表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書き出しコンテスト受賞作/未書籍化】色彩能力者の錬金術師  作者: 空松蓮司@3シリーズ書籍化
第2章 クラスリーダー総選挙

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

55/66

第55話 飛行訓練

 花蝶の月42日。火曜日の朝が来た。


 トトの開く品評会が46日。スプーシーの開く狩猟大会が47日。ブルースの決闘については期限なし。ま、選挙までにブルースを説得する必要があるから期限は選挙の日である55日と考えていいだろう。


 家を出ると、ちょうど同じタイミングでフラムが家から出て来た。フラムはまったく同時に家を出たのがおかしかったのか、くすっと笑って右手を振ってくる。俺は右手を上げて応え、自然と2人で並んで通学路を歩き出す。


「驚きました」

「なにが?」

「イロハさんの顔を見たいなって思ってたら、すぐに会えたので」


 モナリザが好きで良かった。もしも俺が一般男子だったら、今の一言&邪心の無い笑顔で落とされている。マジで。落とす気のない口説き文句程恐ろしいものもないな。


「ジブンは……このマナが大嫌いです。人を傷つけることしかできないこのマナが。でも、イロハさんのおかげで少しだけ好きになれそうです」

「俺なんかしたっけ?」

「『個性は力だ』って言いました」

「別に言い尽くされた言葉だろ」

「少なくともジブンは初めて言われましたよ。そして救われました」


 フラムは右手を額に当て、敬礼のポーズをする。


「ジブン、頑張りますから!」

「……また気合入れ過ぎて事故起こすなよ」

「うっ……気を付けます」


 フラムは二つ結びの髪を振り、小走りで俺の正面に回り込む。


「もしも上手くいった時は……」


 フラムは少し照れたような顔で、


「褒めていただけると、気持ちつよつよです!」

「……その、お前がたまに言う『つよつよ』ってどういう意味だ?」

「つよつよって言うのは、『爆上げ』って意味です!」


 ピカピカの笑顔でフラムは言う。

 なんというか、フラムは素直で、嫌味なくて、おまけで少々小柄だから……可愛いんだよな。うん。異性に向ける可愛いじゃなくて、もっと別の、小動物に向けて使う『可愛い』。


 妹とかいたらこんな感じなんだろうか……。


 --- 


 火曜日の一時間目は空挺飛行訓練。

 戦闘訓練と同じで外でやる授業だ。俺たちは空挺ダーツを(おこな)った〈ランティス競技場〉に集められた。

 空挺の授業は人気なのか、クラスメイト達のテンションが高い。浮つき、喋り、今か今かと授業開始を待っている。


「静粛に!」


 全員の前に立ち、その子は大声で命令した。

 その子、と表現したことから察して欲しいが、大人ではない。小さな女の子……身長130cmほどの女の子だ。紫の長髪で、頭にはとんがり帽子を被り、体にはローブを纏い、背には杖。錬金術師というより、魔女っ娘って感じだ。


「わたしが空挺飛行訓練を担当するオードリー=マッケシェルトです! 出席番号順に並んでください!」


 と言われても、誰も動かない。なんせ相手は子供だ。


「なによアンタ、迷子?」


 ルチアが魔女っ娘オードリーに近づく。


「『アンタ』と呼ばないでください! そして迷子でもありません! わたしはあなたより10は年上ですよ!」

「ばっかばかしい。ほら、一緒にお母さん探してあげるからついてきなさい」


 本心からの善行か、票稼ぎのための善行かわかりづらいが、ルチアはオードリー少女の手を取った。

 オードリー少女は無言で背の杖を抜く。


「風錬成、【フーパ】!!」


 竜巻が起こった。

 竜巻はルチアを巻き上げる。


「うわあああああああああっっ!!!」


 巻き上げられたルチアは上空より地面に落される。

 地面に落ちたトンガリ帽をはたき、オードリー先生は被り直した。


「もう一度言います。並んでください!」


 と涙目でオードリー先生は言った。

 生徒たちは恐怖心からおとなしく並んだのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ