第26話 ターニャ
遊園地で遊んで、夕方頃に椅子に座って休憩していた所までは、覚えている。だけど目を覚ますと、フォコ様のベッドの上で眠っていた。
もう、すっかり慣れてしまった。僕はベッドから起き上がり、フォコ様が作ってくれたパンとスクランブルエッグを食べていた。
「エルクちゃん。朝ごはんを食べ終わったら、魔王さんのところに行ってくれる?」
「はい!!」
僕は朝ごはんを食べ終えて、魔王様がいるお部屋に向かった。
「魔王様、お呼びでしょうか」
僕は魔王様の部屋に入り、膝まづいた。
「そう、固くなるな。我はお前のパパなのだから」
「し、しかし」
「魔王様の命令だ」
四天王の座を失った僕には、魔王様が恐れ多い。四天王だった時の僕は、魔王様の前に立ち報告などができた。しかし、四天王ではなくなった僕には、頭を下げ跪かないと無礼。
しかし、魔王様命令だと仕方が無いので立ち上がった。魔王様はソファーに座り、僕も魔王様の正面に座った。
「早速だが、アイドル活動の一環として配信をしてもらったが、思ったより知名度が上がっている。それに、にゃんずっちとのコラボも決まっている」
「はい」
「そこで、本格的にアイドル活動をしてもらう。1ヶ月後に人間界で歌とダンスを披露してもらうことになった」
「い、1ヶ月後ですか!?」
魔王様の無茶ぶりにも困ったものだ。僕は1週間で歌詞を覚えることはできると思うが、ダンスは一度もしたことがない。だから、覚える自信がない。
「それと、最近エルクがコラボしたターニャがうちのローニャ事務所に所属することになった」
「え!?」
「2人で一緒に1か月後の披露に向けて練習をしてもらう。ダンスや歌はアルベットやバッファルに教えて貰うといい。他に何かあれば我に直接言うといい」
そう告げられ、僕はビックリした。ターニャさんは魔王様が作り僕しか所属していない怪しい事務所に所属する事に驚いた。
「で、ですが、魔王様。ターニャさんが了承したのでしょうか?」
流石に、ターニャさんがローニャ事務所に所属することになった。事務所に所属することはターニャさんの意思であるとは思うが、一緒に踊ったり歌ったりするアイドル活動が無理矢理に強要したのだとすれば僕はやりたくない。
「ああ、それは我も確認済みだ。と言うか、ターニャが全て支持したことだ。場所を用意したのも、お披露目の時期を指定したのもターニャが指定したからな」
「そうなんですか?」
「そうなの」
ターニャさんが、僕とアイドル活動をしたかったのだろうか?いつの間に交換したのか、僕のスマホのメッセージにターニャさんから『今日から、同じ事務所よ。よろしくね』と昨日のうちに来ていた。
もしかして、フォコ様が何かしたのだろうか?
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