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ヘルワーク

 ネットの奥に潜む悪人たちをシバくと決めたあたしは、エルウィン騎士団長との話し合いを詰めていく。


「詐欺や強盗が行われているってことは、その指示をどこかで出しているってことですよね?」


 あたしがそう訊くと、団長がよくぞ聞いてくれたって顔で答える。


「そこなんだが、スマホのアプリでヘルワークというアプリがある」

「ヘルワーク?」

「ああ、犯罪やグレーな仕事を中心に紹介する闇サイトだ。闇サイトとは言っても、誰でも気軽にアクセスすることが出来る」


 なにそれって思ったけど、ハローワーク(HELLO WORK)から「O」を抜いたらそうなるなって気付いたら「くだらね~」って思った。


「それで、このサイトから闇バイトの仕事が出回っているってこと?」

「ああ、その通りだ。今もバカな若者の募集が後を絶たない」

「そんなの、利用した方も逮捕すればいいじゃない」

「その通りなんだが、スマホもネットもこの世界じゃまったく異質な存在でな。法整備が追い付いていないというのが正直なところだ」


 エルウィンは苦虫を嚙み潰したような顔で言う。


 そうか。そうだよね。だってこの世界、ちょっと前までは剣と魔法のRPGな世界だったんだもんね。


 そう考えると特殊詐欺をこの世界に持ちこんだ奴らってマジで最悪だな。見つけたら絶対にボコボコにしてやらないと。


「なんか考えていることが分かる気がしますけど、カチコミをするわけじゃないですからね?」


 肩に乗ったピョンちゃんがあたしの心を読んでツッコミを入れる。たしかに、この特殊詐欺は犯人が見えにくくて、鬼ヶ島みたいに分かりやすい場所に悪人たちが集まっているわけじゃない。そう考えると、殴り込みに比べてかなり頭を使わないといけなくなる。


 あいつらはネットの奥に潜んでいる。実行犯もきっと、新犯人の顔は見たことないってパターンなんじゃないか。


「だんだん話が見えてきたけど、あたしがこれからすることって、この闇バイトに潜り込んで犯人たちをシメる潜入捜査ってやつ?」

「察しがいいな、その通りだ。君の実力はついさっき、痛いほど理解した。君なら相当なリスクを背負っても、犯人グループを一網打尽に出来るはずだ」

「うん」

「ただ、腕っぷしが強いだけじゃどうにもならない。奴らの手口を知り、奴らの思考を辿れるエージェントが必要だ。君ならそれが出来る。引き受けてくれるか?」

「いいよ、任せておいて。あたしが本気を出したら、こんなろくでなし連中なんてイチコロなんだから!」


 って自分ではそう言ったものの、あたし犯罪者を追い詰めた経験はないんだよね。さて、どうなることやら。そんな本音は言えるはずもないけど。


 とりあえずヘルワークをスマホにダウンロードする。ウイルスが怖いなって気もするけど、そうも言っていられない。


 さて、闇バイトってどんなお仕事があるのかな?


 怖いもの見たさもあるけど、暗黒の世界に潜り込んでみよう。

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