覚醒の兆候
どうもボブジョニーです。
今回の話は蒼生と片割れ(狼)の決着の話です。
草木の間を潜り必死の逃走劇を繰り広げる少年の姿、その後をハッハッと荒々しい呼吸をしながら眼をギラつかせ追いかける狼の姿があった。
「(ヤバいな、呼吸が荒くなってきた。そろそろ何とかしなきゃコッチが先にやられる)」
そう思い後ろを振り向き狼との距離を計る。
「(よし、今度はこっちから攻撃を仕掛けてやる!)」
そう思ったが吉日、早速作戦を頭の中で練っていく。
「(罠を仕掛けるのはまず無理、真っ正面から仕掛けるにしたって相手はあんな爪を持っているから自殺行為にしかならないだろう…)」
次々と頭の中で候補を消去していくそして不意にある一本の枝に目線が行く。
「(フッ、久々にあれを使う事になろうとはな…)」
そうして自分の栄光時代を思い浮かべる(つい最近だが)
「ふはははは!決まったぞ犬っころお前を倒す算段がな!」
そう言ってついさっき見た枝の方へと全速力で走っていく。そのあとに続いて狼も眼を血走らせながら後を追う。
「鉄棒のソウちゃんと言われた実力を思い知れ!このバカ犬がぁ!」
そう言って調度自分の頭ぐらいにある木の棒に捕まり1回転する。そして回った体を調度狼が飛びついて来るであろう位置で手を離しそのまま蹴りを入れる。
だが蒼生の体も一緒に飛んでしまい、狼は木に蒼生は近くにあった岩に体をぶつける。
「げほっ!グッ」
岩に当たってしまった場所をさすりながら狼が当たった木を見る。
「やったか?」
すると木の影からヌッと狼が大したダメージを受けた様子もなく現れる。
「ああ、畜生渾身の一撃だと思ったのに…」
そして再び走って来る狼。しかし自分はまだ走るには体が回復しきっていない。
「(俺はこんな所で終わるのか)」
自分の友達を思い浮かべる。
「(結局俺は何も出来ないまま終わるのか?こんな所で)」
自分の唯一の家族の妹の笑顔が頭を過ぎる。
その瞬間体の中に何かの力が篭り、気力を振り絞って立ち上がり狼を見据える。
「俺はまだこんな所で、終わるわけにはいかないんだよぉぉぉ!!」
自分が死んでしまったとき泣いている妹の姿を思い浮かべる。そんな姿に、気持ちにさせたくない。その一心で拳を握り狼に振りかぶる。
辺りが静寂に包まれ自分の拳が狼の顎に当たる感触がする。それと同時に拳から何かのエネルギーが流れそれが狼に届いた瞬間、バンと小さな爆発をがしたような音を立てて狼の頭が爆ぜた。
「何だったんだ…今のは」
首の無くなった狼の死体と自分の手を交互に見ながら呟く。
「俺がやったのか」
呆然としたまま狼の死体を見つめていたが頭に鈍い痛みが走り視界が段々と黒に染められていく。
「(ああ、どうにか生き残れたよ唯花)」
そのまま蒼生の視界は闇に閉ざされていった。
最後まで読んでいただき有難うございます。
いや〜自分ではなかなか良い感じに出来てるんじゃないかな〜とは思うのですが中々上手くいかないのが現実というものですよね。 これからも頑張っていきたいと思いますのでよろしくお願いします。