悪魔の兵器
人は何かを日々奪っていた。それが当然のことで自分の物が日常が奪われるなど思ってもいなかっただろう。
ある極々普通の日のこと、人類は初めて全てを奪われた。取り返す事が出来なかった。生き残った人間はその日をENDと呼んだ。
「なんて世界だ。全てが壊れてしまえばいいのに。」
俺は霧坂大気。この春から高校生だ。自分には何もないし、自分を頼る人も一人もいないと思っていた僕だが初めて友達ができた。同い年の女の子と同じく同い年の男子だ。名前は田中和人と若山いのり2人とも出会ってすぐに好きになった。自分と気があう始めたの人間だった。
「おい、大気授業中位起きとけよ!小島に説教されるぞ。」
いつものことだ寝ている俺を和人が起こす。
しかし、これは現実なのか分からない世界の中での出来事だった。
全ては2年前のENDの影響だった。ENDは2025年8月1日に起こった。その日人々は見た、ありえない、起こるばずがない、SFの世界だけだと人間が思っていたこと。惑星ワープだ。太陽系に現れたその惑星は地球の体積の約150倍、空気があり、生命反応もあった、当時は何千億もの人間が住んでいると思われていた。文明の発達度は地球と大差はなくやや地球の方が劣っているくらいだった。その惑星はプラントBと名付けられた。
「なんだあの惑星は、青いまるで私たちの星のようじゃないか」
「我々の星よりも文明は進んでないみたいですね。このまま攻めても問題ありません。」
プラントBは地球に攻撃を仕掛けた。文明の差がないので総力戦が続いた1週間にわたり戦いが続いた。地球の被害者は約3000万人プラントB側の被害者は6000万人にもなった。地球は非常事態を宣言し、一時的に世界平和条約並びに軍事協力協定を結んだ。まさか、世界平和がこのような形で訪れるなどだけも想像していなかっただろう。地球には勝ち目があった。圧倒的な力だ。地球に元々古代文明と呼ばれる物があった。その文明の差は今の地球の1万倍だと言われていた。そして地球人は古代文明の設計図を使って兵器を作った。名はPK-1ピースキーパーと呼ばれるその機体は最高速度秒速300光年のスーパーからルーズを搭載しており、プラズマ砲は一発で地球を消せると予想されていた。しかし問題があった。適正者でないと操作できないこと。かなりの訓練が必要なこと。そもそも適正者が少なすぎること。などなど沢山の問題点があった。そして1番最悪なことは、この俺霧坂大気が適正者であることだ。
俺たち適正者はすぐさま軍に引き取られて訓練を受けた。激しい訓練を予想したがそこまで訓練は苦しくはなかった。僕が操作するのはPK-1AR輸送機を援護する戦闘機だった。2年の訓練を終えてついにプラントBに向かうことになった。俺には輸送船の護衛ともう一つこちらが本命の依頼であった。それはプラントBで生活し情報を探ること。2027年4月25日それは起きた。地球とその惑星との距離は33光年スーパークルーズを使えば1秒もかからない距離だ。この2年間大きな戦いは起こらず冷戦状態が続いていた。
「こちらスレイヤー11、HQプラントB上空を飛行中、これより攻撃を開始する。」
「了解、スレイヤー11攻撃を開始する」
「おい、大気大丈夫か?」
「大丈夫に見えるか?」
「いや、悪い。そんなわけないよな。目の前で大量にに人が死ぬなんて考えたくもないよ」
「ああ、殺しなんて何も生まない。悲しいだけだよ。」
プラントBも地球の動きを察知した。すぐさま惑星防御壁を起動した。これはあらゆる攻撃を無効化すると言うものだった。プラントBは安心しきっていた。それは地球側もプラントB側も想像していなかったことだった。
「ミサイル発射!ヒット。攻撃が効いていない。バリアのような物が惑星を覆っている」
それを見たプラントB側は笑った。あまりの力の無さにしばらく様子を見ることにした。
「プラズマ兵器に切り替え、プラズマ砲発射!」
その時の様子は地球全土に生中継されていた。皆が見た悪魔の兵器を。
「プ、プラズマ砲ヒット....なんてこった穴が空いたぞ、信じられない、一発でこの威力。」
プラズマ砲はプラントBのバリアを貫通、直径3000キロメートル深さ7000メートルの穴を開けた。
「大気....今のって、あり得ないだろ。」
「このなの間違っている、どれだけの人が死んだんだ?これは人がやっていいことではないだろ。」
プラントBは降伏した、それから3日後のことだった。被害者は250億人。俺は現実を受け入らられないまま現地に降り立った。現地人はその日を人の過ちと呼んだ。
「おーい、大気授業始まるぞ。」
もし、この俺がPK部隊の一員だと知ったら和人といのりはどのような反応をするのだろうか。考えたくもなかった。ー続くー