第六章:きえるもの ―長月・中旬― 其の弐
* * *
思わず耳を塞ぎたくなるような甲高い笛の音は、そこまで広くない体育館だからこそ、余計に耳に響いた。
「お願いしまーす!」
これまた高い声を揃えて、女子たちは互いに礼を交わす。
コートの中にいる彼女たちが一斉に散らばって、それぞれのポジションに付いた。そして、それぞれのチームの代表に選ばれた、背の高い二人が向かい合う。
審判がボールをまっすぐに高らかに投げると、その二人は高さを競い合うようにして、高く跳んだ――。
そんな、なんてことは無いバスケットボールの試合のワンシーンを、小夜子は羨望の眼差しで見つめていた。皆と違って、まだ着た回数の少ない体育着は、他の女子のそれより少しだけ目立つ。
しっとりとした汗が徐々に浮かび上がる、体育館の蒸し暑さ。
「萩尾ー。このプリント、十人ずつに分けんの手伝ってくれー」
どこかのブランド物であろうジャージを着た体育教師が、張りのある声で小夜子を呼ぶ。
「はい」
机に乗せられたプリントは、体育の授業の後に自己評価を記すものだ。シュート数やパスの回数など、正確に記入しなければいけないらしい。
皆にとっては書かなければならないし、提出しなければならないもの。
しかし小夜子には、書く必要が無いもの。そもそも渡されることすらないものだ。
そのちょっとした違いが、少しだけ悲しかった。
「……萩尾はさ、どういう運動だったらできるんだ?」
体育教師の北村が、少し尋ねづらそうに小声で問う。しかし小夜子は哀れんだような目で見られるのには慣れていた。
「そうですねー。走るのは肺に負担がかかって、息切れしやすくなるので。歩くのだったら、無理しない程度にならできます」
なるべく笑顔で答える。これは、小学校の高学年ごろに身につけた技術だった。北村も、少し安堵した表情で笑った。
「そうか。この学校、競歩大会があるから……その時には、がんばろうな?」
「はい」
――……わざわざ励ましてくれるんだもんなぁ。
プリントの整理が終われば、あとすることと言えば得点板の係くらいだ。機敏に走り回り、シュートを決める彼女たちを見つめる。彼女たちの表情は生き生きとしていて、輝いていて、とても眩しく感じられた。
――……はは。でも、やっぱり私にはできないかなー……。
力なく小夜子は笑った。
たぶん、ボールを持ってもドリブルすらできないだろうし、いつものドジで、人に体当たりしてしまうかもしれない。自分の場合、オウンゴールをしてしまう可能性だって大いにあり得ると彼女は思う。
――チームプレイで、さすがにそれはないよねえ……。
前半、後半の入れ替わりを知らせる笛の音。
審判の傍らにいる得点板の係には避けられぬ運命なのかもしれないが、甲高い音はしばらく耳鳴りのような形で続いた。今更、無意味かもしれないが両耳をぐっと塞ぐ。
「うー……」
「小夜子ー? どうした、大丈夫?」
ふと左隣を見ると、静音が水色のタオルで額の汗を拭っていた。少しだけ焼けた肌に流れる汗は、とても爽やかに見える。彼女のあっさりとした淡白な性格も、それを手伝っているのだろうか。
「静音ちゃん、お疲れ様。あれ? 今、うちのクラス……勝ってる?」
「ちょっとちょっと、得点やっててなんでわっかんないかなー? 私、大活躍だったのにー。ま、いいけど」
「あはは、ごめん」
正直、得点板の係になってからはボールしか見ていなかったかもしれない。
「今、ちょうど十点差で負けてる。あっちのクラス、現役のバスケ部員が結構いるからさー。ボール奪おうにも奪えないんだよね!」
言い方からして、あまり悔しそうではなさそうだ。
「そっかー……。勝つの、難しいかなやっぱり」
小夜子のクラスは、文化部に所属している生徒が他のクラスに比べ多いらしく、春に行われた体育祭では、最下位という極めて不名誉な称号を手にしたらしい。「あれはけっこー悔しかった」と、クラスの皆が口を揃えて言う。
だから、このバスケットボールの試合も惨敗してしまうのではないかと内心、小夜子は思っていた。
しかし静音は、「大丈夫じゃん?」と呑気にも言い放つ。
「だって、楠木がいるし」
「え、楠木さんはバスケ得意なの?」
もしそうだとしたら意外だ。彼女はどこか、儚げで静かなイメージがあるからだ。「まあ見てりゃわかるって」と、静音は余裕綽々だ。
二人は両耳を塞ぐ。小さな小さな笛の音と、
「お願いしまーす!」
元気な声が、近距離ながらも遠くで響いた。
件の芽衣は、コートの真ん中に並ぶ列の一番端で軽く頭を下げていた。姿勢も良く、毅然とした面持ち。飛びぬけてすらりとしていて、そこに立っているだけなのに絵になっている。
「やっぱり綺麗だよね、楠木さんって……」
彼女の容姿はやはり目を引く。同意を求めると、うんうん、と静音も頷いた。
「入学の時から目立ってたからなー、楠木は」
「そうだろうねー」
試合開始のホイッスルが鳴る。再び二人は耳を塞いだ。
試合がいざ始まると、普段はあまり芽衣と話さない女子たちも、躊躇いがちではあれど、この時ばかりは彼女にパスを回す。パスを回された後の、芽衣の動きの俊敏なこと。
相手のチームが二人がかりで芽衣に向かっていくも、いつの間にか彼女は風のようにすり抜けて、ゴールに向かって一直線。相手のチームのリーダーらしき女子が手を伸ばした時には、芽衣のジャンプシュートが綺麗に決まっていた。相手のチームのメンバーからも、歓声の混じったどよめきが走る。
それでも芽衣は一切表情を変えることなく、いつもの無表情を貫いていた。
忍者のような俊足に、小夜子は呆気に取られる。
まるで、風そのものだ。
「……楠木さん、かっこいーね……。静音ちゃん、えっと、今の抜き方は何て言うの?」
「クロスオーバーだねえ。しかも二人続けて……。やっぱ上手いわなぁ、楠木」
感心したように、静音は笑う。
それからも、芽衣は立て続けにゴールを決めていった。
時にはフェイントをかけ、奪われたボールを奪い返しては確実にチームの点数に繋げていく。後半の試合が始まってからまだ一分しか経っていないというのに、あっという間に点差は四点まで縮まった。
「あー、と……さっきのがレッグスルー。で、今のがバックレイアップシュートだったかな。おっ、また入った。わかってきたかね、小夜子くん? なんか、いちいち訊かれんのもめんどいんで、勝手に教えちゃったけど」
静音は親切だ。小夜子は心底そう思う。
「うん、ありがとう静音ちゃん! なんか、バスケのことよく知らなかったけど、シュートの名前とか知っていくと楽しいね……っ」
「ははっ! いいってことよ」
――私も……肺が悪くなくて間抜けでなければ、バスケできたのかもしれないよなあ……。楠木さんみたいに。
「……って、あれ? 今ので、点差が二点になったんじゃ?」
「おっ、そーじゃん! 行けー、楠木―!」
静音の声に反応したのか、芽衣がこちらに視線を送る。が、すぐにそれは相手のチームの持つボールへと向けられた。
「はー……、クールだねえ」
やれやれと言った調子の静音に、小夜子はくすりと笑った。全くタイプの違う二人が喋ったら、どんな会話になるんだろう、と思うと少し面白い。
その時だった。
ダンッという心臓に悪い音が、体育館中に木霊した。一気に静まり返る体育館。もう、ドリブルの音さえも聞こえない。
静音も心底驚いた様子で、何が起こったのかときょろきょろし出す。コートにいる皆の視線に合わせて自分のそれを送ると、そこには――。
芽衣が、うつ伏せに倒れていた。近くには、動きの止まったボール。
「楠木!?」
北村が駆け寄るので、皆もそれに続いて芽衣を取り囲むようにして集まった。小夜子たちは完全にその波に乗り遅れ、時折背伸びをしながら彼女を見守る。
すぐに芽衣は体を起こした。どうやら、意識はあるようである。
「おい、どうした、楠木? 誰か、楠木の近くにいた奴はいないのか?」
北村が周りを見るも、誰も名乗り出る者はいない。その状況に訝しげに眉をひそめながら、彼は芽衣に向き直った。
「楠木、大丈夫か? 何があった?」
「…………」
芽衣は黙って立ち上がる。そんな彼女に周りが怯んだ拍子に、小夜子は彼女の様子を見ることができた。
倒れた際に摩擦で擦りむけたのか、右の膝からは鮮血が迸っている。それを見て青ざめた女子は少なくない。
立っている様の重心の置き方からして、足首も捻挫しているように見える。
「せ、先生!」
皆が振り返った先には、声の主である小夜子が手を高らかに上げていた。注目されることに慣れていないので、とりあえず北村を視界の中心とする。
「私、楠木さんを保健室に連れて行きます……!」
「ああ、そうだな……。頼んだぞ、萩尾」
「はい。……楠木さん、行こ……」
伸ばした手は、いとも簡単に振り払われてしまった。もちろん、芽衣にだ。
「……私に構わないでいいから」
立ち上がり歩き出すのと同時に、周りには聞こえないくらいの声の細さで芽衣は言い放つ。かと思えば自らの足を引きずるようにして、すれ違いざまにチームメイトの一人一人に、「抜けるから、ごめん」と謝っていった。やがてとぼとぼと歩を進める彼女。周囲もそんな彼女の様子に呆気に取られている。小夜子もまた、その内の一人だ。
「……小夜子? 行かんの?」
静音の声に、はっと意識を呼び戻される。予想外の芽衣の台詞に、小夜子は意識を奪われてしまった感覚がしていた。しかし、今は自分の茫然自失状態を気にしている場合ではない。
「く、楠木さん、待って!」
もう体育館の出入り口に差し掛かろうとしている彼女。怪我をしているのに足が速いとは。波打つポニーテールが体育館から消えたのを見るや、小夜子は後を追いかける。
しばらく一連の流れを見守る一同であったが、北村の「試合再開」の一声に、徐々にではあれど喧騒な体育館へと戻っていった。
「小夜子は優しいなあ。今時珍しいよなあ、あんな子」
静音が感心したように独りごちていると、隣のクラスの女子がそれを聞きつけた。
「あんな子、隣のクラスにいたっけ?」
「あー、あの子じゃん? 転校生って」
「へぇ……あんまりよく見えなかったなー」
「やたら髪の毛明るかったね。地毛かなぁ」
そんな好奇の声に耳を傾けながらも、コートの中に一人、自らの手のひらを黙って見つめる者がいた。
そこには未だに残る、芽衣の背中の感覚――。
その手で、何かを振り切るように彼女はシュートを決めた。
試合終了のホイッスルが鳴り響く。
結局、小夜子のクラスは今日も負けてしまった。
* * *
「掠り傷だから、気にすることないわよ? 血が出たのも、浅いものだから痕にもなりにくいしね。だから、大丈夫よ……萩尾さん」
なぜ、怪我をしている芽衣にではなく自分に言っているのだろう、と思った小夜子ではあったが、目に見えてパニック状態に陥りそうなのが自分のほうなのだろう、と納得した。
現に芽衣は、何食わぬ顔で患部を見ている。極めて冷静だ。冷静を極めるために生まれてきたような感覚さえする。
それに引き替え、小夜子は冷や汗をだらだら垂らしながら、保健医の処置を見守っていた。
「はい、終わり」
ふくよかな保健医が切りの良い調子で声を出すので、小夜子は全身から息を抜いた。ああ、やっと終わったという安心感から、ほっと胸を撫で下ろす。
「捻挫も軽いものだけど今は氷で冷やしておいて、出しておくから後で湿布貼っときなさいね。先生ね、今からちょっと出かけなきゃいけないのよ。鍵を置いておくから、職員室に置いておいてもらうと助かるわあ」
――ああ、出かける前だから、こんなに慌ただしく喋るのか。
……お母さんも、そうだったなあ。いつもはおっとりしてるのに、出かけるときだけ忙しく動いて。
世のお母さんって、みんな、そうなのかな?
「わかりましたー」
「楠木さんはいいけど、あなたは次の授業、ちゃんと出るのよ!? 先生、後で怒られるの嫌だからねッ!」
小夜子にそう言うだけ言って、彼女は保健室から出て行った。
それにしても体育館でもそうだったが、この学校は賑やかな場所というか人が多いな……と、小夜子はしみじみと思った。目の前には、決してそれに属さない芽衣がいるわけだが。
ソファに腰かける彼女は、既にほとんど乾いて冷え切った汗をタオルで拭っていた。無論、何も喋らず。
二人の間で、流れる沈黙。
「……えっと……よかったね、痕、残らないって」
「うん」
淡白な短い返答に、再び流れる沈黙。
一度目なら仕方ない、だが二回目ともなると、沈黙の気まずさはヒートアップする。小夜子は慌てて、話題を振る。
「……あ。あの、そういえばどうしてさっき、倒れたの……?」
芽衣が、こちらを一瞬だけ見る。が、すぐにそれは先ほどと同じように逸らされてしまった。
「……転んだ。ただ、それだけだよ」
「……そっか」
芽衣はそう言うけれど、小夜子は違う気がしていた。
あんな俊足と素晴らしい運動神経の持ち主が、試合再開とほぼ同時に転んだりなんかするものか。
そして、何故か芽衣はあの瞬間について誰にも何も語らない。
歯痒い気持ちがする。そういう曖昧なのは、良くない気がする。
――……私も、見ていたわけではないけれど。誰かに、突き飛ばされたんじゃないの……?
「……あの……余計なお世話かもしれないけど、やっぱり先生とかに相談したほうが……。……な、何の役にも立たないけど、私でも全然」
「私に構わないでいいから」
先も聞いた台詞ながら、有無を言わせない言い方だった。芽衣は捻挫したほうの足を引きずって、ベッドのほうへ移動する。ポニーテールを作り上げていた髪ゴムを解いてから、カーテンでその身を隠してしまった。そして、
「私に関わらないで」
静かな、だが冷たい声ではっきりと言われてしまった。
小夜子は足元が、ぐらつくような感覚がした。
「……そ、か……。ごめんね……」
相手には見えていないだろうに笑顔を作って、小夜子は保健室を後にした。
* * *
「……よい、しょ」
ポスターの右上端を画鋲で留め、小夜子は椅子からすっと降りた。学校の掲示板を利用するのは、我ながらナイスアイディアだと思う。人目に多く触れる場所だし何より、先生の許可さえ貰えればいいわけだから。
「小夜子ー? 何してんの?」
振り返ると、焼きそばパンとミネラルウォーター――購買で買ってきたらしい――を手に、静音が立っていた。体育着に身を包んだままの小夜子に、着替えなくていいの? と微笑みながら問うてくる。
そんな彼女の視線は、猫の写真が載ったポスターに向けられた。
「なになに? 『飼い主捜してます』……?」
興味津々そうにポスターを覗く静音。
「うん、あのね、知り合いの猫……? が赤ちゃん産んだんだけど、四匹もいるから、誰か引き取り手いないかなあって」
四匹の猫の写真を撮ったのは小夜子だ。雑種で元が野良猫とはいえ、千人近くいる在校生の中に、飼いたいと申し出てくれる人がいるかもしれない。
奏一郎に引き取り手を捜すよう頼まれてから、それこそ寝る間も惜しんでポスター作りに励んでいた。
静音は目を丸くして「完成度高いなー」と褒めてくれた。美術の成績はいまいちでも、こういうものを作るのは昔から得意な小夜子である。
「ん? 連絡先……これ、小夜子のケータイの番号?」
「え? うん」
「なんで家の電話じゃないの? あ、下宿先だから、迷惑かけられないとか?」
尤もな意見だ。通常、携帯番号をこの類のポスターに載せる者は、極めて少数派なはずだ。
しかし、小夜子の場合は違う。それしか連絡手段が無いのだ。
「うん……下宿先、電話が無いから」
「……うっそ。まじか」
静音が目を丸くする。しかしどんなに驚こうが、残念ながらこれは事実である。すると納得したように、「あー、だから連絡網に小夜子のケータイの番号が載ってたのか。謎が解けたわ~」とのんびりと言う。
心屋には本当に、奏一郎が"必要最低限"と判断したものしか置かれていない。テレビも電話も無ければ、炊飯器も無い。
小夜子が来るまでは、電球すらも無かったほどだ。
それにしてもよくよく考えてみると、彼の今までの生活はあまりに謎に包まれすぎているなあと小夜子は思う。
「……つーか、小夜子」
突然、怪訝な顔をする静音。
「あのさ、画鋲が廊下にボロッボロ落ちてて、この辺り超危険なんだけど……どうやったらこんな風に落とせるの?」
「え?」
知らず知らずのうちに、平和な昼下がりの廊下は、素足の人間が歩いたらとても痛い思いをするであろう惨状と化していた。
百はあろう画鋲が辺り一面にぶちまけられ、その鋭利な先端のすべては、まっすぐに天井を向いている。小夜子以外には成し得ない業であろう。
静音がしゃがんで、廊下の危険物をともに排除してくれる。
「小夜子ってさー、時々、ほんっとうにドジな時あるよねーっ」
「す、すいません。誠に申し訳ありません……。……あ」
不意に、前に奏一郎に言われた言葉を思い出して――小夜子は慌てて言い直す。
「えっと、そうじゃなかった。ありがとう、静音ちゃんっ」
「ははっ。いいってことよ」
ただ笑って、許してくれる。
――……この学校に来て……静音ちゃんと友達になって本当によかったなあ……。
つくづく思う。
心臓の奥が少しだけくすぐったくなった。
と言うのも、小夜子は幼い頃からドジを踏むたび、友達と気まずくなってしまうことが多かったのだ。
静音は持ち前のあっさりとした気質で、そんな小夜子と無事に打ち解けることができたのだが……。
いつか本気で呆れられるのではないかと、小夜子は不安だった。
「あ、そういえば。楠木の怪我はどうだった?」
何気なく出された名前に、画鋲を拾う手が止まる。
……なんとか忘れようと思っていたこと。
先ほどの、芽衣の台詞が強制的に思い出される。
どんな相手であれ、傷つく言葉というのはあるものだ。
――……でも……傷つく資格なんか、無い。
触れられたくないことにまで干渉しちゃった、私が悪いんだから……。
「……うん。なんか、まだ保健室で休んでると思うけど、大丈夫そうだったよ」
「……ふーん?」
静音は頭をがしがしと掻く。
が、すぐに手を止め、頭の中に浮かんだものを、善は急げとばかりに小夜子に提案するのだった。
「あ、ねえ、小夜子」
ん? と小夜子は首を傾げる。
「私、小夜子の下宿先に行きたい」
「あー……うん。…………え……?」
歯を見せて静音は笑った。残暑の日差しに、それはよく似合った。
《第六章:きえるもの 終》
次回はは第七章:けせるもの です
季節はまだ夏、九月の中旬のこと。
六章と七章は話が繋がっています。