二人の妹。
高校3年生、そう聞くと受験生というイメージが浮かぶのは一般的だ。
現在11月なのだが、俺の場合は推薦で決まっている。
そのため受験生という自覚は皆無だ。持つ必要ないし。
学校の先生はというと、
「まだ他にも頑張ってるやつもいるから気を抜かず、高校生としての自覚を持て」だの「他の子の迷惑にならないように静かに過ごしてね」だの、と言ってくる。
そんなん知るか。俺はもう大学生気分だわ!俺もがんばったわ!自由にさせろ!
こんなことばかり思う日々。内面強気外面貧弱な俺は従うことしかできないが…辛い…。
でも!その中見つけた最&高の癒し!小日向幸!通称さっちゃん!
「会いたいなぁ」「会えないわよ」「会いたいなぁ」「会えないわよ」「会いた…」「会えないってば!」
妹の飛鳥が容赦なく現実と言う名の弾丸を撃ってくる。痛い痛い…(心が)
「独り言うっさい!ほんっとお兄ちゃんってきっもいよね!二次元に恋するとか、死んだ方がましよ!とっとと戸籍変えて!檜山家の血が汚れるわ!」
「何もそこまで言わなくても…」
フンッ、とそっぽを向いてどっか行ってしまった。
「さっちゃんみたいな妹だったらなぁ…」
「ご、ごめんね、お兄ちゃん…」
独り言だったつもりが、歩乃華に聞かれていたようだ。
「ほのか、お兄ちゃんの好きな子みたいにかわいくなくて、ごめんね」
「ほ、歩乃華!?聞いてたのか…あ、いや、お前は十分かわいい、と思うぞ。十人十色って言うし、かわいいのも人それぞれだからなぁ、ははは」
「え、ほんとぉ?やったぁ…」
小さく握りこぶしをつくった歩乃華。殴られるかと思った…ヒヤヒヤ。
飛鳥と違って、大人しく可愛げのある歩乃華。なんで双子でこんなに性格とか態度が変わってくるんだ…。いや、シスコンじゃないからね!?
「この前はすまんかったな。プレゼント買うの忘れちまって」
歩乃華は、ゆっくり首を横に振った。
「祝ってくれる気持ちだけで、ほのか、嬉しい!プレゼントも、その、欲しかったけど、なぁ」
わりぃわりぃ、と軽く謝る。めっちゃいい子。彼女にしたいよ。血縁関係まじファ○ク!シスコンじゃないよ?ほんとだよ?
飛鳥に戸籍変えろとか言われたし、俺たち兄妹じゃない方がうまく行ったんじゃないか?
歩乃華と結婚できるし、飛鳥に心も体もボコされなくて済むし、金の使い道をさっちゃんに絞れるし。
世の妹を持たず、妹を欲す男子諸君に告げよう。妹なんていいものじゃないぞ。
存在自体面倒な上にずっと家にいやがるし、一緒に生活しなくちゃいけない。
しかも、かわいくないし(歩乃華は例外)「妹的」存在なら最高に萌えると思う。
だから俺はこう叫ぶ。
「さっちゃんが妹だったらn…」
「うっさいわよ!変態!」「ごめんね〜〜(泣)」
檜山家は今日も平和です。