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近接戦と魔法戦“下”

 遅れてすいません!。書いてる間にいつの間にか寝落ちしてしまったみたいです。

 あと感想をいただけると嬉しいです。

「(思い返せばたったの九日…)」


 蒼生は自分用にあてられた部屋の中にいた。          部屋の中には簡素なベッドと椅子と机その上には僅かな文房具が有るだけの殺風景な部屋。


「(この世界に来て、たったそれだけしかたっていない)」


 窓を開け放ち月の優しい光を部屋に入れる。

 窓の淵に腕を置き町の風景を見つめる。


「(兵士の人達や神術使いの人達とも仲良くなることが出来た)」

 蒼生の横を風が通り抜け部屋の中をゆっくりと掻き混ぜる。


「(でも、元の世界にいる妹はどうなるのだろう?)」


 頭の中に自分を捜しながら町中を走り、家の中で泣きわめく妹の姿を思い浮かべる。



「(俺は帰らないといけない)」

 自分をすごいすごいと騒ぎ立てる訓練仲間の姿を思い浮かべ口元に笑みを浮かべる蒼生。


「(確かあいつらと知り合ったのは俺がこの世界に来て、最初の訓練をやった日だったな…)」 


 その時の光景を目をつぶり思い返していく……。



▲ ▽ ▲ ▽




「ちょっと、今服の端を爪が掠めてスパッと切れたんですけど!」

 城の下に有る練兵場、そこの広場を縦横無尽に走り回り必死に狼の動きをかわす蒼生。


 最初はウザったそうにしていた兵士達もそのアクロバティックに攻撃を避けるその姿に感嘆の声を上げる者まで現れ始めた。


「(ヤバいだろこれ!どうやってこんなのに勝てってんだよ」


 だが本人は内心物凄く焦っていた。確かに今は避けられているかもしれないがいつ突破されるかわからないからだ。


「(破壊の魔法、あのトカゲがそんなこと言ってたな)」


 元の世界で襲われたときそんな事を言っていたトカゲを思い出す。


「(仕方ないやってやるか、破壊の魔法とやらを)」


 自分がウルフハウンドに襲われたときの感覚を思い出す


「(体の中心部からエネルギーを引っ張って…)」


 走りながらも頭でイメージを固めていく。


「(そしてそれを拳に溜める)」

 蒼生は身を翻しそれに反応して飛び掛かる狼。




「(相手にエネルギーを流し込む!)」


 飛び掛かって来る狼に自分の拳を当てる。


「うおぉぉぉ!」


 自分の拳からエネルギーをありったけ流し込む。

 体から力が抜け蒼生はそのまま地面に倒れてしまう。それでも顔だけはしっかりと狼の姿を捉えていた。


 地面に着地した狼、その胴体のいたる所から爆発を起こし土を飛び散らせ消滅する姿を見届けてから意識を落としていった。


「全く、君は凄いな。一日でまともにやり合い倒してしまうとは…」


 ヘレナは蒼生に近づき顔にかかった髪を払ってやる。



 そしてスッと立ち上がり回りに集まっている兵士に蒼生を隊舎に運ぶように告げる。 それを聞いた兵士の一人が返事をして蒼生を背負い隊舎の医務室へと運んでいく。


 それを見送りながらヘレナも城の中へと入って行った。


▽ ▲ ▽ ▲




 清潔さを感じさせる病室、窓からは暖かい風と夕陽が差し込みそこを幻想的に見せていた。


 その部屋の隅に置かれたベッドその上でスヤスヤと寝息を立てながら眠る蒼生の姿があった。


 その部屋へ忍び込む四つの影があった。


「おい、この部屋で間違い無いんだろうな?」

 赤い髪を短く切り鍛え上げられた体をした青年が質問をする。


「うるさいわねー、もう少し静かに出来ないの?起きちゃったらどうするつもりよ!このバカ!」


 薄い黄土色をした髪をポニーテールにした少女が赤髪の少年に小声で怒鳴りつける。 


「二人ともうるさいですわ、このままでは当初の目的を果たせませんわ」


 それに冷静に対応する金髪縦ロールのいかにもお嬢様な喋り方をする少女。


「それよりも早く帰ろうよ〜、こんな所を隊長達に見つかったら、僕達死ぬまで訓練させられちゃうよ?」


 せが150センチ程しかなさそうな気弱そうな銀髪の少年のその言葉に顔を青ざめる一同。

「そ、そうですわね、早く彼から敵を一撃で粉砕する奥義を聞き出してしまいましょう?」


 同意を求める金髪縦ロールに首を縦に降る赤髪とツンデレ?とショタ。


 コッソリとベッドに近づきそこで眠る蒼生の肩を揺さぶる赤髪。

「おーい、起きてくださーい」


 なるべく優しく起こす赤髪にその様子をジッと見守る3人。


 するとゆっくりと瞼を開く蒼生に声をかける赤髪。


「お、起きたか。お前調子は大丈夫か?」


 その言葉に大丈夫と答える蒼生。すると4人はまだ起きて間もない蒼生に自己紹介を始める。


「俺の名前はディーノ・アライン、気軽にアランと呼んでくれ」

 すると次にツンデレ?が前に出る。


「私の名前はアニエス・アーシア皆にはアーシーて呼ばれてるからよろしくね」


 次に金髪縦ロールが少し顔を赤らめながら近づいていく。


「わ、わたくしの名前はシャルローネ・クライファートい、以後おみしりおきを」


 そういって直ぐに下がってしまう。次はショタの子が自己紹介をする。


「僕の名前はディオ・スペンサーよ、よろしくお願いします」  

 ペコッと頭を下げるその姿に思わず保護欲を掻き立てられるが、気のせいだと思うことにして、自己紹介をする。


「俺の名前は龍崎蒼生だ。所で何でお前達は見ず知らずの俺に会いに来たんだ?」

 その言葉を待ってましたと言わんばかりにズイッと顔を蒼生に近づける4人。


「単刀直入にいうとだな、お前の使っていたあの爆発で相手を倒す技を俺達に教えて欲しいんだ!」


 アランが顔の前で手を合わせてお願いをしてくる。


「え、いやでも俺もまだ上手く使えなくて…」

「そこを…そこを何とか!」


 ペコペコと頭を下げる4人に頭をかきながらどうしようかと考える蒼生。


 そんな時に突然医務室の扉がガララッと音を立てて開き、つかつかと音を立ててヘレナが入って来る。


「おっ、どうやら目覚めたようだね蒼生君」

 そして蒼生の近くでひたすら頭を下げていた4人を見る。


 蛇に睨まれた蛙のように動けなくなってしまう4人。


「君達は今から外周を30周してくると良い」


 その言葉にアランは頬を引き攣らせディオは涙目になりアーシーとシャルローネは顔を青くした。

 動かない4人にヘレナは。


「おや?物足りなかったかな?ならばさ「い、行ってきます!」よし早く行ってこい!夕御飯には間に合うようにな」


 必死に出口に向かって走る4人に蒼生は苦笑いを浮かべる。


 アラン達を見送ったヘレナは蒼生に向き直る。


「済まなかったな、騒がしくして。まああいつらも悪気があったわけじゃ無いんだ」

 済まなさそうに言うヘレナに大丈夫ですよ、という蒼生。


 そうしてたわいのない話をしたヘレナと蒼生は帰路についていった。




▲ ▽ ▲ ▽




「(そういえばそんなこともあったっけな)」


 そのあとの彼らとの付き合いを思い出しながら濃密な時間だったなと思う。


 そんなことを思い出している間に、時計が12時を告げる鐘を鳴らす。


「そろそろ寝るか、明日は大切な最後の訓練だ」


 そう言って蒼生はベッドに潜り静かな寝息を立てはじめた。

 最後までこのような駄文を読んでいただき有難うございます。

 作者も今少しずつ文の勉強をしていてもっと良い文に出来るように頑張って行くので、これからもよろしくお願いします。


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