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ロー〇ンドとコンタクト

「エレオノーラ様、三億ボリーノを送金するの、ちょっとだけ待ってもらえません?」


 伯母様を止めるすべが見つからないけど、だからって何でも手をこまねいて見ていればいいというわけじゃない。


 とりあえずあたしは、この恋する熟女を何とかしないといけない。それは彼女の尊厳を守るだけではなく、侯爵家の財産を悪人の手に渡さないためというのもある。


「何か問題でもあって?」


 ――ありまくりだろ。


 決して声には出されないツッコミ。


 エレオノーラ様は大層不思議そうに首を傾げている。昔はさぞかわいかったんだろうなって思うけど、ちょっとしたことで盛大に足を踏み外してしまうのかと思うと特殊詐欺って恐ろしい。


「あの、一応三億ボリーノってすごい金額じゃないですか」

「そうね。定期預金も解約したことだし。それでも、それがリュシアン様の助けになり、ひいては多くの臣民を助けることになるの。それって素晴らしいことだと思わない?」

「ええ、そりゃもう素晴らしいことだって思いますよ!」


 棒読みになりそうなのを、必死に演技力を活用してごまかす。こういう時、洗脳されている人を安易に否定してはいけない。それはその人をより一層かたくなにするだけで何もいいことはない。


「あの、あたしもロー〇ンド……じゃなくてリュシアン様と話してみたくて。今はスマホもあることですし、どんな方なのかお話してみたいです。あ、もちろんエレオノーラ様からリュシアン様を奪い取ろうなんて思っていませんよ? 単にどれだけ素敵な人なのか、身を持って知りたいだけです」

「それは素晴らしい心がけね。あの人のお心を知ることは、あなたにとっても良い影響をもたらすはずよ。いいわ、彼と話す機会を与えるわ」


 自分の恋人を褒められて嬉しかったのか、リュシアンとのコンタクトは思いのほかうまくいきそうだった。エレオノーラ様は恋に焦がれるあまり、色んな部分がチョロくなり過ぎている。そこを詐欺師たちに突かれる前に、あたしが何とかしないと……。


 しかしデュラン・デュラン侯爵と言い伯母のエレオノーラ様と言い、貴族ってろくな人がいないのかな。……考えると悲しくなるから、さっさと仕事に集中しよう。


 あたしはエレオノーラ様に案内され、彼女の自室へと向かった。

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