虚ろなレンズ
詩・短編を書いてみました。
気に入っていただけるか分かりませんが
一生懸命に書いてみました(^_^)
1000文字ぐらいで書いてあります。
物語の断片や本の1ページのようなモノだと思いながら
暇なときにでも読んで
楽しんで頂けると幸いです(^_^)
山奥に捨てられた廃バスと
その場所を染める夕闇。
そして
廃バスの前に置かれたコンクリートブロックの上には
一眼レフカメラを持った少女が座っていた。
その目は虚ろでピントが合わないカメラレンズのよう。
草影から見ている僕は
その彼女の姿に
その瞳に
僕の心を強制的に震わせられ
その雰囲気に動けないでいる。
話しかけたい。
でも話しかけていいのだろうか…?
いや…
もしかして気づいているのだろうか?
もし彼女が僕のことを認識しているのなら
多分
僕の大事なものは引き抜かれてしまうかもしれない…。
もちろん
あの子がそんなことを出来るわけがないと思っている。
でも
そう感じてしまう。
草を揺らす優しい風が吹く。
まるで誰かを探しているかのような。
少女はその風に当たり
身体を反応させる。
そして
髪を触り
カメラを触り
周辺を見渡して
カメラを構えた。
僕の方向だ。
カシャ…。
今を切り抜くようなカメラ音を鳴る。
少女は正面の光景を一枚の写真におさめた。
まさか…。
悪寒が身体を這った瞬間。
強い風が吹いた。
僕は目を守ろうとマブタを下ろす。
その数秒後
目を開けると少女はいなくなっていた。
自分の身体は草影から飛び出し
周辺を探す。
しかし見つからない。
浅い呼吸をひとつふたつ…。
速い心音がひとつふたつ…。
気がつけば
感覚を刺激するのは草の揺れる音だけだった………。