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勇者少女のチートがすぎます。  作者: フローラルカオル
武道家と共に
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神の夢

瞬く星の光。 星屑のように降り注ぎ消え行く儚き私の星…ひとつの命に肩入れしてはいけない。なぜなら、私は神だから…

目が覚めると一面の星空。フィオルは雲の上。

「なんてきれい…」


雲はパステルカラーのピンク色綿アメみたいなふかふかで、フィオルはベッドの上にいるみたい。


『フィオル…』

そしたら、声が聞こえた。


哀愁を帯びた瞳。大人びた声と裏腹にフィオルより、幼いのではないだろうか。少年は深い思慮に満ちた瞳でフィオルを見る。


「その声…神?」

フィオルはたずねる。


『ああ。私は神。ここは私の世界…』

外見の少年とはかけ離れた語り方


フィオルは

「神ー‼」


フィオルは駆け出して神といわれる少年を抱き締めた。少年は大人びた笑いを滲ませ

『臆する事もなく飛び込んでくるのだね』


そう言った。フィオルは

「会いたかったよ。あれからずっといるのかいないのか…」


『見ていたよ。君の頑張り』

「本当?」

フィオルは嬉しそう。


神は表情を曇らせ

『君にはあやまらなければならない…』


「え…どうして。私を勇者にした事…?」

フィオルはショックだった。


ここまで頑張ってきた事を否定されるこれだけは言わないでほしい。


『謝らせてほしい…』


フィオルは首をふり

「謝ってほしくなんかない。私…勇者になったよ。仲間もできたし、剣も少し持てるようになった」


神はフィオルを見ず

『君は、次の街でわざと負けるんだ。いいね…』


そしたら、足元の雲がふわりと霧散し、フィオルはガクンと体が落下し始めた。


「神ーーーーーーーっ」


そして、どこか森の中に落ちていく。見慣れた色のテント。そして


「か…み…」

フィオルは起き上がった。初めて野宿。ここは昨夜キャンプした場所。

フィオルはあの夢を思い出した。

次の街でわざと負けるんだ


あれは夢?それとも、本当の神の言葉?


神がそんな事言うわけない。だって…応援してくれてるはずなのに…


フィオルは胸元の服をぎゅっと握り、

(心が…痛いよ…)


私は弱くていらなくなった?勇者になったのに…こんなに頑張っているのに…


そしたらアイラが起きてきて

「うーん。おはよー。ったく、やっぱベットで寝たいねー。体ギシギシ」


アイラの明るい様子に


「そ…そうね」

フィオルは慌てて心を落ち着かせた。神がそんな事いうわけない。わざとなんて…だって神らしくない。


フィオルは、

「あー変な夢見ちゃった。えへへ。想像力豊かすぎてダメだな…」


アイラは

「えー?何々?なんか変な想像した?教えて教えてー?」


フィオルは苦笑いで

「雲から落ちる夢」


そして、自分の寝袋から出て畳み始めた。



移動は順調で、モンスターも包丁で戦っていたら、フィオルも役にたった。レベルが上がったおかげで、剣が軽くなったように思う。


確かに前に進めてる。このままレベル上げをすれば、きっと胸をはれるはず…なのに…夢の中の神、なんであんな事言うんだろう。神…寂しそうだった。それはどうしてだったの…?


フィオルは歩きながらずっと考えていた。そしたら、新しい街が見えてきた。アイラが


「街だ。でっかいなー。あたしの街よりでかいよ。あの街に僧侶がいるんだから、負けちゃダメだからね‼」


フィオルは言い淀み

「私…勝てるかな」


アイラは

「自信持て。また殴ったらいいんだよ。結構きくよ。脳天までビリビリーって」


フィオルは、自信なさ気に目を伏せる。アイラが出会った時のように、うつ向くフィオルと同じ。


アイラはわかった。勇者の重み。弱いがゆえの重みは、並みいる勇者を越えるだろう。

アイラは語り始めた。この弱い人が奮起してくれるように。



「あたしが武道家になってからの話。これまで来たやつら…まぁ勇者ね。あいつらみんな、腹が立つ奴らばっかりでね。女が相手ってなると、舐めた目、むけてくんだ。」


フィオルはきょとん




「あたしもバカじゃん?そういう奴らに負けとけば神の戦士になれんのに、そいつ等に負けるのすっごい嫌だった。だから、あたしの使命は勇者の選定だって役割思い出して、資格のない奴には絶対負けたくないって思った」



アイラは急に大人びた顔をした。形の良い横顔。負けず嫌いの唇がぎゅっとして



「だけど、あんたなら平気。あたし、あんたのためなら守れるんだ。勇者の選定ってそういう事だろ。あたしはあんた以外を勇者って認める気なんてない。」


フィオルは

「アイラ…」


「あんたが負けたら、あたしはまた勇者選定にあの街に戻る。あんたはただの村人に戻っても、あたしには使命があるんだ。けど、あたしにも自分の選んだ道が正しいんだってわからせてよ。一回だけしかないあんたって言う勇者の戦士でいさせてよ‼」


アイラの目がフィオルを見つめ

「思ってくれて…ありがとう。」


アイラは、フィオルを抱きしめ、

「勝ちたいだろ?」


フィオルは

「勝ちたい‼」


アイラは、

「じゃあ死ぬ気でやんな‼あたしがセコンドについてやる」


そしたら、フィオルはわらってしまった。

「リングがあるかわからないよ?」


僧侶との戦いだったはず。


「じゃ、そんときゃ諦めなー」

アイラはヒラヒラ手をふった。


「もう、がんばるよ‼」

フィオルは元気をもらったように笑った


「なら、プチッと、どんどん潰すッきゃないっしょー」

アイラは草の影を漁りはじめた。

「ほらいた。スライムの考える事なんてすぐわかる」

プチプチプチプチ……あっ、レベル上がった。

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