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オタクとヤンキーは紙一重  作者: 人見尻
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初投稿です。

カンペキに思い付きなので まったり続けれたらなと思います!

 小さい頃の人間関係は簡単だ。あの子が嫌い、あの子が

好き、そうやって好きな者同士集まって遊んでればよかった。


 ヤンキーとオタクの違いって何だろう?

ヤンキーはタバコを吸い、単車を乗り回し、特攻服に身を包んで喧嘩して燃える。


 オタクはアニメ、漫画、ゲームをこよなく愛し、コスプレに興じたりコスプレした女の子の写真を撮ったりして萌える!


 このように両者は対極であり、似ても似つかない存在に思えるが実はそうでもないと思う。


 ヤン車と痛車は大差ないし、オタクは暴力を振るう喧嘩は滅多にしないが、2chでは叩き合いや炎上なんかしょっちゅうだ。

 特攻服に至っては、あれ……コスプレじゃね?

 まあ要するにオタクもヤンキーも大差ない、両者とも中2病をこじらせてしまっただけである。

つまり………


「オタク趣味なヤンキーが居てもいんじゃね?」


 晴れ渡る青空の下で、屋上の片隅にあるベンチに腰掛ける金髪の少年、友和達也はボソッと呟いた。その両手にはまだ食べかけの焼きそばパンとイチゴ牛乳が握られている。


「ん?なんか言った?」


 茶髪にピアスをした向かいのベンチに座る少年、安楽良介が尋ねてきた。ちなみに手元にはカップラーメンとお茶。


「あっ!いや別に、なんでもない」


 慌てて誤魔化し、再び手に持っている焼きそばパンをバクバクと咀嚼する。


「そっか、ならいいんだけど」


 そう言って良介も爽やかな笑顔を見せた後、カップラーメンをズルズルと啜る。

 2人が通う岡山県にある県立高校。その屋上で2人は昼食をとっていた。

 5月の穏やかな陽気もあって、晴れた日にはポカポカと気持ちいいのだが、この学校の校庭には芝生やベンチもあるのであまり人気はない。

 なので2人はよくここで昼食をとっていた。


「そういえば先輩が、今日帰りにゲーセンよるから暇なやつは来いって言ってたぞ」


 食後の一服にとタバコに火をつけながら良介が思い出したように言ってくる。


「げっ!まじで?」


 そう答えながら俺は残っていたイチゴ牛乳を飲み干した。

ちなみに俺はタバコは吸わない、体に悪いし、昔仲間に誘われて1回吸ってみたが超不味かった。

 何で皆吸ってんの?しかも500円位とられるとかもはや罰ゲームだよね!


「マジマジ、なんか最近でた格ゲーにはまってんだと。どうする?」


「あー……今日ちょっと寄るとこがあんだよね」


「なら俺だけ顔だしとくわ、誰か行かねーと後からうるせーし」


「わりっ、助かるわ」


 そんな会話をしている内に昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴り出したので、ゴミを片付け教室に戻るため屋上を後にした。




 6時間目が終わり放課後。部活に向かう準備や遊びに行く予定を話しているクラスメイトを尻目に帰る準備を整え、適当に挨拶を交わしながら教室を出る。

 家は学校の近所なので電車に乗る必要は無いのだが、地元から一駅離れた本屋に向かうため、下校する生徒の群れに紛れ真っ直ぐ駅に向かった。

 ホームに着くと、すでに電車は来ていたのですぐに乗り込み、適当な席に腰掛け到着まで携帯をいじって時間を潰す。

 そもそも何故本屋に行くためにわざわざ隣町まで行くかというと、これには深い訳がある。

 今日の目当ては『魔法少女 マダカ☆マダカ』の最新刊、ちょっぴりオタク要素が強い漫画だ。しかしこれを買う所を同じ学校の奴に知られるわけにはいかない。

 自分で言うのも何だが、俺は見た目でカテゴライズすればヤンキーと呼ばれる部類に入るだろう。染めた金髪、着崩した制服、耳にはピアスまでしているのだからしょうがない。

 しかし内面は周囲の空気に敏感で、すぐ回りに合わせてしまう。

 良くいえば協調性がある、悪くいえば自分をもってない。まあ要するにヘタレである。

 当然だが昔からそうだったわけではなく、小さな頃は普通の子供だった。

 学校が終われば友達と遊び回り、門限がくると家に帰ってアニメを見ていた。ところが中学に入り第二次成長と共に思春期が始まると、回りの友達は髪を染めだし、バカじゃないのって位眉毛を細くし始めた。

 それで何となく友達に合わせて同じ事をしているうちに、あら不思議!そこには立派なヤンキーがおりました!テヘッ☆

 しかし人間外見は変わっても中身は簡単には変わらない。外見は着実にヤンキー使用に改良、いや改悪されていっても中身が付いてこない。

 盗んだバイクで走り出したり、夜の校舎で窓ガラス壊す訳でもない。

 夜の繁華街をぶらついたり、意味も無く駅やコンビニで屯しても楽しいと感じず、友達と家でゴールデン〇イやスマ〇ラをしてる方が好きだった。ただし〇太郎鉄道は良くない、現実の力関係や性格の悪さが浮き彫りになるし、たいていマジ切れする奴が居て揉めるよねあれ。

 アニメや漫画も変わらず好きで、1人でこっそり楽しむ内に、どんどんはまっていった。

 しかし回りは多感なヤンキー中学生だらけ、間違ってオタク趣味がバレようものなら


「ぷっ、おま、オタク趣味とか!ちょっバンダナ頭に巻いてリュック背負ってみ(笑)」


「マジキモイわー、つーか話かけないでくんない?オタクがうつる」


 とか馬鹿にされてハブられるのは間違いない。

 だから友達や学校の奴等にオタク趣味がバレるのは何としても避けなければならない。

 そのため地元をさけ、わざわざ電車に乗って隣町の書店に向かっているのである。

 

 少しの時間電車に揺られ目的の駅で降り、しばらく歩くといつも利用している書店にたどり着いた。

 書店特有の匂いにテンションが上がるのを感じながら気を引き締める。ここで気を抜くわけにはいかない、ここからが本番なんだ。

 まずは店内をぐるりと歩き回り、知り合いや同じ学校の奴がいないかを確かめる。

 店内の安全確認を終えると次にターゲットが置いてありそうなコーナーを歩きながらそれとなく確認し、ターゲットの正確な

位置を割り出す。

 後は再び周囲を確認しながら素早くターゲットを持ち出すだけだ。……なんか万引き犯みたいだな。

 無事に目的の物を手に入れた達成感を噛み締めながらレジに持って行き会計を済ませる。


「文庫にカバーのほうは-おや?友和君じゃないか?」


 不意に名前を呼ばれ前を見ると、そこには美少女が立っていた。

 透き通るような白い肌、短く切り揃えられた艶やかな黒髪、そして何より目を引くのは世界の全てを見透かすような綺麗な瞳。

 可愛いより美人と言ったほうがしっくりくるだろう。

 2年1組 笹葉涼子。

 同じクラスになった事はないが、学園で彼女を知らないものは少ないだろう。 

 笹葉はその魅力的な瞳で真っ直ぐにこちらを見ていた。


「……あー、確か隣のクラスの笹葉さんだよな?何してんの?」


 驚いて一瞬言葉に詰まったがなんとか答える。


「何って見ての通りバイトだよ」


 笹葉はそう言うと可笑しそうにバイトの制服であろうエプロンを摘まんで見せる。

 その仕草がとても可愛くてイメージとのギャップに見とれてしまい、しばらくぼーっとしていると。


 「しかし意外だな君がこうゆう本を読むとわね」

 そう言いながら、笹葉は俺が持ってきた本を見つめる。表紙では魔法少女マダカちゃんが微笑んでいる、うむカワユイ!


 「ああ意外とそうゆう本が好き……」


 「ん?」


 「……」


 「どうしたんだい?」


 そう問いかけてくる笹葉の声も頭に入らず、俺はフリーズしていた。

 あら大変見られちゃった!ド ウ シ ヨ ウ!!!!

 しまった、意外な所に意外な人物がいたせいで対処が遅れた。まさかレジに伏兵がいるとわ。やばい?やばいよね?ヤベーーーー!!!!

 半分以上パニックになりながらも、必死に頭を働かせる。落ち着けっ!何とか誤魔化すんだ!

 

「いや、これは違くて、その……」


 なんとか言い訳をしようとするが、動揺して上手く言葉がみつからない。

 なかなか上手い言い訳ができずうんうん唸っていると。


「…何をそんなに慌てているのか分からないけど、私もバイト中だからあんまり長話はできないのだけれど」


 確かに笹葉からしたら迷惑だろう。さっきから店長っぽいオッサンがめっちゃこっち見てるし。ヤンキー並みにメンチ切ってらっしゃる。


「っだよな、悪い」


 諦めるしかないか。ああ、明日には学校中に広まって暗い高校生活が始まるんだろう。

 さらば青春、こんにちは黒い春。

 半泣きになりながらとぼとぼとその場を去ろうとすると、流石に哀れに思ったのか笹葉が声をかけてきた。

 

「はぁ、仕方がないな、8時にはバイトが終わるからその後でよければ話を聞くよ」


「えっ?」


「ただし、美味しいコーヒーをご馳走してくれるならね」

 そう言ってウインクする笹葉の姿は正直とても魅力的だった。

 

 あっ!ちなみにマダカちゃんはしっかり購入しました。

 

 

 

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