1章~狩猟本能解禁?~
1話ながいですかね?感想願います。
「でっけぇ・・・」
あれから。
俺は案内され、ギルドの前にいた。
ダングさんいわく、ここは小さい村らしいが、それにしてはギルドでかすぎだろ。
気にはなっていたが、人も多い。
中には、装備を纏ったいわゆる冒険家がたくさんいた。
「ここがギルドです。ここでは冒険家になることが出来ます。中に入れば説明を受けると思います。それでは」
とだけ言って案内してくれた人はどこかへ行ってしまった。
随分と冷たいな。ああいう性格なのかな。
もしかすると村長の前だけ従順になっているのかも。
なかなか複雑ですな。
まぁとりあえず中にはいるか。
ギルドはレンガで作られており、誰でも入りやすくしているのだろうか、扉なんて物はなかった。
と、ここで俺は気付いた。
服がボロボロなことに。
(やっべぇぇぇ!超恥ずかしいんですけど!)
そう思うが俺は無一文。
顔を赤くしながらギルドの中へ入った。
案の定、ゴロツキのような、というかほぼゴロツキの冒険家から笑われた。
くっそぉ!今に見てろよ!
俺はおどおどしながらカウンターのようなところへ向かった。
「あのー・・・すいません」
「うわっなにこのボロ雑巾!?」
何だとコラァッ!?
俺のことをボロ雑巾扱いした女性受付員は思わず言ってしまったらしく、ばつが悪そうに、
「・・・ラ・ファン冒険家ギルドへようこそ」
「今更取り繕ってもおおお!!!」
「いやぁーすいません。思ったことすぐに口に出してしまう性分でして・・・」
「俺本当にボロ雑巾なのね・・・」
「いやいや違うんです違うんです!その服がボロ雑巾なのでして!あなた自身はボロ雑巾では無いですよ!」
「服はボロ雑巾って言っちゃったよ!」
何だこの受付!だんだん腹立ってきたぞ!
「ま、まぁまぁ。落ち着いてください」
「落ち着いていられるかよ!」
「騒いでも、無駄ですよ?」
「何で急にテンション下がんだよ!何か俺だけ騒いでて恥ずかしいじゃねぇか!」
「まぁまぁボロ雑巾」
「んだとゴルラァ!」
わーわー叫び続ける俺。
俺がわーわー言うのを見て、受付は笑い出した。
今度は何がおかしいのかよ!
「いやぁー・・・。面白いですね、あなた」
「誰のせいでこんなんなってると思ってんだよ!」
「アハハハハ!」
ついに受付は涙を出しながら笑い出した。よく見れば周りも笑っている!
くっそぉ・・・今に見てろよ・・・
「からかいがいがあって・・・すみません。ようこそ、ラ・ファン冒険家ギルドへ!」
「手のひら返ししやがって・・・」
「ここ冒険家ギルドでは、冒険家になるための冒険家ライセンス、訳してハンセンスを発行しています」
聞く耳持ってねぇ。というかそれよりも。
ハンターという言葉の響き。すごく聞き覚えがあるような・・・
あれは確か・・・
「冒険家には、クエストを提供しています。ランクが存在して、始めはみそっかすのようなクエストしか受けることが出来ませんが、」
クエスト・・・?これも聞いたことがあるような・・・?約165年くらい前に・・・
「クエストをクリアしていけばいくほど、あなたのランクは上がっていき、受けられるクエストランクも増えていきます」
ランク・・・クエスト・・・ハンター・・・。
ハッ!
クエストランクを上げるため、ハンターが頑張る・・・。
自らのランクを上げるためクエストをハンターが行う・・・!
これは!
て~ててて~てててててて~てて~て~て~ててて~ててて~て~て~
俺の頭の中で某狩りゲーの音楽が駆けめぐった!
分からないやつは「英雄の証」で調べろ!
俺はカウンターにほぼ乗り上げたような感じになりながら、
「それは狩猟本能が解禁されるということか!?」
「狩猟本能・・・?えっと、まぁ、モンスターを狩ってきて欲しいというクエストもありますが・・・」
「ひゃっほう!」
やっぱこの世界にもいるのかな!ドスなんちゃら!
「・・・そういう討伐系クエストはランク3以上にならないと受けることが出来ませんよ?」
「ズコーーーッ!」
俺は昔のギャグ漫画ばりにずっこけた。
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「・・・ではアレド・ソウファールさん。あなたをハンターとして認めます」
ずっこけた後、俺はハンターの注意点やなんやかんやを教えて貰い、ハンセンスを貰おうとしていた。
決してハンターの注意点を書くのが面倒だったわけでは無い。
決して。
「ありがとうございます」
形式状、ハンターにとってギルドは目上なので頭を下げる。
俺はギルドに頭を下げたのであって、決してこの受付に頭を下げたのではない!
「それでは入会料の500アストいただきます」
・・・へ?
「えっ・・・?」
「いや「えっ・・・?」じゃなくて。入会料です、入会料。こちとら商売ですから」
・・・く、くっそぉ。今にみ、見てろよ・・・
「すいません・・・お金持ってないです・・・」
「嘘でしょ・・・まさかそのせいでボロ雑巾を・・・?」
「いや俺はボロ雑巾を着ているわけじゃないから!」
「まぁ・・・」
「止めてくれ!哀れむような目で俺を見ないでくれ!」
俺がどうしようか悩んでいたとき。
「おい」という声がしたかと思ったら、おそらく500アストだと思う硬貨を持っているごつい手が突き出された。
なにごとかと後ろを振り向いてみれば、その手の持ち主にふさわしい巨体。背中には無骨な大剣。
俺が大体170センチだから、2メートルぐらいはあるのでは・・・?
左手にはこれまた大きなトートバッグのような物も持っている。
「ワダツミさん!」と受付。
ワダツミ?えらく和風っぽい名前だな。
「この小僧に俺の金を貸してやるよ」とワダツミ。
「えっ!?マジでいいんすか!?」
「おうよ。売れる恩は売っとけってな」
・・・かっけぇー。ワダツミさんかっけぇー。
「では・・・確かに500アストいただきました。これでアレド・ソウファールさんは正式にハンターとなりました!」
そう言った途端に、後ろで俺のことを笑っていた連中が拍手をしてくれた。
ゴロツキまでもが。
あんたら・・・。最高だぜぇ・・・。
不覚にも泣きそうになった。
「アレド・・・といったっけな」
ワダツミが俺に声をかけてくる。
「はい。そうだけど」
「お金を持ってないんだったらどうせ装備も持ってないんだろ?」
「・・・その通り」
「だったら」とワダツミは手にしていたバッグから1本の剣を取り出した。
「これを貸しておいてやるよ」
「これは・・・刀か」
「おっ。お前刀を知ってるのか?」
「えぇ・・・少しは」
大嘘である。
俺はサムライとしての人生も歩んでいるので、刀ほど扱える物は無い。
欲を言えば、俺の愛刀、菊一文字が良かったけど。
「刀の発音も合っているな。普通ならカタナというのにな。お前、どこ出身だ?」
うわっ。一番聞かれたくない質問来たコレ。
何て言ようかな。覚えてないんだよな。地名なんか。そもそも合ったのか?
「いや・・・俺漂流者で・・・」
あぁ!とワダツミと受付が合点がいったように声を上げる。
「お前が例の漂流者か!気にはなってたけどお前だったとはな」
「だからボロ雑巾なんですね!」
「ボロ雑巾やめい・・・。とにかく、今俺はお金が無い。今すぐに受けることの出来るクエストなんかは無いか?」
「今すぐ受けることの出来るクエストですか・・・」
受付は手元に置いてある紙をパラパラと見ていく。
その間に俺はワダツミに礼を言った。
「この刀、本当に使って良いのか?」
「あぁ、いいさ。最近使う機会が無くてな。ちょうど良い機会だったさ。刀も喜ぶだろうさ」
「そっか・・・。なら感謝するよ。銘は?」
「ほう。銘すらも聞いてくるか!生まれは一体どこなんだか・・・。銘は「牡丹」だ」
牡丹、ねぇ。なかなか格好良いじゃねえか。
「アレドさん、なんか希望とか無いですか?無条件だとさすがに厳しいですよ」
と首を回す受付。お前それが仕事だろ。
・・・なんか最近も言ったような・・・?
「そうだな・・・あっ」
おれは一つの可能性を思いついた。
「捜し物クエストとかありませんかね?なかなか報酬がいいのとか」
「捜し物ぉ?随分とものすきですね・・・。ありますけど」
「ありがとうございます。なんとなく俺には合ってそうだからさあ」
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「見つけたぞー」
「「はやっ!」」
「そうか?俺はただ適当に歩いただけだけどな」
俺が受けたクエストは「無くした指輪の捜索」といったもの。
俺はただただ適当に歩いただけなんだけど。ちょっと一休憩したくて座ったベンチの下に落ちてあった。
いやぁーすげぇわ俺の運。
色々とやっちゃった感が出ましたね。
これからも色々とやっちゃうと思うので期待してください。
ちなみに受付の名前は決まっていません。