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冒険者として

 ブレイドとリアナは冒険者として、マンティスの依頼をこなしていた。

 魔族狩りは当然ながら、薬草採集や都市内で活動するものまで様々な依頼をこなした。

 今日も冒険者ギルドにある依頼ボードを眺めながら気になる依頼書を探している。


「あれ? これって……」

「どうしたの、お兄ちゃん」


 ブレイドが見つけた依頼書はEランク相当のもので、冒険者ギルドがない近隣の村から出された魔族討伐の依頼だった。


「……リアナ、今度はこれを受けよう」

「何々? ……リザードマンの巣の壊滅、かぁ。Eランク相当の依頼だから私たちでも受けられるけど、どうしてこれなの?」


 現在Fランクの二人だが、依頼に関しては一つ上のランクまでなら受けることが可能だ。

 当然ながら危険度は増すのだが、そこは冒険者自身の裁量に任せられている。

 ただ、これは普通の冒険者に当てはまることなので、実質Sランク以上の実力をもつ二人なら問題ない依頼ではあった。


「ギルドの資料を読んでいたんだけど、この辺りにリザードマンは生息してないはずなんだ」

「そうなの? でも、リザードマンの巣だって書いてあるよ?」

「だから受けるんだよ。俺たちが」

「……もしかして?」

「そう、そのもしかしてかもしれない」


 ブレイドが抱いている懸念、それは──


「村の近くに新しい魔窟が現れた可能性がある」

「でも、魔窟ってそんな頻繁に現れるものなの?」

「どうだろうな、俺にも分からないよ」


 MSOではシステムで作られた魔窟に潜るだけだった。

 見つけるには条件が必要だったが、それでもランダムで自動生成されるわけではない。

 何かしらの意図を持って魔窟が現れているのであれば、思い当たる節がないわけじゃない。


「……異界の英雄」

「えっ?」

「いや、俺の近くに魔窟がこうも連続で現れるってことは、魔族側があえて魔窟を作ってる可能性もあるかなって思ったんだ」

「でも、そうなると魔族側はお兄ちゃんが本当に異界の英雄だと思ってるってことだよね?」

「そうなんだよなぁ、うーん……」


 頭を掻きながら唸っていると、後ろから声を掛けられた。


「ブレイドにリアナではないか!」

「あっ! おはようございます、ミリエラさん!」


 ミリエラの声に返事をしたリアナに続いてブレイドも振り返る。


「何か依頼を受けるのか?」

「はい、これなんですけど」

「どれどれ……んん? リザードマンだと? それも、巣だと?」

「あっ、やっぱりおかしいんですね」

「やっぱりということは、ブレイドもこの辺りの魔族の生息域を調べたのか?」


 長年マンティスで暮らしているミリエラの反応を見て、ブレイドは魔窟が現れている可能性が高いと結論付けた。


「おそらくですが、魔窟が現れているかもしれません」

「そうなのか? ふむ……」

「あれ? ミリエラさん、驚かないんですね」


 すぐに思案顔を浮かべたミリエラにリアナが驚いている。

 一方のミリエラは苦笑しながらその理由を教えてくれた。


「まあ、ブレイドには驚かされてばかりだからな。これくらいではもう驚かないよ」

「あー、確かにそうですね」

「なあ、それって軽くいじってないか? いじってるよな?」


 ブレイドの発言は無視されてしまい、思案顔だったミリエラは顔をあげて口を開いた。


「その依頼、私も同行していいだろうか?」

「えっ! ミリエラさん、一緒に来てくれるんですか!」

「いや、お前たちが良ければなんだが、どうだろうか」

「お兄ちゃん! 一緒に来てもらおうよ!」


 喜んでいるリアナだったが、ブレイドとしては一つ気になることがある。


「でも、この依頼は報酬がとても安いんですよ?」

「報酬は二人が貰ってくれ。私はただ同行するだけだからな」

「いや、さすがにそういうわけには」

「これでもSランク冒険者だぞ? 貯蓄もしているし、お金には困っていないのだよ」

「俺たちもそうなんですけど……まあ、いっか」


 何もしなくても遊んで暮らせるくらいのお金を持っているブレイドだったが、ここで押し問答を繰り返していても意味がないと判断して条件を受け入れることにした。


「まあ、魔窟がない可能性もありますけどね」

「それならそれに越したことはないだろう」

「そっちの方がいいですよ。魔窟の中っていやーな空気ですし」


 ブレイドが依頼書を受付に提示して請け負うと、三人はそのまま冒険者ギルドを後にする。

 向かう依頼先はザライザ村。

 リザードマンの巣を壊滅させるのは当然だが、魔窟があるのかないのかの確認も含めて。

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