第54話 にーと
後々知ったのだが、僕は誘拐されていたらしい。眠っていたので、全く覚えていないのだが....誘拐犯から助けてくれたのは、勇者らしい。まあ、覚えてはいないが今度会ったらお礼ぐらいはしておこうかなっと思っている。
家に帰ってきた翌日に、魔王様に呼び出されて休暇を与えられた。魔王様は僕が誘拐され精神面など心配されてなのか、学校と配信を一週間休んでもいいと言われた。
これは、仕方がない。魔王様に休めと言われてしまった。これは、魔王様の命令なので、自分の家の中で全力で休む事にした。
家にあるソファーで、僕は魔王様の命令で『仕方なく』ゴロゴロとくつろぎながら外に一歩も出ずにぐうたら生活を5日ほど過ごしていた。
「ねえ、お兄ちゃん流石に外とか出たほうがいいんじゃないの?気分転換にさ」
「誘拐犯が居るかもしれないし〜外に出るのは危険だから外に出ない」
僕は、外に出歩きたくないので、言い訳として誘拐犯のせいにして僕は外に歩かない説明をゼーフにした。
「お兄ちゃん。流石にわかるよ。お兄ちゃんは、外に出たくないからって、誘拐犯が怖いとか言い訳にしてるでしょ」
「さあ〜」
「まあ、いいよ。お兄ちゃんが、そんな態度なら私にも考えがあるよ」
「考え?」
と言って、2階の部屋に行ってしまった。最近は、人間界の家の方が何かと快適でここで居る時間が長い。
それより、ゼーフは何をしに2階に上がったのかと思いつつソファーでゴロゴロと動画を見ているとゼーフが何かを持って降りてきた。
「じゃあ、お兄ちゃんこれを頭につけて」
「なんで?」
「お兄ちゃんが家でずっと居るんだったら、猫耳をつけて私に媚びて」
「にゃ、にゃあ....この限定のお菓子買ってきて欲しいにゃ〜」
「かわいい!!仕方ないな〜」
猫耳をつけるのは、恥ずかしい。だけど家に出るのはもっと、めんどくさい。なので、僕は猫耳を装着してゼーフに媚び、食べたいとは思って居たけど、買いに行くのが面倒くさく買いに行けなかったお菓子を買ってきてもらう事が出来た。
しばらくして、ゼーフが帰ってきた。
「ただいま〜エルクちゃん」
「遅いにゃ〜」
ソファーに仰向けになり、手を伸ばしお菓子を貰う体制になっているとゼーフの後に続いてターニャさんも来た。
「エルク....大丈夫そうね」
心配そうに来てくれたターニャさんを横目に、僕は猫耳をつけている。
「い、いや、これは....にゃ」
「ふ〜ん。まあ、元気そうでよかったわ。それと、これ私からお見舞い」
「お姉ちゃん。どうして、ターニャさんと一緒に?」
「お菓子を買いに行く時にバッタリとあって、心配そうにエルクちゃんのこと聞いてくるから連れてきたの」
ゼーフだけと思って、油断していた。僕は、ソファーから立ち上がり机に散乱しているのとかを片付けお見舞いとしてもらったお菓子とお茶を机に置き一緒に食べる事になった。
しばらく、僕は猫耳をつけながら居るようにターニャさんに強要されてしまった。ターニャさんには、来週には学校に行ったりするからと話した安心しホッとした顔をしていた。




