表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書き出しコンテスト受賞作/未書籍化】色彩能力者の錬金術師  作者: 空松蓮司@3シリーズ書籍化
第2章 クラスリーダー総選挙

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

75/100

第75話 古代と現代

「「イロハ君!?」」

「だああああああああああああああああっっ!!!」


 そのまま穴に落ち、また地下室に戻り、黒いモヤを使って着地する。

 ニコラスに接近し、俺はその胸倉を掴み上げる。


「いい加減にしろよルチア! お前、いつまでそんな奴に好き勝手やられてるんだ!」

「無駄だ小僧」


 俺はニコラスに投げられる。


「くっ!」


 受け身を取って、すぐに立ち上がる。


「ルチアは自ら私を受け入れた。強くなるためにな」

「ルチア……」

「クックック……コンプレックスとやらは心のヒビだな。衝けば簡単に心を壊せる」


 ケラケラと嘲笑するニコラス。


「ふざけるな! コンプレックスはヒビなんかじゃない。バネだ! 自分を強くするためのバネなんだよ! 他人と比べて劣ると思う部分を、自分の一部だと受け入れられた時、人間は大きく成長できるんだ! そうだろルチア! ……そんなクズに、お前の努力(これまで)を否定させるな!!!」


「……!?」


 ニコラスの動きが変わる。

 髪色が金髪に戻り、両目から……涙が落ちる。


「けて……助けて、よ……イロハ……!」

「ルチア……」

「嫌だ。嫌だ……私は、これまで、頑張ってきたのよ…………疎まれようが、けなされようが……私は頑張ってきたんだ…………誰かに、認めて欲しかった……誰かに、認められるために……! ずっと……!」


 鼻水をみっともなく垂れ流しながら、ルチアは顔を歪める。


「……体を好き勝手にされて……ようやく、気付いた。私は! 私の手で! ……私という人間を証明したいっ……!」

「……了解だルチア。絶対助けてやるから涙拭いて待ってろ」


 ストレージポーチから虹の筆を出す。


「1人で勝てるとでも?」

「やるだけやってみるさ……」

「――イロハ君!」


 天井の穴から、ヴィヴィの声が響いてきた。そしてまた、穴からロープが降りてくる。


「ヴィヴィ!?」

「早く掴め! カッコつけられる実力差じゃ無いだろうに!」

「馬鹿! お前こそ早く逃げろ!!」

「そこか。風錬成【フーパ】」


 ニコラスは竜巻を発生させ、天井を破壊する。

 天井が落ち、ヴィヴィとアランが落ちてくる。アランは空中でヴィヴィを抱きかかえ、自身を下にして背中から着地する。


「ヴィヴィ! アラン!」

「いてて。大丈夫かい? ヴィヴィさん」

「ああ、私は問題ない」

「お前らは……バカか!!」


 俺は2人をお構いなく怒鳴る。


「ば、バカだと!? この私にバカと言えるのはニコラス=フラメルかレオナルド=ダ=ヴィンチぐらいだぞ!」

「じゃあアホだアホ! 俺がせっかく身を挺して守ったってのに!」

「余計なお世話だ。君如きに守られる私ではない。自分の身ぐらい自分で守れる」

「黙れ運動音痴! ハッキリ言って、お前がここに居ても足手まといなだけだ!」


 俺が言うと、ヴィヴィは珍しく、顔を赤め、僅かに瞳に涙を溜めた。俺はつい、後ずさる。


「足手まといとはなんだ! わ、私だって……この運動能力をなんとかしようと毎朝走っているんだぞ! 登下校にも空挺を使わずにだなぁ……!」

「そ、そうなのか。すまん。言い過ぎた」

「あのさぁ2人とも、いまヤッバイ敵が目の前にいるからさ、喧嘩は後にしてくれる?」


 アランのガチトーンツッコミ。

 ニコラスの存在を思い出した俺とヴィヴィは、敵意を互いからニコラスに向け直す。


「ん? もういいのか? どうせすぐに一言も話せなくなるのだ。思う存分言い合うがいい」


 余裕ぶっこきやがって……。


「アラン、フラムはどうした?」

「できるだけ遠くに運んだよ」

「よし」

「――で、どうしよっか。僕は片腕。イロハ君は満身創痍。正直、次彼女が合成術のモーションに入ったら止められないよ」

「……アラン、アイツの合成術さえ止められれば何とかできるか?」

「うん。彼女にもダメージが入っているからね。抑え込める」

「わかった。俺とヴィヴィは下がる。お前は突っ込め」

「囮役了解」

「ヴィヴィ。俺に策がある」


 俺はヴィヴィと後ろに下がり、ヴィヴィに耳打ちする。


「……君は、なんとも突飛なことを考えるな」

「できるか?」

「稀代の天才、ヴィヴィ=ロス=グランデの才能に賭けるしかないだろ」


 ヴィヴィは自信ありげに言い切った。


「突っ込むよ!!!」


 アランが飛び出す。すると、ニコラスが宙に合成陣を描き始めた。


「今だ! やるぞ!」

「ああ!」


 俺は虹の筆で目の前の空間に触る。


「……アイツの合成陣を見てわかった。マナは浮かぶ。俺はマナを自在に引き出すことはできないが、虹の筆のインクなら自在に引き出せる。構成物質のほとんどがマナのこのインクなら、いけるはずだ!」


 俺は目の前の空間に合成陣を描く。


「宙にインクを浮かばせただと……!? まさかそれは、虹の筆か!!!」

「ヴィヴィ!」

「わかっている!」


 ヴィヴィはポケットからマナスティックの入った小箱を出し、箱からマナスティックを1本出し、火を点ける。

 アランとニコラスの距離は約4m。そこで、ニコラスの合成陣が白く輝いた。合成術が始まる。同時に、ヴィヴィは俺が描いた合成陣にマナスティックで火を灯し、合成陣を起動させる。


「「風錬成【フーパ】!!」」


 ニコラスとヴィヴィ、2人の合成陣に風が集まる。

 ニコラスは合成陣に竜巻の如き突風を集めるが、ヴィヴィは微弱な風しか集められない。

 アランは突風の壁を前に足を止める。


「愚か者め! 錬金術の格が違う! 私にパワーで勝てると思っているのか!」

「パワーで勝つ気はないさ。大気を操る合成術なんて、相当量の計算と緻密な操作が必要だ。私に竜巻を起こすだけの風の合成はできない。だがね、そもそも竜巻を起こす必要なんてないんだよ。私はただ、君の計算式を僅かにずらせばいいだけ。風を集めて放つ、なんてことは考えなくていい。ただ君の周囲の大気を、歪ませればそれで……」


 大気が唸っていく。


「なっ……!?」

「――計算と操作を乱せる」


 ニコラスの集めた風が、散っていく。


「成程。合成術の押し合いをして理解した。あなたは本当にあのニコラスのようだ。しかし、これを機に覚えておいてください」

「貴様……!」

「天才はあなただけではない。あまり現代の錬金術師を舐めるなよ」


 風の壁が無くなったことで、アランがニコラスに接近する。


「時代遅れの錬金術師は、ここで眠れ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ