雨
城壁に守られた街を後にする時、サーラはなぜか門番に握手を求められ、拒否した。
そんなこんなあったが、今、うららかな小道を進んでいる。またしても散策するような気軽な様子でフィオルは進んでいく。飛び出すキングカナブンに掴みかかられてキャーってなったりして、倒した後、てへへって。
カナブンがフィオルの顔と同じくらいで、フィオルがカナブンになったと思ったと笑っていた。
のどかな小道はモンスターも飛び出す危険な道だが、怖いモンスターとばかり戦ってきた五人にとって脅威ではない。成長をすごく感じる時、幸せがあふれてくる。
「ふんふーん、ふーん♪」
フィオルは機嫌がいい。特に初日はこんな風な事が多い。ピクニック感覚だ。体力もついた分1日で進む距離も増えた。
目標攻略日数は7日。
なかなか次の街までは遠い。7日の間の野宿。いまだかつてない挑戦だが、そんな事も感じさせないくらいフィオルはウキウキしている。
その迂闊な足元に
プヨン
スライムだ。
「きゃーっ‼」
フィオルはこける。
メイサは
「そろそろ気を付けなさい」
杖でスライムぶっさす。
サーラが
「ふんっ」
一撃。
ブチャーッ
スライムぶちまけて、消える。汁恐れない人達。サーラもまた汁とか恐れない人だった。
マヤが
「うえーっ」
後衛のあまりスライムと戦わない人はまだ抵抗ある。
フィオルはそこで転がりながら
「えへへ」
もう何しても楽しいみたいだ。膝を払って立ち上がる。そしたら雲の影がかすめた。
灰色になった厚い雲がゆっくりと空を覆っていく。雨でも降るのだろうか。
ポツン
早くも降り始めた雨。
メイサは
「近くの洞窟に行くわ。こっちよ」
みんなを誘導した。駆け足で急ぐと、その間にもすぐに本降りになった雨がポツポツと降り注ぐ。
五分ほどたった後、山肌に現れた洞窟が現れた。
メイサはまだ入らないで。と指示し、アイテムメニューからライトを取り出した。それで洞窟の中を照らす。メイサは
「何もいないようね。入りましょう」
安全の確認がすんだらしい。一行は中に入っていった。中は洞窟と言うか、うろのようになっていた。あまり深くなく、ちょうど雨宿りにもぴったりだ。
いつの間にか激しく降り始めた雨。
アイラがそこの岩と岩に引っ掻けてロープを渡し、
「ほらほら、風邪引くよ。さっさと着替える」
等と言う。
メイサも
「この雨ならモンスターの動きも押さえられるわ。着替えましょう」
等と言った。ならいいだろうか。みんな服を脱いでタオルで体を拭く。狭い中は女の子達が五人うろうろするには少し狭い。
みんな着替えながら
「あら、肘があたったわ。誰かしら?」
サーラが
「すまない。鎧が脱ぎにくい」
なかなかガチャガチャやっている。
アイラが
「ちょっ、お尻触った?」
マヤが
「触ってないよ。ちょっとグーっで殴っただけ」
アイラは
「なんでだよっ」
マヤが
「近くにあったから」
堂々としてる。
フィオルは
「あーなんかわかるかも」
クスクス笑ってる。
アイラは
「まったく。火でも炊こうか。なんか暖まる物作るよ」
手早くミルクたっぷりのカフェオレと、カルツォーネというチーズとハムが中に入っているパンを網で焼いて渡した。




