そして、
「HPが減っているわね」
そう言った。フィオルはとっさに腕を押さえるさっき男に掴まれてた場所が痛んだからだ。
メイサは
「貸しなさい」
そう言って優しく手をとった。服をめくると、青アザが…
すると、メイサが
「キュア」
囁くと青アザが消えていく。
フィオルは
「すごい…」
もう痛くない。不思議そうに見ていると、
「あなたが探してる僧侶は間違いなければ私。何か用でもあるのかしら?」
フィオルは慌てて
「あ…あの…私勇者です。えっと…とても信じられないかもしれないですけど」
さっき上を見る仕草をしたのはパラメーターを見たからだ。そしたら、フィオルは恥ずかしい。
メイサは
「冗談はやめてちょうだい。剣は?それに、あなたのステータス…さっきの男の半分以下よ。」
行こうとしたので、
「信じられないかもしれません。でも、私、剣もそこの部屋にあるんです。確認してもらってもかまいません。」
そしたら、メイサは
「いい加減にしてちょうだい」
どうしたら…なにか勇者と示せるものは…そうだ‼ パラメーターは勇者や神の戦士しか見れなかったはず。
「あっ、メイサさんのパラメーター言います。
レベル13
力8、防御12、体力19、素早さ12、魔力35、運6」
メイサは眉を寄せ、
「あなたが…とても歓迎するつもりになれないわね」
フィオルは
「それでも、勇者の務めとして、私と戦ってほしいと思っています。」
あまりにステータスが違い過ぎて話にならないだろう。メイサは疲れたように
「はぁ…いいわ。明日までに準備を整えなさい。場所は神殿。この道をまっすぐ上がった所よ」
フィオルは
「メイサさん、ありがとうございます。」
ありがとうと言われる義理もない。そんな顔をして、メイサは
「後悔することになるわ」
そして、去っていった。
なんとなく、血も凍るような空気をかもし出す人だ。けど、すぐに会えるなんてとてもラッキーだ。
フィオルは
「アイラー聞いて聞いてー」
すぐに部屋に逆戻り。
「あー、文字歪んじゃったー。何?嬉しそうにして」
フィオルは
「僧侶と明日バトルだよ。」
アイラは
「ぎゃーーーーー‼」
もう少しレベル上げさせてからって思ってたのにーーーー‼アイラは
「こうしちゃいられない。スライムつぶそ‼こりゃ徹夜だよー」
フィオルは
「あ…」
その夜、スライムプチプチナイトになった。
プチンの快感止められない。レッツプチプチ‼
一人でプチプチ
二人でプチプチ
今日は徹夜でプチプチナイト‼