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【書き出しコンテスト受賞作/未書籍化】色彩能力者の錬金術師  作者: 空松蓮司@3シリーズ書籍化
第2章 クラスリーダー総選挙

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第44話 夜の廊下

 薄暗い廊下を2人の教師が歩いていた。

 普段は賑やかなランティス錬金学校も23時を回れば人気(ひとけ)は無くなり、静けさが廊下を巡る。マナランプ(マナを原料に灯りを点すランプ)を片手に、2人の教師は何かを探すようにして学校内を巡回していく。


「無いですね」

「ふぅむ……」

「本当にあるんですか? ニコラス=フラメルのアトリエがこの学校に……」


 ランティス錬金学校校長ジャック=O=ニュートン。

 ジャック組担任ジョシュア=ベン=クロスフォース。


 かぼちゃ頭の校長と眼帯教師が探しているのは伝説の錬金術師ニコラスの工房だ。


「僅か数年だが、ニコラスは我が校の教師として働いていた。その時に奴が使っていたアトリエがあるはずなのだ」

「それ何百年前の話ですか。なんで今更探し始めたんです?」

「今更ではない。奴が没してからずっと吾輩は探し続けている。まぁ大体いつも途中で飽きてやめてしまうのだが」

「……見つかるまで探してくださいよ」

「今回はそのつもりだ。奴の……魔王のアトリエだぞ。一体どんな危険物があるかわからん。それに年々と奴の気配が強くなっているのを感じる。嫌な予感がするのだ……」

「つーか、こういうのはコノハの方が適任じゃないですか? アイツならホムンクルスの人海戦術で探せる」

「コノハ先生はダメだ。彼は危うい。ニコラスの研究を前に何をしでかすかわらかない。一方でジョシュア先生は錬金術の高みとかに一切興味無いし、安心安全♪」

「はぁ。俺も野心家だったらこんな面倒ごとに付き合わされずに済んだのか。『将来の夢は世界征服です』とても言っときゃ良かったぜ」

「んもうっ! そんな言い方ないでしょ! 吾輩と深夜デートなんて、世界中の錬金術師が羨ましがるわよ!」


 事実、ジャック校長と2人で散歩する権利を売りに出した場合、かなりの高値がつくだろう。人によっては城1つ買えるぐらいの額を出す。

 ただジャック校長に対して尊敬の意がまったくないジョシュアにとってはオッサンの相手をさせられているただの苦痛の時間であり、早く終わってくれと思っていた。


「そのカボチャ頭割られたくないなら黙って歩いてください」

「最近、若者が吾輩に厳しい件について」

「あーあ、どうせならルーシー先生やヴィクトリア先生と一緒に散歩したかったなぁ~」


 ジョシュアの嘆き声が廊下に木霊する。


「つまり、美人の女性教員と歩きたいと?」

「そりゃもちろん!」

「ふぅむ。では次からはレイン副校長を……」

「マジ勘弁してください。アイツだけはマジで!」

「なぜかね? 貴殿とレイン副校長は旧知の仲ではないか」

「昔から俺とコノハには厳しいんですよアイツは!」


 ジョシュアは過去を思い出し、顔を青ざめさせる。


「俺が服だけを溶かすポーションを作った時は俺をマグマに突っ込もうとしたし、俺が八股した時は股間のブツを斬られかけた。コノハのやつが生徒を攫って人体実験仕掛けた時もコノハをガチで殺しかけたし、コノハが腹いせにレインの飲料に自作の自白剤を混ぜたと知った時にはコノハの目玉を抉り抜こうとした。俺とコノハが共謀してアイツが書いたポエムをばら撒こうとした時は2人して断頭台に掛けられた……アイツはマジでヤバいんです!」


「話を聞く限り貴殿とコノハ先生もヤバいよ……」


 ジャック校長は咳払いを挟み、


「ところで、レイン副校長のポエム……是非とも聞いてみたいね☆」

「いいですよ。まずアイツが恋について語ったポエムが傑作で……」


 瞬間、ジョシュアは背中にゾクっと悪寒を感じ、背後を振り返った。


「どうしたジョシュア先生……まさか、ニコラスの気配を!?」

「いえ。これは恐らく……レインの殺気です」


 ジョシュアは汗を一滴垂らす。


「……やっぱり言うのやめます」

「え~!? な・ん・でぇ~~!! 吾輩気になる気になるぅ!」


 気を取り直し、2人は暗がりを進んでいく。

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