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友人と廃屋に行った話

作者: 久手之進
掲載日:2016/05/16

去年の夏休み、友人と肝試しに行くことにした。

俺が運転すること、友人二人(A.B)を連れていくこと、全く有名ではないとある廃屋(というか廃ビル)に向かうことが決まった。

当日、早めに家を出ておよそ12時頃に着いた。あたりには一応街灯があり薄ぼんやりと建物の全景が見えた。昼とは違いやはり雰囲気がある。

身軽なほうが良いか、と全員懐中電灯のみ持っていくことにした。そして入り口へ。窓ガラスは割られ、ドアは倒され、落書きや木の蔦などが張り、いかにも廃屋、という雰囲気が漂っていた。見上げるが特に窓から覗く人影などは無かった。

人数がいる安心感からか友人もどんどん奥へ入っていく。まず入り口すぐに広いロビーのような。事務所だったのだろうか。

事務机や事務椅子、ソファなどがあちこちに散乱、ボロボロになって落ちていた。特に漁ってもなにもないだろう。と奥へ。たまたま足に当たった空き缶が転がる音がやたらとこだまする。

奥に二つ、三つほどドアがあり、一つずつ中を確認していった。ロッカールームや食堂など特にこれと言っておもしろいものは無い。と、ふと前を行く友人が急に立ち止まりしゃがんだ。

近寄ると懐中電灯が落ちていた。まだ点く。不良集団かなにかが忘れていったのか。もしくは他の誰かが来て落とした?なにか嫌なものを感じ周りを見渡した。

手前の部屋の上のほうになにか二つ、まるで目のように光るものがあった。呼吸が止まった。

おそるおそる懐中電灯で照らす。ロッカーの上の招き猫がこちらを見ていた。…………なんだよ、そういうことか。と友人に向き直る。ふと、違和感。Bがいない。

おい、Bは?

「え、あれ、今まで後ろにいたはずだが」

と、足音が聞こえた。上からだ。先に行ってしまったのだろうか。慌てて奥の非常用扉から外階段へ行き二階へ。

この建物は外階段しか上へ行く手段がない変な建物だった。

二階へ行くがBはいない。どこだ。二人で探し始めた。この手の廃屋の怪談を聞くと友人が壊れてしまったり精神に異常をきたす、というのはよく聞くがまさかそれか。と思いながら部屋の扉をくぐった瞬間、ドアの左側からなにかが飛び出してきた。

思わず叫んで飛び出してきたものを蹴り飛ばしてしまった。飛び出してきたものは飛ばされ床にうずくまった。懐中電灯を向けるとBだった。

「慌てすぎじゃね?」

ケタケタと笑っている。

もう一、二発蹴るか迷った。

俺の叫び声でAが寄ってきた。事情を話すとBを蹴り飛ばした。しかしBは一人で二階へ行き怖くなかったのか。すると

「いや、気が付いたらここにいた。お前らの声が聞こえたから隠れてた」

気が付いたら?やばくないか、それ。

と。隣の部屋から声が聞こえた。

「助けて、助けて!」

三人で飛び上がってしまった。

そのまま階段へと走った。

なんだよ今の。

「戻ったほうが良いんじゃないか」

おま、死にたいのか

「いや、でももし人がいたら」

こんな夜中に人がいるか?

…………と、ふとさっきの懐中電灯を思い出した。いるかもしれない。

三人で行ってみることにした。

まだ声が聞こえる

「いないの?ねぇ」

女の子の声。これは、本物?

声を頼りに部屋の前。扉は開いている。押し入れから声は聞こえる。

こっちからも話しかけることにした。

「大丈夫ですかー」

「生きてますかー」

死んでます、と返ってくるとでも思ってるのか。

次の瞬間押し入れが開き女の子が飛び出してきた。

逃げ腰だったBはその場に崩れた。

そして一番前にいたAに抱きついた。

どうやら生きている女の子のようだ。

事情を聞くことにした。

「さっき友人と肝試しに来て、上からすごい音がして他の友人がすごい勢いで逃げちゃったの」

…………すごい音?とりあえず出ようか、ここ。

女の子を連れて車へと戻った。

「私も逃げようとしたけど転んで足切っちゃって。音が止まなかったから押し入れに逃げた込んだの。朝になるまで待ってるつもりだった。そしたらあなた達の声が聞こえて。声を出してたけど気付かなかった?そしたら叫び声が聞こえたからびっくりして。笑い声が聞こえてきたからまた呼んだの。」

と車へ戻る途中で聞いた。

ずっとAに引っ付きながら話していた。よほど怖かったのだろう。Aは幸せそうな顔をしている。

その子を送り届けることにした。

道案内をその子に頼み、車を出した。

どうやらAと同じ町らしくそのへんまで来た。色々話していくうちにその子のことを聞いた。その子は17歳。部活の先輩達とここまで来ていたらしい。携帯の充電がなくなっていて先輩達に助けを求めることも出来なかった。

「次の角を右に行ってください」

Aはアパートで一人暮らしをしているがどうやら近いようだ。

「お隣さんだったりして(笑)」

「もしかするかもしれませんね(笑)」

そんな会話をしながら進む。

「あ、この先を右で」

………ほんとにお隣さんかもしれないな。その道をまっすぐ行くとA宅に着く。

「ここです」

と言われ停まる。

A宅のアパートに着いた。

え?

バックミラーで女の子を見る。固まった。いなくなっていた。ドアの開く音も無かったのに。また叫んでしまった。慌てて三人車から飛び出した。

「いたよな!」

「あぁ、いた!」

なんでいないんだよ

「おい冗談じゃないぜ」

おい、A、お前隣にいただろ。

「アパート着いて唖然としてて、隣見たらいなかったんだよ」

「なんなんだよこれ」

しばらく三人で混乱して会話にならない会話をしていた。

…………帰るか

「お前の家に泊まっていいか」

「俺も」

好きにしてくれ

車に戻り家に帰ることにした。



一週間後くらいか。ほとんど忘れて普通に過ごしてたらBから着信。

どったの?

「Aが死んだ。自室で。首吊って」

おいおい、冗談きつ

「冗談じゃねぇよ。今遊びに来たら部屋の鍵開いてて」

……まじかよ

「今警察呼んで、ふと机の上見たんだよ。紙があって。そこに。一番上に[客人]て書いてあって、その下にAの名前。俺の名前。お前の名前が書いてある。

で、Aの名前に線が引いてある」

笑えない。ほんとに笑えない。どうしようか。

「俺は今から神社に行く。お前も行くか」

あぁ。分かった

神社に行っておみくじのとこ行くと若いのが変な目でこっち見てる。そしてなにも言わずに奥へ。

おい?

神主みたいな人を連れてきた。

「来るのは分かってたけど、えらいもん連れてきたな。こっちこい」

と奥へと連れていかれた。

奥でのことは口止めされてるから言えない。


そして今日の昼頃。Bから着信。

「お前あの廃墟覚えてるか」

あぁ。そこがどうした。

「今そこにいる」

はぁ!?お前!なんで!

「分からない。だけどふと目が覚めたらいた。寝る前の記憶がない。飲んだわけではない」

とにかくそこ出ろ

「もう出てる。目が覚めたのは女の子がいた、て覚えてるか?あのときのこと」

あぁ、覚えてるさ。

「女の子がいたあの押し入れだ。なぜかそこで寝てた。目が覚めた時に直感した。俺は今あの廃墟で寝てるって。慌てて出たよ」

迎えに行こうか

「あぁ。頼んで良いか?」

分かった。すぐ行く

「出来ればはや…プツッ

電話が切れた。

ジャージのまま車に飛び乗り慌てて行った。俺の家から20分くらいでつく。焦る気持ちのまま廃墟前へ。Bがいない。あいつ外に出た、て言ってたよな。だがいない。

なぜかその瞬間、A宅が頭に浮かんだ。そしてすぐ消えた。

え?え?なんでA宅が?

嫌な予感しかしない。

だが行ってみることにした。

そして数分後。元A宅へ。人が死んだが9ヶ月経つから人が住んでいるだろう。そう思っていたがカーテンはついてない。住人がまだいないのだろうか。インターホンを押す。数分おきに押すが反応は無い。体の震えと恐怖心でじっと立っているだけでも気づくと数分経っていた。ドアノブを回す。開いている。………。

意を決して開けた。懐かしい、もしかして、と色んな感情が浮かんでは消えた。一歩ずつ進んでいつもAが暮らしている部屋へ。足が震えと重さで動かしにくくて仕方なかった。

ドアがある。

これを開ければその部屋。

………………開けた。

なにも無かった。

AもBもいなかった。

呆然としつつ、安堵感も感じつつBに電話してみた。

その部屋の押し入れから着信音が聞こえた。

開けた。Bがいた。

寝息を立てていた。

蹴り飛ばしてやった。

「ここは?」

A宅だよ。

「なんで?」

知らねーよ、お前が寝てたんだろ。

「集められた?」

は?

「俺達集められたんじゃない?」

どういうことだ。

ふと嫌なものを感じた。生暖かい風が吹いたような。柔らかいなにかに全身を包まれたような。

振り向く。Aがいた。そして、その後ろに女の子が。

Aが笑っている。片手に包丁を持って。

そして彼は。

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― 新着の感想 ―
[一言] えらく唐突に終わったなぁ。 でも、ホラーって大体こういう終わり方をしますよね。 ありがちな話だなぁ、と思いつつもついつい引き込まれて最後まで読んでしまいました。 ホラーな雰囲気が伝わって来て…
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