表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書き出しコンテスト受賞作/未書籍化】色彩能力者の錬金術師  作者: 空松蓮司@3シリーズ書籍化
第3章 千面道化襲来

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

93/106

第93話 ロアと手紙

 水魚の月5日。

 オープン日は盛況だった我がファクトリーも、オープン3日目ともなると静かなもので、常連客4人を捌くと暇になる。


「チェックメイト」

「ありゃりゃ」


 おかげさまで、こうして俺とアランの2人でチェスを指していても問題なく店は回る。

 改めて説明すると、アランは俺のクラスメイトで、男子の中じゃ1番話している相手だ。ただ、少し食えない部分があるので100%の信頼は寄せられないでいる。


「そういえばさ、アレは進んでる?」

「アレって何さ」

「賢者の石の錬成」

「あ~……サッパリだな。俺に内緒でヴィヴィが動いている可能性はあるけどな」


 ヴィヴィは俺をこの錬金術師の世界へ引っ張り込んだ張本人。女子の中じゃ1番話しているけど、プライドが高くて、偉そうで、とにかく困った奴。


「君に黙って動くことは無いでしょ」

「なんでさ」

「ヴィヴィさんにとって君は、ようやく見つけた優秀な助手だからさ。大事な錬成をする際には必ず君の手を借りる。あ、チェックね」

「だから俺は助手じゃない……って、降参だよ」


 コイツ、鬼のようにチェス上手いな。それとも俺が下手なのか。

 本日第10回戦目を始めようとした時だった。外階段を駆け上る音が聞こえた。ドタドタドタ、と品のない音だ。


「ルチアに100ゴルド賭けよう」


 ルチアもクラスメイトだ。これまたプライド高い奴で……って、俺のクラスメイト、プライド高い奴ばかりだな。


 ルチアは錬金術師の名家に生まれたものの、才能が無くてかなりぞんざいな扱いを受けてきた可哀想な奴。根は素直だと信じている。


「賭けにならないよ」


 両者とも来客者はルチアだと推測する。

 しかし、扉を勢いよく開き現れたのはまったく別の女子だった。

 顔を真っ赤にした――ロアだ。


「どどど、どうしよう2人とも!」


 ロアは鮮やかな赤髪の女子で、コイツもクラスメイト。

 活発で、いつも慌ただしい。俺達とは別のグループだけど話す機会は多い。幼馴染にフォックスとベルモンドという問題児が居る。


「どうしたのロアさん」

「こ、これ! これ!」


 ロアが俺達に渡したのは一通の手紙だ。


「……俺達が読んでいいのか?」

「いいと……思う」


 俺は封を開け、中を読む。


『拝啓 ロア=リッカ様

 あなた様に渡したい物がございますので、本日18時頃、本校舎第二倉庫裏にてお待ちしております。

 よろしくお願いいたします。

 ~■■■■■■■■■■■■より~』


 なぜか最後の部分だけ滲んでいる。


「なんでここ滲んでいるんだ? おかげで差出人がわからないじゃないか」

「それロッカーに入ってたんだけどさ、私のロッカーってね……1週間前のジュースとかも入ってて、そのぉ……それが零れてて……」

「掃除しろよ」

「至極まともなツッコミしないで!」


 ロアは人差し指をツンツンと合わせる。


「これってさ……やっぱりアレだよね、そのぉ……こ、告白的な……恋的なやつだよね……?」

「かもな」

「ど、どうしよう! 私、こういうの初めてで……ほら、私って、結構男子に混じって遊ぶタイプで! 女の子らしさとかそういうの無くて! ど、どうしていいかわからなくて! そ、相談乗って! お願い!」

「なんで僕らに相談するの? ベルモンドとフォックスがいるじゃないか」

「アイツらは絶対茶化すもん!」


 それは確かに。アイツらが真面目に相談に答えているシーンは思い浮かばない。


「つか疑問だったんだけど、あの2人のどっちかとは付き合ってないのか?」

「え? あるわけないじゃん! あの2人は幼馴染だよ? 兄弟みたいなものだし!」


 男子2人と女子1人の幼馴染か。そういうもんなのかな。幼馴染がいないからよくわからない。


「相談されてもねぇ、こんなの行くしかなくない?」


 アランの言う通り。スルーは可哀想過ぎる。


「い、行くは行くけどさ、どう返事したもんかと……」

「YESかNOだろ。簡単じゃねぇか」

「えっと……正直私、あ、あんまり付き合う気ないからさ……NOなんだけど、相手を傷つけないように断るにはどうしたらいいのかなぁ……って」

「俺はキッパリ言われたいな。『お前に興味ない。()ね』ってな」

「僕は理由を知りたいかな。ここが気に喰わないってちゃんと言われたい。じゃないと次に活かされないよね」

「なんか、2人とも極端な気がする……」

「お前の心に任せろよ。相手を気遣う気持ちがあるなら、酷く相手を傷つける言葉は出ないさ」


 俺が言うと、ロアは「うん……そうだね」と覚悟を決めた顔をした。


「私、行ってくる!」


 ロアはまたドタドタと階段を下っていった。


「……気になるな」

「……そうだね」

「……抜け出すか」

「……そうしよう」


 俺達は店に『CLOSE』の看板を掲げ、本校舎第二倉庫裏に向かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ