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介入-2

 アドゥニスを巻き込まないようにするため、ブレイドからもあえて前進――ダーラグロロアの拳と拳がぶつかると衝撃波で砂煙が舞い上がった。


「あ、相打ちだと!」

「いや、俺の勝ち」


 ブレイドは速度上昇に加えて筋力上昇を発動させている。

 普通の冒険者が同じことをしても魔族には到底及ばないだろう。

 だがブレイドは違った。スキルのレベルが最高値だったことで魔族と同等の――それ以上の力で渡り合うことができるのだ。


「ちょっと移動するぞ?」

「何を――うおっ!」


 ダーラグロロアの言葉を遮り、ブレイドはさらに力を込めるとダーラグロロアを巻き込みながら森の奥へと突っ込んでいく。

 あまりの膂力にダーラグロロアも止めることができず、仕方なくブレイドから距離を取るために魔法を発動した。


「テ、覇王の暴風(テラグレリア)!」

「おっと!」


 ダーラグロロアの上級魔法が発動されたタイミングでブレイドは後方へ飛び退く。

 先ほどまで二人がいた空間に空を貫く高さまで伸びた竜巻が発生すると、周囲の木々を巻き込んで舞い上げてしまった。


「……貴様、本当に異界の英雄なのか?」

「さあ。エボルカリウスが勝手にそう言っていただけで、俺がそうなのかなんで証明のしようがないからな」

「そうか……ケーヘヘヘヘ! お前を殺せば、俺が五魔将になれるってもんだ!」


 哄笑するダーラグロロアだったが、舞い上がった木々が地面に落下するタイミングで再び突っ込んできた。

 先ほどとは段違いの速さで迫ってきたダーラグロロアだったが、ブレイドにははっきりと見えていた。

 両腕から放たれるダーラグロロアの連打を、寸分違わず打ち抜いていくブレイド。

 押し切れる、人族に負けるはずがない、そう思っていたダーラグロロアには焦りが見え隠れしていた。

 そして、動きのキレが悪くなった瞬間をブレイドは見逃さない。


「はあっ!」

「ぐがあっ!」


 腹部に強烈な右ストレートを叩き込まれたダーラグロロアは数歩たたらを踏む。

 ブレイドは畳み掛けるように前へ出ると徒手空拳で連打を浴びせていく。

 七星宝剣という神の遺物(アーティファクト)を持っているブレイドだが、あえてダーラグロロアの得意な戦い方で挑んでいた。


「貴様、ふざけるなよ! 俺様が殴り合いで負けるはずが、ぐうっ!」

「だから言っただろう、お前はエボルカリウスより弱いってな!」

「き、貴様ああああっ! 俺様をコケにしやがって!」

「おっ! 身体強化特大だな?」

「なあっ! な、なぜそれを知っている!」


 ダーラグロロアはMSOでは初期に出てくる魔族である。

 もちろん強敵ではあるものの、それはレベルの低かったときの話でありブレイドのレベルでは一分と掛からずに倒せる相手なのだ。

 ダーラグロロア攻略法、それは素早さを活かして突っ込んできたところにカウンターを合わせること。通常時は簡単に合わせられるのだが、身体強化特大を使用した後からは動きがあまりにも速く対応できないプレイヤーが続出した。

 そんな中でもブレイドはタイミングを見計らいしっかりとカウンターを浴びせて全プレイヤーの中で最速の討伐記録を持っている。

 それがランキング上位を独占しており、発売してから五年以上経っている今のブレイドならば純粋にステイタスだけでもダーラグロロアを凌駕していた。


「だが、知っていたとて防げるはずがない!」

「防がないよ」

「死ぬ覚悟はできたようだな!」

「いや――やらせないからな!」


 ダーラグロロアは身体強化特大にて速さだけではなく筋力も耐久力も上昇している。

 そんな肉体を、ブレイドの右腕は苦もなく貫き、ダーラグロロアの左胸には大きな穴が出来上がっていた。


「があっ! ……ま、まさか……こんな、ことがっ!」

「悪いな。お前は五年前に討伐済みなんだよ」

「……な、何を、言っている? 貴様は、何者、だ?」

「? お前たちが言っているんだろう、異界の英雄だって」

「い、異界の、英雄、だと? ……ククク、そうか、そういうことか、ムシュラガゼル!」


 瀕死の状態であるはずのダーラグロロアはなぞの哄笑を響かせながら口から大量に吐血する。


「カカカカカ……俺様を、騙したこと、後悔させて、やる……ぞ…………」


 そして、ダーラグロロアは立ったまま絶命し黒い霧になって消滅した。


「……魔族同士で仲間割れでも起きているのか?」


 今のダーラグロロアの発言を聞くと、ブレイドにはそうとしか考えられない。

 しかし、これがどれほど人族に影響を及ぼすのか、プラスなのかマイナスなのかもブレイドには分からない。


「……まあ、なんとかなるだろう。魔族で仲間割れが起きているなら人族へプラスに働く方が可能性としては高いだろうし」


 大きく伸びをしながらそう呟いたブレイドは、一旦ミリエラたちのところへ戻ることにした。

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