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【書き出しコンテスト受賞作/未書籍化】色彩能力者の錬金術師  作者: 空松蓮司@3シリーズ書籍化
第2章 クラスリーダー総選挙

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第69話 廃校舎に潜む宝

 玄関は開いていた。

 廊下に足を踏み入れると、ギシギシと木の床が軋んだ。鼓動が早くなる。この廃校舎に入ってからというもの、冷や汗が止まらない。本校舎でも感じていた不吉なオーラが、強く深くなっている。


 俺達は玄関に1番近い教室に入る。教室に先客を発見した。廃校舎1階の教室で、ルチアは掃除ロッカーを探っていた。


「やっぱり居たか」

「むぎゃあっ!?」


 後ろから声を掛けられ、体を跳ね上がらせるルチア。


「ホントにルチアさんだ……」


 フラムがキラキラとした目で俺を見つめてくる。髪の毛の持ち主がルチアだということを証明したからだろうけど、そこまで驚くことか?


「あ、アンタら……なんでここに!」

「なりゆきで。お前こそなんでここに?」

「……私は」


 ルチアはなぜか考え込む。


「呼ばれたのよ……誰かに、ここへ来いって」

「手紙とかで呼び出されたってことか?」

「も、もしかして、告白の呼び出し……?」

「違う。頭に響いたの。女の声で……森の奥にある廃校舎へ来いと。そこにアトリエがあるって……」

「ひぃ!?」


 フラムは俺の背後で丸まってしまう。


「そんな作り話でウチの団員をビビらせないでくれ」

「作り話じゃない! ホントのホント!」

「はいはい。俺達もアトリエを探すぞ、フラム」

「は、はぁい……」


 俺とフラムも教室の探索を始める。もちろんルチアは良い顔をしなかったが、それでも邪魔はしてこなかった。

 俺は教室にある本棚と机の中を確認し、最後に黒板を見つめる。


 ダークグリーンの黒板……いや、薄っすらと、色に『濁り』が見える。


「……嘘だろ……」


 目を凝らしてみると、黒板に図形が浮かんできた。


「どうしたのよ? なにかあったの」


 ルチアとフラムが俺の横に来て、黒板を見る。


「なにもないですよね?」

「ないわね」


 2人には見切れないみたいだが、


「薄っすらと、黒板にニスみたいなもので絵が描いてある。いま、俺がそれをチョークでなぞってやるよ」


 俺は落ちていた白のチョークを拾い、ニスのような透明の液体をなぞる。


「イロハさん、これって……」


 絵が完成していくにつれ、2人の表情が変わる。


「完成だ」


 様々な図形を組み合わせた一枚絵。これは、


「合成陣だな」


 合成を行うための陣。


「授業で合成陣の解説でもしてたんでしょ」


 ルチアは肩を竦める。


「わざわざこんな見にくいインクで描くか? それに、通常の合成陣と違う部分もある。合成陣の中の小さな円4つにそれぞれ絵が描いてある。釘と札と髑髏と鍵だ」

「この鍵……」


 ルチアは制服のポケットから、黒板に描かれた鍵とそっくりの鍵を取り出した。


「どこにあったんだ、それ」

「玄関のカギ穴に差さっていた」


 ルチアは何かを閃いたのか、ニターっと笑みを浮かべた。


「わかったわ! ズバリ! それら4つをこの校内から見つけ出し、黒板の合成陣を使って、合成術を行えば……」


「隠されたアトリエが見つかる、というわけですね!」

「多分、な」


 このヒント、俺のような色彩能力者じゃなければ発見は不可能だ。

 ありがたいけど不公平と言わざるを得ない。学校全体を使ったレクレーションだ、公平でなくちゃならない。違和感だな……。


 ……一旦置いとくか。


「ここは休戦よ。協力してこのアイテムを揃えるわ」

「アトリエを見つけた場合の報酬は三等分な。手分けして探すぞ」

「手分けして!? あ、あの、ジブンはなるべく明るい所を探させてください!」


 俺達は分かれてこの廃校舎の中を漁る。


「あったぞ。ロッカーの裏に札だ」

「こここ、こっちもありました! 壁に、釘が打ち込まれていました!」


 最後の1つ、髑髏が見つからない。


「もう全部探したわよ」

「あと探してないのは……」


 俺達は外に出る。


「地面だな」

「床下という可能性はないかしら?」

「さすがに無いと信じたい。土の下に無ければ探すしか無いけど」


 虫とか大量に湧いてそうだ。できれば触れたくない。


「どうやって掘ります? スコップとかは見当たらなかったですけど」

「手掘りだろ」

「ふふん。これを使いなさい」


 ルチアがストレージポーチから出したのは品評会の時に持ってきたツルハシだ。


「ああ、コンペで負けたやつか」

「言い方があるでしょ言い方が!」


 ツルハシは俺に手渡される。


「……俺か」

「男の子でしょ?」


 別に肉体労働は得意じゃないんだけどな。


「つーか、ツルハシで地面って掘れるのか? 手掘りより効率悪そうだが……」


 俺はツルハシで地面に叩きつける。


「おおっ」


 俺はツルハシの手応えに驚いた。

 ツルハシで2度、3度と地面を叩く。


「使いやすいな。めちゃくちゃ軽い」

「で、でしょ! そうでしょ!」

「それに先っぽから衝撃波が発生してるのか、打ち付けた場所周辺の土が柔くなってる」

「そうなのそうなの! ショックストーンっていう強化素材を組み込んでるのよ!」


 よく使い手のことが考えられた錬成物だ。

 ルチアは鼻息を荒くし、俺の誉め言葉を今か今かと待ち構えている。まるで餌を要求する犬だな……。


「……取っ手も何か塗ってあるな。これのおかげで手が痛くならない」

「私が錬成したジェルよ。リバウンドダメージを軽減してくれるわ! 他には他には!?」

「……もう勘弁してくれ。目的は髑髏探しだろ」


 地面を片っ端から掘り返す。ツルハシを打ち付けること30回目、カツン! とツルハシの先から硬い音が返ってきた。


 俺は手で地面を掘り、土の中に紫の髑髏を発見する。髑髏を掘り返し、上に掲げる。


「見つけた」

「これで全部揃いましたね!」

「ふん! 私の錬成物のおかげね!」


 俺は校舎に足を向ける。


「そんじゃま、扉を開くとしようか」

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