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11回目の異世界にて。  作者: ユキサキ
3/10

1回目

「1章~異世界転生より異世界転移~」にて、職業の高校生を大学生に変更しました。

あんまり変化は無いんですが、一応報告させていただきます。

1回目の人生は貧しい農家の家に生まれた。


幼い頃から農業について学び、モンスターなどが来たら身を守れるようにと、ある程度の護身術も教えてくれた。

ただ、所詮付け焼き刃程度の技なので、本当にモンスターと出会いそうになったら真っ先に逃げていた。


俺が15歳のころ。

親からもらった少しの畑で俺は野菜を育てていた。

俺は野菜が出来上がるのを楽しみにしていたが、その年は例年を見ない雨の少なさで水不足に見舞われた。

他の農家の野菜が次々と枯れていくのを見て、俺は残念に思った。


が。

俺の畑・・・にあった野菜のみ枯れなかった。

たまたま(・・・・)、俺の畑の下には地下水が溜まっていて、それを使って野菜は成長していたらしい。

俺はそのとき、不思議には思ったが、とりあえずの奇跡を家族とともに喜んだ。


その次の年は、俺も大きな畑の手伝いをするようになった。

すると、俺が手伝った範囲のみ、豊作中の豊作、大豊作となった。

傷んだ野菜など1つも見受けられず(・・・・・・・・・)、見るだけでお腹が空くような、そんな野菜が育った。

さすがに俺もコレには驚いた。

けど、この野菜たちのおかげで俺の家はたちまち裕福になる。

家族のことを救えたことに喜び、考えることを忘れてしまった。


それからというもの、俺は全面的に仕事を手伝うようになり、年を重ねるにつれて、野菜の売り上げは上がっていった。

何も心配はいらないなと思っていた矢先。


それは俺が20歳になる日の前日(・・・・・・・・・・)に起こった。

その日は大雨の日だった。

俺はいつも通り、畑仕事をしていた。

雨が降っていても、野菜の世話は欠かせない。

全ての野菜の様子を見て、家に帰ろうとしたその時。


ピンポイントに、俺がいた場所に雷が落ちた。

雷をまともにくらって俺は気を失い、そのまま死ぬことになる。



俺が次に目を覚ましたのは、なんだか不思議な空間だった。

着ていた服はついさっきまで着ていた仕事用の服と同じなのだが、

ついさっきの記憶も覚えている。

俺は雷に当たり、死んだ。

そのことは意外にもあっさりと理解する事が出来た。


次に目に入ったのは、目の前の存在。

中性的な顔をしており、男か女かを判別するのは難しい。

服は何の素材で出来ているのか分からないような生地で、何と呼ぶのか分からない、見たことのない服を着ていた。

そしてなによりも。

翼が存在していたことに俺は驚いた。


俺が今の状況を飲み込めていないと、目の前にいた存在が話しかけてきた。


「アレド・ソウファールさん」


俺の名を確かめるように響く、柔らかい音。

声から、女であることを理解することが出来た。


「は、はい・・・なんでしょう・・・?」


「あなたは誠に残念ながら死んでしまいました・・・。

しかし!あなたは神に選ばれました!もう一度人生を謳歌する権利が与えられます!」


いきなりまくし上げられた、その言葉。

俺はゆっくりとその言葉の意味を考え、そして驚いた。


「え、えぇぇぇ!本当にですか!?」


「はい!貴方の人生は無念が残る結果となってしまいましたが、神の慈悲により、もう一度生きることが出来ます!」


「やっっったぁぁぁ!」


俺は人の目も気にせず、大いにはしゃいだ。

と、ここであることに気が付く。


「ん・・・?えっと・・・、神の慈悲とかは理解できましたけど・・・そもそも神って存在していたんですね」


「はい」


「ということは貴方は・・・」


「私は天使ということになりますね」


「・・・本当にいたんだ」


俺は小さい頃、親から天使と神様について話を聞かされていた。

この世界を作った野が神様でそれに従っているのが天使。

そんなおおまかなことを言われた俺は、正直、信じていなかった。

それがどうだ。

神と天使は本当に存在し、俺にもう一度生きる権利を与えてくれているではないか!

俺は全てに感謝した。


俺が落ち着いた所を見計らって、天使は話し始めた。


「異世界転生の権利が与えられたアレド・ソウファールさん。貴方に異世界転生についての説明をいたします」


「ん・・・?異世界転生・・・?」


聞き慣れない言葉に俺は疑問を感じた。


「はい。異世界転生です。この『世界』には、無数の世界が存在しています」


「無数の・・・?」


「はい。あなたがさっきまでいた、アストラルという世界もその『世界』の1つです」


俺はそもそもアストラルという名前がついていることが知らなかった。


「そして、異世界転生とは、その名の通り、あなたがいたアストラル以外の世界に魂を転生させることなのです」


「なるほど・・・」


完全に理解したとは言い難いが、必要最低限の情報は何とかあたまに入れた。


「異世界転生する場所は私たちが決めます。貴方はアストラル以外の世界のことを知らないですしね」


「確かに・・・」


「では説明に戻ります・・・えーっとこれはもう説明したから省いて良いよね」


「ん?最後の言葉がよく聞こえなかったんですが・・・?」


「いえいえ!何でもないんです、アハハ!」


「それだと良いんですけど・・・」


「良いんですよ、アハハ!では説明していきますね!

貴方が異世界転生出来るのは、神にその権利を授かったからです。権利を授かるには、1つ。20歳以下で人生を終えていること。2つ。無念が残る人生であったこと。この2つの条件を満たしていれば、抽選で異世界転生の権利が与えられます」


「チュウセン・・・?」


「あーっと、そっか、貴方は農民でしたよね、難しい言葉は分からないか・・・。まぁ、とりあえず運が良かったんですよ!」


「そういうことなんですね」


「はい。では最後に。異世界転生では自分の願いを1つ叶えた状態で行うことが出来ます。

1回目の人生で果たせなかった無念を果たすために異世界転生は行われますから、何でも願いを叶えることが出来ます。もしも「お金持ちになりたい」という願いをしたなら2回目の人生では大富豪の子どもにでもなっていることでしょう。

以上で異世界転生の説明を終わります。質問はあるでしょうか?」


「・・・・・」


俺は少しの間考え、ありませんと返答した。


「さて、これで異世界転生する準備は整いましたね?それでは願いを決めて下さい」


「願い・・・そうですね・・・」


願い、と急に言われても、パッとは出てこない。

俺には人生において不満や無念なんかは無い。

親が喜ぶ姿が見られればそれで良かった。

そういえば。俺は生まれてこの方農業以外の仕事をしたことが無かった。

農業以外の仕事のことをそもそも知らず、他の仕事という考えが無かったのだが、今考えてみると、他の仕事をしてみたいという思いが沸いてきた。


「強いて言うならば、農業以外の仕事をしてみたいですね」


「農業以外の仕事ですか・・・。うーんと・・・。そうですね・・・」


天使は長い間悩んだすえ、


「あぁ!それなら最近若い世代の人口が減少している世界がありましたね。そこに転生させるとしましょう!」


「若い世代?どういう・・・?」


「えぇ、その世界は数多くの国に別れていましてね。その中の1つが少子化の一途をたどってますからね・・・」


ショウシカ?聞いたこともない言葉が出てきたぞ?


「まぁ、言ってみれば分かります。0歳からまた人生を始めますので、最初の頃は自我があるのに動けない、何てジレンマにとらわれますけどそこは我慢してくださいね」


そう言い終わると俺の足下になんだかよく分からない模様の光が表れだした。


「これを転生門と言いましてね。これを使って転生するんです」


天使が何やらブツブツ言っていると、その光はさらに輝きを増す。


「それでは」


天使は俺を見つめ、


「行ってらっしゃい!」


そういって俺は意識が飛ぶのがハッキリと分かった。

薄れていく意識の中、


「あぁ!」


と天使が叫ぶ。


「そういえば異世界の名前を言うのを忘れていました!」


俺は返答出来ず、ただ黙って聞くしかない。


「異世界の名前は・・・『チキュウ』といいます!」






後にこの『チキュウ』というのは『地球』であり、異世界の名前では無いことを知るのだが、それはまた別のお話。

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