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ファイナルエデン  作者: 一倉弓乃
6/12

6

 山を下りたあたりで、空がにわかに曇りはじめた。

「…まずいな。急ごう。」

 先輩がぽつりと言った。

 2人で急いで、別荘へ戻った。

 ぽつぽつ降り始めたところで、無事戸口にたどりついた。

「ギリギリだったな。」

 溜息をついて呟くと、戸があいて渋澤さんが出てきた。

「陽介さん! まにあいましたか。よかった。今迎えに行こうとおもっていたんですよ。…早く入って下さい。雨戸を閉めますから。」

 僕らが中に入ると、澁澤さんは急いで玄関口のスイッチを押した。

「…ぬれませんでしたか?」

「ああ、大丈夫。」

「でも一応、シャワーを浴びてください。髪が変色しては大変ですから。」

「…そんなに強いんですか、最近は。」

「さてね。私はなったことないけれども。でもたまに色が抜ける人もいるらしいですよ。エリアの人たちは雨なんかあたったことないでしょう?何かあったら旦那様にしかられてしまいますから。」

 澁澤さんに追い立てられて部屋に戻ると、ちょうど窓の外に対酸性の雨戸が下りるところだった。もっとも雨戸も硬化樹脂の一種らしく透明だったので、少し暗くなるほかの変化はなかった。

「春季、そこのシャワー使いな。俺、隣使うから。」

 先輩がクロゼットからバスタオルを出して、僕に投げてよこした。

 土いじりをしたので、髪も爪もどろどろだったし、汗もかいていた。

 僕は大人しく従って、シャワー室を使わせてもらった。

 …急に、寒くなった。


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