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氷の約束
薔薇園を開けるとむせかえる様な薔薇の香りに、色とりどりの薔薇達が出迎えてくれる。
その一番奥、珍しい氷の薔薇が咲き誇る場所にお目当ての姿があった。
銀色の長い髪をさらし薔薇を見つめる瞳は冷たい銀色。人外じみた美貌を誇る美丈夫。
「ルーファス。ここにいたか。探した。」
ゆっくりとこちらを振り返り、冷たい銀色がほんのりと熱を灯す。
「ジェイドか。今日で暫く此処にも来れないからな」
「まぁね。明日から僕達はルーンナイト学園に行くしね」
「18から22までの四年間、全世界の選りすぐりの男女が集まる、でけぇお見合いだろ?」
「そんな事言ってはいけないよ。世界の交流会と言って欲しい所だけどね」
「そうか。でもこの4年でお前の婚約者が決まるんだから見合いには違いないと思うがな」
「そうだね。願わくは、僕の運命と出逢います様に」
少年の願いは薔薇に消えて行った。