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十日目の訓練

 遅くなってすいません。

 感想をいただけると幸です。


「さてと、そろそろ起きるか」


 まだ太陽が出てきて僅かな時間しか立っていない頃、蒼生は自室のベッドからモゾモゾと這い出し壁に掛けてある自分の服に手をかける。


 ちなみに服は蒼生が毎日手洗いをしているため、こっちに来たときに着ていた服以外にもディオスの町で買った衣類が何着か壁に掛けてある状態である。


「さてと、先ずは寝巻きの洗濯からだな」


 そう言って自分が先ほど着ていた寝巻きを持って洗面所に向かう蒼生。


 そこには二本のパイプで繋がれた木製の洗濯機のような物があり蓋を開け隣に置いてある洗濯籠の中に有る衣類と一緒に洗濯物を入れる蒼生。


 隣に置いてある大きめの桶を持ち外へ出て行く。


 この世界には数多のハイテク機器が有るにも関わらず何故か水道が無いので、こうして毎朝外へ出て井戸から水汲みをしなくてはならないのだ。


「これで良しと」


 汲んだ水を洗濯機の中へと落とし蓋を閉めてメーターを強に回して一息つく。


「よし、これから自主トレだ」


 自分の部屋へ戻り壁に立てかけてある木刀に手を伸ばす蒼生。

 フェルナンドの訓練は主に剣を扱っていてこの世界では何時か役に立つと思い真剣に取り組んでいる。

 ちなみに兵士達は必ず二つ以上の武器を選択しなければならない。

 各分野のプロフェッショナルが教えており、下の様に別れている。

[剣・ランス・弓・打撃・格闘・双剣・槍・短剣]


 そのうち蒼生は剣と格闘を取っており、剣はフェルナンド、素手は別の先生に教わっている。   ちなみに一番人気は剣で一番不人気(というか蒼生以外に選択者がいない)が格闘技だ。


「よし!先ずは素振り100回を5セット。次は師匠に言われた筋トレ、最後に波動と神術の練習だ」


 場所は中庭、木刀を降り始める蒼生。蒼生の言っていた師匠とは格闘の先生でその人の一族に伝わる波動も何故か教えて貰っていて、本人曰く「才能もあり真っ直ぐとした心の持ち主だ…この子になら自分の全てを託しても良い」らしく偉く気に入っている。


 素振り5セットが終わり次に筋トレに入る蒼生。


「先ずはバランスを取りながらの拳立て200回」


 そう言って腕の太さより少し大きいサイズの丸太3本を三角形の形で並べる。

 次に三角形の頂点に両足を、残り二つに両腕を拳を握り乗せて腕立て伏せを始める。


「ふっ、ふっ、ふっ(確かこの時体を廻る波動を感じながらやると良いんだっけ)」


 腕を上下しながら眼を閉じ、血液と共に体を廻る波動を感じる蒼生。


「(暖かい感じがするな、神力や俺の固有能力とはまた違った感じだ)」



 数えて200回が終わり少し息を整えてから足、腕、腰に計20キロ程の師匠から渡されたバンド型重りを着ける。       

 ちなみにそれぞれの重りに文字が書いてあり、手に友情、足に努力、腰に勝利の文字がデカデカとあり一体何処で知ったのか?ワザとやっているのか?と本気で疑問に思った。


「さあ、町内一周30キロマラソンだ(正確な距離はわからないが)」 


 波動で体を青色のエネルギーで覆い身体強化をおこなって走り出す。              短距離選手並の速さで門を潜り町へ出る蒼生。


 これでもまだ五分の一程度の力しか出していないもので体力自体も強化されているから自分の体のハイスペックさにほとほと呆れる蒼生。


 僅か数十分で戻って来る蒼生、最後に自分の中にある神力を波動と混ぜ合わせる。       

 これにより蒼生の頭髪が黒から金色に青を薄く混ぜたような色になりそこに一種の神秘を感じさせる姿になっていた。


「だが問題は…」


 自分の中にある神力と破壊の力(仮)を両の掌の上に溜める。


 右は金色に光る神力、左は漆黒に輝く破壊の力(仮)。それを近づけ混ぜ合わせようとする。

 するとまるで水と油のように互いに反発仕合い、小規模の爆発が起こる。

「げほっ、げほっ、はあ、風呂にでも入るか」


 髪は盛大に跳ね体の所々に焦げ跡を残しながら、トボトボと家の玄関へと歩いていった。



▽ ▲ ▽ ▲




「さてと、今日は蒼生君の練習最終日だ」


 城の下の練兵場。数多戦士達の魂の声がこだまし、互いに切磋琢磨をする場。その一角でヘレナは蒼生と話をする。


「まあ特に試験が有るわけでは無いが、何君が何処まで成長したかを見定めさせてもらおうと思ってな」


 突然そんなことを言うヘレナに首を傾げる蒼生。


「確かめるって、何時もやってる魔物モドキとの対戦ですか?」



 それに違うと答えるヘレナ。


「いや、今回は私と闘って貰う」「え?いや無理ですってそんなん、第一あの風の刃の応酬をどうやってかい潜れって言うんですか?!」


 ヘレナが最も扱いに長けている神術は風系統でその一撃はドラゴンのウロコさへも貫くと言う。


「大丈夫、手加減ぐらいするさ」

 そう言いながら説明を始めるヘレナ。


「ルールは相手を殺すような攻撃は無し、どちらかが負けを認めるか、気絶をしたら負けだ」


「分かりました」


 互いに距離を取りはじめる。10メートル程離れた所で合図を待つ。


「それじゃあ始めよう」



 静かに言い放つヘレナ。それと同時に体に波動を纏わせる、だがヘレナの方が一歩速かった。


「ガッ!!」


 後から吹き飛ばされる蒼生。自分の居たところを見るとそこには自分を吹き飛ばすように伸ばした土の柱が伸びていた。


 そのまま対立しているヘレナの方向に飛ばされる蒼生。


 ヘレナは風を神力によって操り右腕に纏わせる、そのまま蒼生を地面にたたき付けるようにして蒼生を殴りつける。


 その衝撃で地面にクレーターが出来る程の威力が篭められていた。


「ぐっ!!」


 だが蒼生もこのままじゃ終わらない。衝撃を身体強化と受け身で何とか受け流し、片腕のみで体重を支えて足払いを行う。



「ほお、なかなかやるな」


 転びそうになる体をバク転で立て直し称賛の声を上げる。


「次はこちらから行かせてもらいます!」


 全力で近づき拳と蹴りの応酬を放つ。自分よりも速いであろう攻撃に焦るヘレナ、ついにその攻撃が腹部に命中する。


 その攻撃で5メートル程吹き飛ぶが風の操作により再び威力を殺される。


「強いな、まさかこの短期間でここまでになるとは予想外だったが…少し本気を出してやろう」


 たった数手の応酬、だがヘレナは蒼生の実力を的確に見抜いていた。


「え!今の本気じゃ無かったのかよ!」



 そこからは一方的な蹂躙だった。


 経験の浅い蒼生はチャッチな罠にも引っ掛かる程の注意不足である。簡単な障害物を足元に出すだけで勢いよく転んだりした。 


 蒼生は今まで狼やウルフハウンド等の知性が乏しく罠を使って来ない敵としか闘った事が無いので、知識、それも熟練の戦闘知識をもつ敵に蒼生はされるがままだった。


 そのまま10分としないうちに蒼生の体は地に伏せていた。

 最後まで読んでいただき有難うございます。

 時間が無い、話を創るのが大変だそんな当然の苦しみを現在味わっています。

 感想をいただけると作者の気力も沸いて来ると思うので是非よろしくお願いします。

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