～命の目覚めから、交錯の始まり～ ジャンカの物語
～命の目覚めから、交錯の始まり～
※半自動_開始から2ターン
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この世界に目覚めた瞬間、ジャンカはまず自分の手を見た。
煤けた手袋、火薬の匂い。――ああ、これは俺のだ。記憶は曖昧でも、身体が覚えていやがる。
あたりは静まり返っていた。空は晴れているが、空気は妙に冷たい。
周囲に“何か”がいる気配だけはする。見えはしないが、距離を置いた位置にいくつかの存在がある。それも、かなり多く。
ジャンカは腰にぶら下げた爆薬袋を確認する。中身は最低限。いざとなれば火花一つで吹き飛ばせるが、最初から騒ぐわけにもいかねぇ。
「ったく、誰に呼ばれたのかも分かんねぇが……ま、面白くなりゃそれでいいか」
彼は最初の数刻、草むらの中にしゃがみ込み、周囲の地形を観察していた。土質は固く、乾ききっている。風は時折、東から流れてくる。
近くに気配はあるが、誰も接触してこない。まるで皆が、同じように“起きたばかり”の様子だった。
やがて、マスのように区切られた土地に、誰かが一歩踏み込んできた。
エルフか？ いや、あれは……耳が長いが、目つきが鋭すぎる。
ジャンカはその者に“セルリス”という名を付けた。無論、本人の了承なんてない。が、名があると扱いやすい。
セルリスは、他の誰とも距離を保ち、影の中を動いていた。ときおり、彼女のそばに金髪の女が現れる。
リーヴァ。そいつはたぶんエルフで、空気と会話できるらしい。ジャンカにはそういう繊細な力はない。ただ、爆薬で地形を変えるのは得意だ。
「ま、俺にはこっちの方が性に合ってらぁ」
ジャンカは近くの空マスに地雷式の起爆装置を仕込む。風の音に紛れさせた。
だが、それを一瞬で察した者がいた。獣人の青年――フリオ。まるで気配を消す術でも持っているように、彼はジャンカの地雷を踏まずに通り過ぎた。
「……面白ぇな、お前」
フリオは何も言わず、視線だけを残して去った。
そして、突然現れたのが――ノーラ。あれは人間の少女、たぶん年はまだ十代。
おどおどとした動きだが、周囲への警戒心は強い。ジャンカは、彼女がただの“通りすがり”でないことに気づく。
誰かが呼んだのか、それともこの地の“ルール”に従って、生まれてきたのか。
この世界は、生まれた時点ですでに選別が始まっている。
周囲に仲間がいなければ、存在はかき消される。誰かの近くにいること――それが生き残る条件。
「つまり、群れるか、価値を持つか。俺は後者だな」
ジャンカはそうつぶやき、再び起爆装置を確認する。だがそれはもう、誰かに抜かれていた。
代わりに、仕掛けたはずのマスの上に“石”が積まれている。爆発しないように、丁寧に抑えてある。
……あのドワーフか？ 新たに現れた鍛冶師、ドレンという名らしい。やりおる。
第二の夜が迫る頃、空の色が変わり始める。東から流れていた風が、西へと回り込む。
妖精のアミリスがその流れを読んでいる。天候が、微かに変わり始めていた。
ジャンカは草むらに戻り、火打ち石をカチリと鳴らす。
火は灯らなかったが、周囲の気配が微かに変わる。誰かがその音に気づいた。
「……来るな。今じゃねぇ」
独り言だったが、その声はすぐに誰かに届く。
セルリスか？ ノーラか？ あるいは、ジャンカ自身が気づいていない何者か。
ここは、単なる“場所”じゃねぇ。
命が並び、消え、また生まれる――まるで爆薬と同じだ。条件が揃えば、炸裂する。
「なら、俺は火花でいい。誰かの運命に、火を点けるだけだ」
ジャンカはそう言って、火薬袋を握り締める。
そして、次の“揺らぎ”が起きるのを、静かに待っていた――
次のエピソードでは自作のGPTsのオプション機能として、半自動生成を組み込みます。
ここまでの段階で連載は一区切りといたします。
