次の街へ
メイサは思う。
フィオルのこの新しい装備の難点を上げるとしたら……露出が少ないこと。
せっかくの大きな胸がローブに隠れてしまってる。がっかりだわ。
メイサは道すがら、フィオルに教え込む。
「次の街までの攻略予定日数は3日。推奨レベル目標は13ね。」
等と言う。
「攻略日数? 推奨レベル目標?」
聞いたことのない言葉が並ぶ。
アイラは
「冒険者にはそう言うのあるんだよ」
フィオルには知らない話しだった。
メイサが
「かかる日数と、出現モンスターによって必要なレベルね。推奨レベルはだいたい1人って事を前提としているわ。けど、目安になるから覚えていてね」
博識だ。
フィオルが感心していたら
アイラは口を尖らせ
「知ってたし。フィオル、ここからはスライム以外も出る。引き締めて行こう」
アイラも負けじと持ち前の知識を披露する。
アイラとメイサはバチバチと火花を散らす。
フィオルはいつの間にか、足下のフワフワした新しい装備のファーの部分を見てる。
新しいローブのクリスタルを縫い付けたキラキラもいい。
幸せだ。
この重い剣さえなければ……。
装備の体力の補正が入ったせいか、少しは持ちやすくなった気はする。でも、それだけで、まだまだ重い。
いつになったら剣を剣として持てるだろう。
そう思って歩いていたら、道の先に、チョロッと何か茶色い物が飛び出してきた。
アイラが
「出歯ネズミだ」
そういった。
あまり小綺麗ではなかったけど、目はクリッとして愛らしいとも言えなくない。
名前の通り前歯が出ていて、噛み攻撃してきそうだ。
「うりゃあああっ」
とたんに、アイラが蹴り上げる。
メイサが
「シャインニードル」
何か光の針が飛んでいく。
ぢゅーーーーーーっ
ネズミの断末魔。
フィオル
「……」
アイラは
「ほらな。哺乳類系も出てくるから。後は、赤コウモリと、アゴ蟻な。」
メイサは内心、なかなか調べているわね。等と思う。
フィオルは
「え……う……うん」
さっきの衝撃的な断末魔がまだ忘れられないでいた。
あんな小動物の猫ぐらいのサイズの者……やっつけるんだ……
スライムと比べ物にならない罪悪感で、フィオルは青くなってる。
メイサが気付いて
「やつらは農作物をかじるわ。害獣よ。モンスターとしては底辺の奴ね」
なんて、そこら辺の動物と変わらぬ事を……。
やっつけられたネズミはもう体が消えている。
モンスターは体を残さない……。
それはフィオルが見てきた生き物の概念と違った。
少し可哀想な生き物なのかもしれない。
そうこうしてたら、
でっかい猫ぐらいの蟻が現れた。
アイラが
「アゴ蟻じゃん‼」
殴りかかっていった。
メイサも
「虫は打撃で潰すのがお勧めね」
バスンッ
ダスンッ
二人の女の子が蟻囲んで交互に殴っている
フィオルは
「いやぁぁぁぁあ」
返り血が緑で、割れた甲殻が生々しいよ‼
フィオルは剣を盾に、怯えていたのだった。
アイラは
「まっ、慣れだな。どうせ血まみれなっても後で消えるし。迷わず飛び込めるようになるのがフィオルの目標な」
メイサも
「急ぐ事ないわ。そうね。次の街に着くまでにできるようになりましょう」
フィオルは
「う……うん」
つい数日前まで村娘だったフィオルには、ゴキブリも殺したことはなかった。
その手をスライム液にまみれされる事も躊躇してたのに、夜通し潰し続けるなんてした事を思えば、やはり慣れ……
露出狂も三回目ぐらい見かけた時ぐらいから、なんとなく要領わかって、きゃーって言っとけばいいってことがわかった。
人生は案外そんな物なのかもしれない。
アイラが
「あっ、出歯ネズミ‼」
チュー
フィオルは、剣を構えようとしたら、その前にメイサが
「シャインニードル」
シュババッ
めっちゃきらめく針飛んでく。
ぢゅーーーーーーっ
やっつけた。
メイサが
「あっ、譲った方が良かったかしら?」
メガネをあげながら言った。
アイラは
「あたし我慢したのに」
フィオルは、
「ま……まぁ、頑張るから。ボチボチでいいよ」
むしろ、二人より早く動かないといけないのだろう。
しかし、素早さはアイラが一番高いので、アイラが先制となる。
アイラは
「よっし、次はタイマンな‼」
メイサも
「仕方ないわね。回復はしてあげる」
フィオルは
「う……すごい噛まれそう……」
アイラは
「噛まれると結構痛いみたいだよ」
悪気なく脅された。
フィオルは、
「大丈夫。突撃もあるし……」
しかし、突撃で、タックルするのやだな……。ネズミだし……
色々な苦悩はわいてきて、しょうがないフィオルだった。
次出たのは、アゴ蟻だった。
アイラとメイサはささーっと後ろにはける。
キチキチとしたアゴが10センチはあるだろうか。
腕くらい噛みちぎってしまいそうだ。
それに、すごく鋭い。
フィオルは剣をもって、蟻に向かって落とした。
くしゃあぁぁぁっ
思ったより、簡単に潰れた。
フィオルは
(あっ……虫はいける……)
なんかハエを叩く感覚だ。
割れ目さえ見なければ。
しかも一撃なら、なお良い。
アイラが
「すごーい。フィオル。やれたじゃーん」
メイサも
「すごいわ。フィオル」
なぜか抱きついてきて、フィオルは
「やったよ。えへへ……」
なんか抱きついてきた。などと思わない。
純粋に誉めてもらって嬉しそうだ。
フィオルにとって危険なのはこの二人かもしれないのだった。
アイラとメイサが交互にギューッてして、その豊潤な感触を噛み締める。
しかし、それでもフィオルは気づかない。
前の村でも女の子がこうしてくる事はフィオルにとって、珍しい事ではないのだ。




