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【書き出しコンテスト受賞作/未書籍化】色彩能力者の錬金術師  作者: 空松蓮司@3シリーズ書籍化
第2章 クラスリーダー総選挙

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第87話 狩りの時間

 俺とラルーシェはまた森の中に入った。


「やっぱり狙うなら肉か」

「残り時間で捕まえられますかね……」


 目を凝らして地面を見る。


「……こっちに蹄の跡……イノシシの足跡が続いているな」

「え!? ぜ、全然見えませんけど……」

「俺には見える」


 例え葉の上を歩いたとしても、たとえ硬い地面の上を通ったとしても、微妙な土の色の違いから足跡が見える。


 この足跡からイノシシの活動範囲がわかる。


「こっちだ」

「はい!」


 足跡を追うこと3分程。俺とラルーシェはイノシシを発見する。

 額に大きなコブがあるイノシシだ。キノコをむしゃむしゃと食べている。

 俺とラルーシェは藪の中から様子を伺う。


「ダンゴロイノシシですね。あのタンコブが珍味なんです」

「そうなのか」


 食いたくないけどな。


「かなり凶暴なので手ぶらで狩るのは難しいですね……」

「一応、石のナイフはあるけど……やめといた方がいいな。退こう」


 俺達は撤退を選択。


「さすがに山菜だけじゃ、満足してもらえないよな」

「私に考えがあります」


 ラルーシェが先導し、拠点のある川に戻る。


「お、戻ってきた。どう? 何か見つかった?」

「見つかったけど手には入らなかった」

「ありゃりゃ」

「でもラルーシェにアイディアがあるらしい」

「おお!」


 ラルーシェは川に体を向け、


「お肉では無く、魚をとりましょう」

「……」

「あれ? ダメですか……?」

「ダメじゃないけど、普通に狩りがうまくいかなかったら、それしかないなと思っていたぞ」

「うぅ……すみません。アイディアと言える程のものでもなかったですね……」

「こらイロハ! ラルーシェちゃんをいじめるんじゃない!」

「いじめては無い」


 ここの川の水深はひざ下ぐらい。掴み取りでいけるか。


「取るのは私に任せてください。れ、練習してきたので」


 ラルーシェはそう言うと、Yシャツを脱ぎ始めた。


「ラルーシェちゃん!? ま、まさかのセクシーショット!?」


 ラルーシェはYシャツを脱ぐ。その下には、白い布があった。下着ではない。アレはビキニ水着だ。ラルーシェはスカートも脱ぐ。当然、下にも水着を着ていた。


「こんなこともあろうかと、水着を着てきました。これでどれだけ濡れても大丈夫です」


 うん。大丈夫だな……ってわけでもない。

 なぜならラルーシェの体はかなり煽情的だからだ。全体的に細いし白いけど、胸だけはかなり大きい。1学年上だからだろうか。


 モナリザにしか興味の無い俺だったから良かったものの、健全な男子生徒にとっては目に毒だ。


「……やばいねイロハ……アレはやばいよ……」


 男子生徒じゃなくても興奮している奴が居た。


「よっしゃ! それじゃ私も!」


 とロアも脱ぎ出した。ロアもYシャツを脱ぐが、その下にはオレンジの水着――ではなく、見間違いで無ければ、オレンジのブラジャーがあった。


 ロアは慌ててYシャツを着直す。


「あはは。私は下着だったわ普通に」


 さすがに下着を見られるのは恥ずかしいのか、頬が赤い。


「脱ぐ前に気づけ」


 勢いで生きすぎだろコイツ。


「い、いきます!」


 ラルーシェは川に入る。


「うぅ……冷たい」


 体を震わせながらも進むラルーシェ。その後ろ姿の頼りなさといったら。


「きゃっ!?」


 案の定、足を滑らせ転倒した。


「ロア。俺が魚を取るから風呂沸かしておいてくれ」

「え? イロハ水着あるの?」

「パンツ1枚で行く」

「えぇ!?」

「仕方ないだろ。他に方法も無い。お前らがこっちを見なきゃ何も問題はない」

「……いいけど、いいけどさぁ……一瞬だけ見てもいい? イロハのパンツ姿」

「いいわけないだろ」


 そんなこんなで、俺はラルーシェと入れ替わりに川に入る(パンツ一丁で)。


(目を凝らせ。俺は他の人間より、魚影が見えやすいはずだ)


 色彩能力を全開にし、水面を見る。

 影がきた。俺は右手を影の進行先に置き、右手から感触が返ってくると同時に右手を握りしめ、振り上げる。


「まず1匹」


 俺は右手に掴んだ魚を岸に投げる。

 そのまま順調に魚を取っていき、20分程で12匹を捕まえた。


「これでOK」


 俺は服を着て、魚の詰まったバケツを持って拠点に戻る。


「お~。もう家と風呂は完成だな」


 家は補強されていて、嵐がきてもギリ耐えられるぐらいになっていた。

 石風呂には水が張ってあり、湯気が立ち昇っている。右手を浸してみると、ちょうどいい温度のお湯になっていた。これは気持ちが良さそうだ。


「イロハ~。こっちに焚火があるよ」


 家の裏からロアがひょこっと顔を出す。

 家の裏に行くと焚火と、木製のまな板や石の包丁、木串、木皿などが用意されていた。調理の準備は万端というわけだ。


「やっばい! もう15分しかないよ!」


 腕時計を見たロアは慌てだす。


「櫛で魚を焼いて塩で味付け。後は山菜で彩りを出すしかないな」


 でもそれだけじゃ得点は低そうだ。


「さ、先にデザートのフルーツ盛りを作っておきました」


 木皿に盛られたフルーツ。フルーツにはシロップもかかっている。さっきの木の実から抽出したものだろう。


「それとミツアメと柑橘類を合わせて作ったジュースもあります」

「ラルーシェちゃん有能過ぎ!」

「そ、そんなそんな……」

「いや、マジでこの班のMVPはお前だよ間違いなく」

「……うぅ~。あまり褒めないでくださぃ……」


 俺達は主菜となる魚の調理を始める。調理のメインはラルーシェ、ロアはラルーシェの助手。俺は盛り付け担当だ。


 川から採れた青魚は焼き、皿に寝かせ、塩を振りかける。キノコや香草を添え、彩りを良くして完成。


「イロハ盛り付け上手いね~」

「こんな所で美術の経験が活きるとはな」

「え? イロハ美術畑なの!?」

「畑って……まぁそうだよ。元は美術家だ」

「綺麗……よく山菜でここまで……」


 次に赤魚を刺身にする。これは下に葉を敷いて、その上に乗せるだけ。シンプルでいい。

 焼き魚山菜添え、赤魚の活け造り、フルーツ盛り、ミックスジュース。

 これで料理は完成。と同時に空に赤い煙が上がった。終わりの合図だろう。


「リーダーが呼びに行くんだよな」

「うん! 行ってくるね」


 ロアは煙の上がった地点を目指して走っていく。

 ベストは尽くした。あとは高得点であることを祈るのみ。他の班はどうなったかな。

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