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国家騎士-5

 話し合いはその場で行われた。

 カルディフで待機している他の国家騎士に事情を伝える必要があったので男女の騎士は気絶したモーリスを抱えて戻っていった。


「……あなたは行かなくていいのか?」

「私もお話を伺いたいと思いましてね」

「あの二人とモーリスだったか? あいつらの報告だと色々と虚偽が混じりそうなんだが」

「仮にそうなったとしても、私とダルリアンが正しい報告を行えば問題はないでしょう」

「いや、狙われているのは俺とこいつなんだけど」


 ブレイドは腰に差していた七星宝剣の柄を叩きながら伝えると、ダルリアンが改めてという感じで確認を取ってきた。


「失礼ながら、それは本当に神の遺物(アーティファクト)なのか?」

「……そうか。あなたには感じ取れないのか」

「というと?」


 捉え方次第では相手を怒らせてもおかしくはない言い回しだったが、ダルリアンは特に気にした様子もなく質問を続ける。


「神の遺物は見る者が見ればひと目で分かるものなんだ。おそらくエリーザは分かったから俺に声を掛けてきたんだろう?」

「そうなのですか?」

「分かったわけではないわ。ただ、ブレイドの持つ剣から異様な雰囲気を感じ取ることができたから気になっただけ」

「人によって感じ方は様々だが、そんな感じで普通とは違うと直感が働くんだ」


 そう言われてダルリアンはじーっと七星宝剣を見ていたのだが、何も感じられなかったのか目を閉じて首を横に振っていた。


「それで、本題に入るんだがエリーザたちは魔窟を封印した俺たちを追い掛けていたわけじゃないのか?」

「誰がそんなことを言ったの?」

「いや、そっちの……ダルリアンさんでしたか? が、大声で魔窟が封印されていたーって言ってたので……」

「……えっ、お兄ちゃん、それだけ?」


 まさかの理由にエリーザとダルリアンは頭を抱えてしまった。

 リアナですら溜息を漏らしている。


「いや、だって、国家騎士ってあまり評判が良くないって聞いたからさぁ。てっきりレアアイテムが奪われたからだと思ったんだよ」

「レアアイテムって、それは封印が大前提の話じゃないの。私たちの今回の目的は魔窟の調査であって、封印ではないわよ?」

「へっ? そ、そうなのか? だったら別に怒ったりしてないのか?」

「当然じゃないの。むしろ妹さんが言っていたみたいに感謝する内容だわ」


 自分の早とちりだったことを知ったブレイドはエリーザ、ダルリアン、最後にリアナと見ていった後、大きく息を吐き出した。


「はああああああぁぁぁぁ、よかったああああぁぁ」

「もう! こんだけ騒いだ挙げ句にお兄ちゃんの早とちりだなんて、みんなに謝りなさいよね!」

「ご、ごめんなさあああいっ!」


 リアナの怒声にブレイドは素直に頭を下げた。

 その様子を見てエリーザとダルリアンは顔を見合わせると苦笑しながら構わないと口にした。


「元はと言えば国家騎士の悪名が招いたことだもの、仕方がないわ」

「そう! そこが気になってたんだけど、二人からは嫌な感じを全く受けないんだけどどういうことなんだ? さっきの三人は別だけど」

「三人? モーリスは分かるけど、ゴッソとイレーヌからも?」

「ダルリアンさんが怒鳴ってくれた後もこっちを睨みつけてたからな。あれは近々集団で俺のことを襲ってくると思うぞ」

「そ、そんなことはさせません!」

「あはは、冗談だって」

「……冗談に聞こえないのが怖いのです」


 ブレイドとしては本気だったので当然なのだが、話を進めるためにあえて曖昧にしておいた。


「……私やダルリアンは真っ当な国家騎士なのです」

「真っ当じゃない国家騎士がいる方が問題だろ」

「ちょっとお兄ちゃん!」


 慌ててリアナが口を挟んだのだが、エリーザは首を横に振って話を続ける。


「いえ、ブレイドの言う通りよ。現在の国家騎士は腐敗しています。今回だって、私が隊長に任じられたのもダルリアンと確執を作らせることが目的でしょうからね」

「そうなのか?」

「当然でしょう。私なんかよりもダルリアンの方が隊長に向いているもの。まあ、私たちは全く問題はないのだけれど他の騎士たちに影響が出てしまったのよ」

「……ふーん」


 ブレイドはなぜか話半分と言った感じで相槌を打っている。

 エリーザも気になったものの話を聞いていないわけではないと判断してそのまま話を続けた。


「それで、国家騎士の団長から下ほとんどが腐敗しきっていて、城は政権争いの真っ只中なのよ」

「そんな時に魔窟が見つかったから、真っ当な国家騎士には遠くに行ってもらおうってことになったのか」

「うわー、お城って華やかな場所だって想像してましたけど、怖いところなんですね」


 リアナの素直な感想にエリーザは苦笑しながらも否定はしなかった。


「ですから、私たちからするとブレイドが魔窟を封印してくれたことはありがたいことなの」

「今の流れからすると、早く戻れるからってことか?」

「その通りです。まあ、王都からするとレアアイテムが欲しかったと思いますから罰はあるでしょうけどね」

「そうか……リアナ、あれってやっぱり使わないのか?」


 唐突な質問にリアナは首を傾げてしまう。


「あれって何?」

「いや、魔窟で手に入れた杖だよ」

「あ、あんなもの使えるわけないでしょう!」

「杖、ですか?」


 顔の前で両手をブンブンと振っているリアナを見て、今度はエリーザが首を傾げている。


「その魔窟から手に入れたレアアイテムだよ。もしよかったら持っていくか?」

「「「……えっ?」」」

「いや、リアナも使わないって言ってるし、罰を受けるんだったら渡してもいいかなって思ったんだけど」

「「「……ええええええぇぇっ!」」」


 ブレイドの提案に、三人から驚きの声が草原地帯に響き渡った。

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