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私の毎日にあなたはいりません

作者: とと
掲載日:2026/02/18

読んでいただきありがとうございます。

「私はずっと裏切られ続けてきたとういことね」


「はい。グレースお嬢様」


この春学院を卒業すると同時に、私はグランバール公爵家のマテオ様と結婚し

我がマクロ侯爵を継ぐために本格的に父の仕事を手伝う予定でいた。


「予定変更ね、リヒト。

お父様にこの資料と共に婚約破棄をしたいと伝えて」


マテオ様は毎日私に会いに来てくれていた。

だから……スミス子爵令嬢のマヤがなんと言ってきてもマテオ様を信じていたのに。


私とマテオ様との婚約は2年前

まだマテオ様も学院に在籍されており私とマヤは学院に入学する少し前だった。



「お初にお眼にかかりますグレース様、私スミス子爵家の娘マヤでございます。

先ごろグレース様と婚約された、マテオ様の恋人ですの

以後お見知りおきを」マヤとの出会いは、入学式そうそのこの挨拶を受け。

淑女教育のたまもので、表情こそ崩れなかったが

強烈な悪意に心が凍りついた。


直ぐにマテオ様に直接確認したが、家のつながりで親しくしていたが

恋人でも何でもなく、私の不安につながるならもう会う事もないと言う言葉を信じ

その後は詮索しなかった。


その後もマヤは私にマテオ様との逢瀬を話に時々やってきた。


でもマテオ様は、婚約してから毎日欠かさず学院に送り迎えをしてくれ

帰宅後はお茶を飲んでゆっくりと今日の出来事を話して帰っていった。


「そうね……ディナーは何度お誘いしても応じてくれなかったわ」


侯爵家からの帰りにマヤと逢瀬を重ねていたのね。

マヤの言っていたことが本当だった。


あの笑顔もあの手も、マヤを愛人にしたまま我が侯爵家に入るためのものだった

そんな屑の手が、自分の髪や腕、手に触れられていたかと思うと

急に吐き気がこみあげてきて私は椅子から崩れ落ちた。


マテオ様は毎日平気な顔で私をだましていた。

語られる言葉全てが偽りだった。

マヤが言っていたことを自分で確かめもせず

対面ばかりを気にして……

握った拳は色をなくし、床に伏したまま立ち上がれなかった。

真実を見ていなかった自分を恥ずかしく思い、情けなくて胸が締め付けられた。




しばらくしてノックの音が部屋に響いた。

私はあわてて立ち上がり、姿勢を正す。


「はい。どうぞ入って」

リヒトが扉を開け、顔をのぞかせる。


「お嬢様失礼します。お茶でも入れましょうか?」


「ありがとうリヒト。手続きは進んだかしら」


リヒトは、私が5歳の時に父が隣国から連れて来た子息だ。

どうして我が侯爵家に連れてこられたのかは理由は知らない。

兄妹同然に育ったが、学院を卒業すると今まで育ててもらい

タダでおいてもらうわけにはいかないと、父の手伝いを始め

その頃から私をお嬢様と呼び。今回のマテオ様の事もリヒトが調べてくれた。


「はい。お嬢様、旦那様が明日の朝一番で

グランバール公爵家に乗り込み。できるだけ慰謝料を絞り取ってくると

意気込んでいらっしゃいましたよ」


「そうなのね」

私は微笑んだつもりだったが少し頬が固かった。


不意にリヒトのあたたかな手が、私の背中におかれた。

「グレース。少しの間、兄になってもいいだろうか?」

驚いてリヒトを見上げるとやさしい眼差しだ。


「グレースはまだ18歳の女の子だ、貴族社会では侯爵令嬢として

凛と立たねばならないのだろうけれど、間違ったっていい。

信じた者に裏切られたんだ、こんな時に我慢しなくていい。

無理に気持ちを抑え込まなくていい。

苦しかったら、悲しかったら泣いていい」

ゆっくり話しながらリヒトは、背中をあやす様にポンポンしてくれる。


いろんな気持ちがぐちゃぐちゃになって。

リヒトに惨めな自分を見せたく無くて。

ずっとうつむいていたけれど。


言葉の途切れたリヒトを見上げた。


「僕の前では、ありのままのグレースでいて欲しい」


リヒトの笑顔と言葉に感情が溢れだした。

「私は家族になるためにちゃんと向き合おうとした!

マヤにどんなこと言われてもマテオ様を信じていた!

だましてたなんて許せない!

マテオさまなんて、ゲジゲジになってみんなに嫌われちゃえー」

叫びと共に涙が溢れだした。


「どんなグレースも僕は大好きだ。

いっぱい泣いたら前を向けばいい」

泣き続ける私にリヒトは寄り添い、ずっと背中を擦ってくれた。



翌日の昼過ぎ、玄関ホールが騒がしくなる。

「俺は公爵令息だぞ、仕様人ごときが俺に逆らうのか!ここを通せ!グレース!

グレースいるんだろ、グレース!」


「気やすく名前を呼ぶことはお控えください。グランバール公爵令息」

私はホールを見渡せるランディングから屑を見下ろす。


「婚約破棄ってどういうことだ!」


「グランバール公爵令息の不貞による婚約破棄です。公爵閣下から聞いていないのですか?」


「不貞などしていない。マヤとは何の関係もない」


「もう偽りの言葉はうんざりですわ

この先続く私の毎日に、あなたは必要ありません」


私は不定の証拠書類と写真を下の屑にばら撒いた。

そこにはマヤ譲の肩を抱き

いかがわしい宿に入るグランバール公爵令息がしっかりと映っている。

更には公衆の面前でくちづけを交す写真まである。


写真と書類を青ざめた顔で屑がかき集めいている。


「わかっていただけたならお帰りいただいて」

グランバール公爵令息は、家令と騎士に引きずられて

公爵家の馬車に押し込められ帰っていった。



後ろに控えていたリヒトを振り返りグータッチして勝利を祝った。




✿ ✿ ✿



その日のディナーの席でお父様は誇らし気に話し出した。

「慰謝料はビックリする額を貰ったぞ。

マテオ君は貴族籍を抜いて領地に下げるらしい。

グレースの眼には二度と入らないようにしてくれるそうだ。

スミス子爵にも慰謝料を請求したぞ、払うならかなりの領地を売らないと

無理だろうな~。娘も修道院に入れるそうだぞ」


「だいたいお父様が持ってきた縁談ですよ!調査もされずに

わたしを不幸にするつもりだったのですか!」


「おお。はっきり言える様になったなグレース。いい傾向だ」

もう私が怒っているのにお父様は~。


「まあこの縁談はグランバール公爵閣下からの申し入れを断れなくてな~。

グレース すまなかった。

だが、父としてちゃんとグレースの事を考えていたぞ

婿にするために優秀なリヒトを連れて来たじゃないか!」


リヒトを私のお婿さんに?

目をぱちくりする私に、ご機嫌なお父様はさらに続ける。


「リヒトは海を渡った。ブラン帝国の大貴族。ブラウン侯爵家の8男だ」

リヒトは大貴族なの?


「仕事で父さんがブラン帝国を訪れた時に

ブラウン家ではちょうどリヒトの兄7人が激しい家督争いをしていてな。

幼いリヒトも命を狙われた。」

リヒトにお兄さんが7人!それも命を狙われる~。どんな国なの!


「ブラウン家の第二夫人はうちの遠縁でな相談されたんだ。

そしてリヒトの将来を考えて大事な息子を侯爵家に託したんだ。

だから父さんはリヒトがお婿さんで何の問題もないぞ」

もー。お父様!


「リヒトがんばれ!」

お父様!リヒトが困るわ!


「あらあら、まあまあ二人とも真っ赤でかわいいわね」

お母様!

真っ赤な顔のリヒトと眼が合う。


「はい。グレースに兄ではなく、男性としてみてもらえるように

 全身全霊で取り組みます。  グレース。覚悟してね」

リヒトがパチンとウインクした。


「は はい~」

顔から火が出そうだけど

ありのままの私で、幸せを掴めそうです~。


~ 終わり ~


誤字脱字などいつもありがとうございます。

評価などいただけると嬉しいです。

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