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再成勇者の代理戦線  作者: 豆鋼
3/3

第一戦目 「リアルRPGだと思ったらキャラメイクがあって、尚且自動的にミスってた」

とりあえず第1話です。


「嘘だろ……」


 思わず呟きが漏れる。

 いつもの様に登校している途中で、いきなり黎の目の前に光り輝く魔法陣が出現していた為だ。

 昨日、一週間ぶりに、やっと日本に帰ってきたと思ったらこれである。正直しんどい。

 ふと、目の前でキラキラと輝いている魔法陣から呼ばれた気がした。


「ちょっとくらい休ませてくれたって……」


 だが、吐き出した溜め息とは裏腹に、魔法陣へと駆け寄る黎の足取りは軽かった。まるで、危ない遊びの大義名分を得た子供の様に。


 魔法陣の中央に立ち、目を閉じる。

 すると、驚くことに、段々と体中が透けていく感覚に襲われる。

しかしそれは気のせいなどでは無く、本当に実体が無くなろうとしていた。

 徐々に薄くなっていた黎の肉体が、光の粒へと完全に分解され、魔法陣の中心へと吸い込まれてゆく。


 わずか数秒後、まるで最初から居なかった様に、黎という存在が地球上から消失していた。



 ◇◇◇



「うぅ……」


 体がゆっくりと、目を覚ます。


 焦点の合ってきた瞳が最初に捉えたのは、目を瞑り、祈りを捧げる様に跪く、神官の様な姿の男であった。


 後ろにも目を向けると、どうやら自分を中心として円状に、同じ様な服装の十二人ほどの男達が、祈りを捧げている様だった。


 様子も服装もそれっぼいし、リアルRPG来たか。

 パッと考えつくRPG主人公といえば、最初から勇者で、召喚なんてされないのだけれども。

 そこは召喚モノなので、妥協して頂きたい。


 とりあえず、召喚されたは良いが、誰ひとりとして目を開かないし、確認もしてこない。

 話し掛ける言葉を考えながら沈黙を五分ほど味わった後、


「あのー……?」


 話しかけてみたのだが、完全にコミュ障である。

 それと、なぜか声が高い気がする。召喚の時の不具合とかなのかもしれない。

 ちゃんと召喚してくれよ……。


「おぉ! 貴方様が、我らが祈りに応じて下さった勇者様なのですね! なんとお見目麗しい……」


「う、うん……ありがとう……?」


 何故俺は感謝の言葉を述べているのか……

 改めて自分のコミュニケーション能力の低さに辟易させられる。


「ところで……」

「ん?」

「僭越ながらお伺いしますが……その装い、あちら側では貧しかったりするのではございませんか?」

「はい……?」


 意味が分からず、とりあえず「装い」と言うからには服の事だろう、と確認すると。

 とりあえず分かった事が二つ。

 一つ目は、体が小さくなっていた事。

 声が高かったのも、これが原因と見て間違い無さそうだ。

 そして、二つ目は、服のサイズが合ってなかった事。

 なるほど。小さな子どもがだぼだぼな服を着ていたらまず、盗んできたのか、もしくは買ってもらえなかったのか、と想像するだろう。


「……だぼだぼな服?」


 迫る危機に気がついたその瞬間、制服のズボンとトランクスが床に落ちたのであった。



 ◇◇◇



「うううぁぁぁぁ……」


 黎が召喚されたのは、城の地下の召喚室であった。

 あの後、神官が入口の兵士に、サイズの合う服を調達して来るように命令し、黎はそれまで個室で休むことを薦められていた。


「なんで……」


 そして今、誰も居ない部屋のベッドの上で、だぼだぼな(そういう性癖の人が見たら若干アウトな感じの)高校のブレザーを上だけ来た「少女」が、体育座りで俯いていた。


「ショタじゃなくてロリなのよぉぉ……」


 そう。何となくは、感じていたが、信じたくはなかった予感。

 ズボンとトランクスがキャストでオフ的なことになった事により、確信に至ってしまった事実。

 男性を象徴する、エクスカリバーの消失。

 それすなわち、女性であるという事である。


「初めて見た生の女性の体が自分とか……」


 しかも、かわいいから手に負えない。

 ……自分の事だけど。


最後、こんな感じで良いのか……

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