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第四話 驚異の魔王 その5

 「ダメだな…コイツは術者以外、中からしか開けられん」


なないろの部屋のドアに広がるレース模様のような光の魔法文様に

ホワイト・ストークは触れた腕を引っ込める。


「フリー・フリーズの術か…おのれ!結界の中にさらなる異空間を作るとは!

 重ね重ね用心深いやつだ!」


「時間をかければ破壊する事は可能かもしれんが、空間に何らかの影響を及ぼす可能性が高いな」


今や『ドクター・ダーク・ドーン』に寄生され、意識を乗っ取られてしまっている『ジーナ・マカラ』と

その支配下にある魔法使い『ホワイト・ストーク』こと塩谷和徳(しおたにわとく)

虹乃なないろの部屋への侵入を試みていたが、

そこは魔法少女フリー・フリーズの力によって空間自体に鍵を掛けられている為、

手出しできずにいた。


「解呪は不可能、破壊することもかなわず…

 んで?どうするんだ?アンジェラがフリー・フリーズを倒せば術も解けるだろう、

 戻って加勢するか?」


「本気で言ってるわけじゃあないだろうが、あえて言うぞ…馬鹿かお前は!」


ドクター・ダーク・ドーンはホワイト・ストークを押しのけドアをさする。


「まあ、みておれ、外から開かないのであれば、中から開いて貰うだけだ」


そうして、なないろの部屋のドアに両手のひらを当てると意識を集中させ始めた…



 一方、フリー・フリーズこと恋華憩(こいはないこい)の魔力により

外界より切り離され、独立した空間となった虹乃なないろの部屋の中では

虹乃なないろとその親友、日笠薫が部屋の外から聞こえる微かな声に耳を傾けていた。


「い…今、なにか声が聞こえたよね?」


「え?マジで?!私には何も聞こえなかったけど…」


「うん、私の名前を呼んでいたような・・・」


なないろはそう言うとドアに近寄り聞き耳を立てる。

音はだんだん大きくなり、日笠薫の耳にも聞こえ始める。

何かを叩くような微かな音と、何かを呟くような密やかな声…

それは徐々に大きくなり、微かな音はドアを叩く音へと、

呟き声はハッキリと、なないろの名を呼ぶ男の声へと変化する。


「なな!なな!そこにいるか?!」


「パパ?!」


部屋の外から聞こえてきたのは、なないろの父親『虹乃晃(にじのあきら)』の声。

だがそれは勿論、本人のものではない。

なないろを欺くためのドクター・ダーク・ドーンによる偽りの声なのだ。


ドアを挟んで対峙するジーナの胸元にあるドクター・ダーク・ドーンの顔がニヤリと笑い、

なないろに問い掛ける。

発する声はなないろの父親の声の響き…


「よかった!そこにいるんだな?なな!

 何故かドアがあかないんだが、

 中からなら開けられるかもしれない!試しにドアを開けてみてくれないか!」


「うん!」


なないろがドアのノブに手をかけると薫がドアにバシっと手をつき開けさせまいとする。


「ちょっと待って!なな!」


「薫ちゃん?」


「なんか、あやしい!あやしすぎる!

 怪談とかでよくあるじゃん!幽霊が声色を使って部屋からおびき出そうとする、あれ!

耳なし芳一!」


「耳なし芳一は、ちょっと違う」


「そ、そうだっけ?とにかくココは私に任せて!」


薫は、なないろの肩を抱きドアの外の、声の主に質問する。


「ななのパパさん?なんでここにいるの?」


日笠薫の問いかけに苛立つ気持ちを抑えて答えるドクター・ダーク・ドーン。


「薫ちゃん?君もそこにいるのかい?

(チッ!日笠薫か!クソめんどくさい小娘め!)

 なんでって、此処は僕の家じゃないか!仕事が予定より早く終わったんで帰ってきたんだよ!」


薫はなないろに耳打ちする。


「パパさんって自分のこと『僕』って言ってたっけ?」


「うん…『僕』って言うよ」


「そうだっけか…」


訝しがる二人に、さらに語りかける虹乃晃の声…


「一体どうしたんだい?家は変なことになってるし、状況がよくわからないんだけど、

 僕が『虹乃晃(にじのあきら)』じゃないと疑っているのかい?

 (とにかくコイツらの警戒を解かねばならんか…)

 よし!なら、こうしよう、僕じゃなきゃ答えられないような事をなんでも質問しなさい。

 全て答えるから!そうしたら信用してくれるだろう?ね?」


日笠薫は声の主の提案に、矢継ぎ早に質問し始める。


「よ、よし…そんなら、ななの誕生日は?」


「七月七日!七夕の日!」


「あってる」


「ななの好きなスイーツは?」


「エクレア!」


「正解!」


「ななのお気に入りのパンツの色は?」


「ちょ?!」


「しろ!」


「そのとーり!」


「ちょっと?!」


「ななのスリーサイズは?」


「ちょちょちょ、ちょっと薫ちゃん?!そういう質問は色々と困る!」


慌てて止めに入るなないろ。


「え!、あ、ああっと、そ、そうだね、答えられたとしても

 父親が娘のスリーサイズ正確に覚えていたら逆にちょっと引くしね…」


「下着の質問の時点で気づいて!?」


「お、おう…そんなら、今度はななが何か質問してみて!パパさんじゃなきゃ知らないようなこと!」


なないろのツッコミにたじたじになりながらも、

日笠薫がさらなる提案をし、今度はなないろが質問をし始めた。


「え?!じゃ、じゃあ……パパの職業は?」


「出版社で編集の仕事をしている」


「あってる…」


「なら、私の宝物知ってる?」


「当たり前じゃないか!(ククク…)

 天国にいるママ『虹乃光(にじのひかる)』が残してくれた料理のレシピノートだろ!

 (それぐらいのことは調べている!)

 大人になる前に全部マスターするんだって、なな何時(いつ)も言ってたよね!

 (私の調査は完璧だッ!マヌケがーッ!)」


今の答えは決定的だろうと確信したドクター・ダーク・ドーンがニヤリとほくそ笑む。


「合ってるね…」


「うん、合ってる!」


「もう、これで分かったろう?さあ、ドアをあけておくれ」


今だ懐疑心は残しつつも

なないろは恐る恐るドアのノブに手をかけた。


(そぉ~だぁ~それでい~いのだぁ~)


上手く事が運んだ事に、不気味な満面の笑みを浮かべるドクター・ダーク・ドーン。


「いや!まって!ちょっと待って!」


だが日笠薫は声を荒げるとドアを開けようとするなないろを引きとどめた。


(またしても!日笠薫~ゥァ!余計なことをゥォゥ!)


一転、悔しさいっぱいに歯噛みするドクター・ダーク・ドーン。


困惑するなないろを前に薫は懸命に思案する。


 外にいるのが本物のパパさんじゃないのに、あえて『なんでも聞け』と言ったのだとしたら

 こっちの質問には全て答えられる自信があるっていうことなんじゃない?

 なら、ななに関する事は全て調査済み?なのかもしれない。

 だとしたら、もっと意外な質問をぶつければボロを出すかもしれない…

 もっとこう、ディープな質問は…


「そうだ!」


薫はこの前のなないろとの会話を思い出す。


 『薫ちゃんたら、おじさんっぽい~。うちのお父さんもよく言うんだ、レッツらゴー!って』

 『え~マジで?ななのお父さんってカッコいいのに結構オヤジっぽい?』


これだ!そう閃めくと薫は部屋の外に向けてさらなる質問をぶつける。


「ねぇ!パパさん!パパさんの口癖って何?!言ってみて!」


「く、口癖?!(なんだそりゃ?!)」


「そう!」


「…………(ンな事まで分るわきゃねぇだろっがァー!)」


「答えて!」


「…………(クッソ!適当にごまかすか?)」


「さあ!」


「…………(日笠薫~ゥァ!後でお仕置きしてやるァ!)」


ドクター・ダーク・ドーンはだんだんといらだちを抑えきれなくなる。


「答えられない!という事はやはり、ななのパパさんじゃぁない!」


「何馬鹿なこと言ってるんだ!いいから早く開けなさい!

 開けろ!開けろ!!開~け~~ろ~~~!!」


ドクター・ダーク・ドーンはついにブチ切れると

鬼のような表情で、ガン!ガン!とドアを乱暴に叩き始める。

この行為にはなないろも怯え、ドアからジリジリと後ずさった。


(しまった!余計警戒させてしまったか…くっそ、ならば作戦変更だ!)

 

薫が、戸惑うなないろを抱き寄せると、

ドアを叩く音と怒声がピッタっとやみ、あたりが静けさを取り戻す。


しばらくすると、ドアの外の様子が急に変わり、なにか争う怒声が響く。


「な、なんだチミは?!ウ、ウァ~~!!やめろぉ~~!!」


突然叫びだす虹乃晃の声。

驚き、顔を見合わせるなないろと薫。

どうやら外で何か争いを始めたらしく、バタバタと激しく争う怒声と音の後に、

別の男の声が語りかけてきた。


「フフフ…聞こえるかね?虹乃なないろ、日笠薫…私はドクター・ダーク・ドーンだ

 親しみを込めて『ドク・ダク・ドーン』と呼ぶ事を許そう…」


「「ドクター・ダーク・ドーン?!」」


「早速だが、わたしはなないろ、君のお父上を組み伏せている…

 そこで、どうだろう?なないろ…一つ私と取引しないか?」


「君が素直に出てきてくれたら、私は君の父上を無事に解放しよう、

 だが拒否するのであれば…」


バキン!


「ギャッ!!」


なにか硬いものを無理やり折る音が響くと、

虹乃晃が叫び声を上げ、うめき声を洩らす。


「パパ?!パパ!どうしたの?!パパに何をしたの?!」


「だめ!あけちゃだめ!」


思わずドアに駆け寄るなないろを

薫がぐっと抱きしめ、引き寄せる。


「今、君の父上の指を折らせていただいた」


「な、な、助け…」


「黙れ」


バギン!


「アヒィ~!」


「パパ?!」


再び何かを砕く音がして虹乃晃が叫び声を上げる。


「今度は腕を折った…なないろ、君が出てこないのであれば

 次も何処か折らなければならなくなる…

 そうだな、今度は首がいいかな?」


「やめて!パパに酷いことしないで!!」


「だめ!騙されないで!状況も展開も何もかもが不自然すぎる!

 これは罠よ!偽物よ!!」


「でも!もしホントのパパだったら?!」


なないろも半信半疑に思ってはいた、だが、


 でも、もし本物だったら、

 1%でも本物である可能性があるのなら!


そう思うとなないろは、いてもたってもいられなかった。


「薫ちゃん、ゴメン!!」


薫の腕をすり抜けドアノブに手をかけるなないろ。


「私が外に出たらすぐにドアを塞いで!」


「なな?!」


そしてついにドアを開いてしまう…





 虹乃なないろを巡って戦う

『フリー・フリーズ』こと恋華憩(こいはないこい)

ドクター・ダーク・ドーン配下の魔法使い

『バルチャーズ・ドーター』ことアンジェラ・マキシモフ。


激戦の末、倒れ込んだフリー・フリーズに、

バルチャーズ・ドーターのとどめの一撃が迫る。


その強力な拳が唸りをあげ、勝敗を決しようとしたその時、

突然、バルチャーズ・ドーターの拳が、ピタリと動きを止めた。


「!」


驚き、空を振り仰ぐバルチャーズ・ドーターの目が、高速で接近する複数の物体を捉える。

先頭の物体を片手で受け止めると、それを振るい、後続の物体を次々となぎ払うバルチャーズ・ドーター。


最後の物体を排除し終えたバルチャーズ・ドーターが手にした物体をまじまじと見つめる。


「槍…ジャナクテ、標識?!」


それは根元から引き抜かれた道路標識のポールだった。

手にした一本と叩き落とした四本、

計五本の道路標識を見つめながらバルチャーズ・ドーターは考える。


 このスピード!

 私以外の時間が遅くなる『フェアリー・フロス・フィールド』内で放たれたものなら

 今のスピードが出せるわけがない…

 『フェアリー・フロス・フィールド』の外から投げ込んだとしても物体は徐々に影響を受け

 私のもとに到達するまでにスピードはもっと遅くなるはず…

 だとしたら…!


「マサカ、結界ノ外カラ、空間ヲ跳躍サセ、コレヲ投ゲ込ンダトデモ、言ウノカ?!」


改めて振り仰ぐバルチャーズ・ドーターの背後から

静かに腕が伸び、がっしりと羽交い絞めにする。


「シマッタ!!」


謎の攻撃によりバルチャーズ・ドーターが気を取られた隙を突き、

フリー・フリーズが反撃に転じたのだ。


「捕まえた・・・!」


「コ、コノ!ハナシナサ~イ!!」



バルチャーズ・ドーターは、締め付けるフリー・フリーズの腕に手をかけ

振りほどこうともがくが、腕は更に強さを増し、締め上げる。


「アタタタタ!」


苦痛に叫びを上げながらも、バルチャーズ・ドーターは猛烈な勢いで

背後に向かって肘打ちの連打を繰り出すが、

打撃がヒットするたびに

フリー・フリーズの体にレース状の光る魔法文様が現れ

攻撃のパワーを受け流してしまう。


攻撃が効かないとみるや、体を激しく振り、

右へ左へとむちゃくちゃな動きを繰り返すバルチャーズ・ドーターのその様子からは

余裕の無さが見て取れる。


今はバルチャーズ・ドーターに付き従う従者(フォロワー)のジッペイが駆けつけようにも

グラン・ギニョールの臣民達が立ちふさがり身動きが取れない。

そしてなにより『フェアリー・フロス・フィールド』はジッペイにも作用し

その動きを鈍らせている。


「イ、イイ加減二…」


言いながら高く飛び上がり、仰向けに倒れこむバルチャーズ・ドーター。


「シナサ~イ!!」


加速をつけたバルチャーズ・ドーターの体重をもろに受け

叩きつけられるフリーフリーズ。

大地がドガッ!!と音を立てて砕け散る!


だがフリー・フリーズの体に、再び魔法文様が走りると、衝撃を受け流してしまう。

そして、フリー・フリーズは表情も変えずに更に脚を絡ませ、

バルチャーズ・ドーターの動きを封じつつ、万力のようにじわじわと強く締め付け続ける。


「ウガガガ…」


苦悶の表情のバルチャーズ・ドーター。

締め付けられた肉が捻れ、骨が軋む!


「ワ…ワト…ク…」


ベキベキと自らの肋骨が折れ、内蔵に突き刺さる音を聞きながら

バルチャーズ・ドーターが無意識に呟いたその時、

トドメとばかりにフリー・フリーズの体から魔力の奔流が流れこんだ!

アンジェラの体を覆う光の魔法文字!


ベキャッ!!


と、一際大きな音を立てて、背骨が折れる嫌な響が鳴り渡る。


「グハッ!」


血を吐き、白目を向き、意識を失うバルチャーズ・ドーター。

股関節が外れ、あらぬ方角に曲げられた脚がだらりと垂れ下がり

指先がピクピクと小刻みに痙攣を繰り返す。


バルチャーズ・ドーターが敗北し、意識を失うと同時に、

彼女のエレメンタル・スタイルが光となって消えゆき、アンジェラ・マキシモフの姿に戻る。


すると、周囲を覆っていた『フェアリー・フロス・フィールド』も収束し始め、

従者(フォロワー)フモフモフの姿に戻ったかと思うと、悲しそうな表情を浮かべ、

アンジェラに近づこうとしながら雲散霧消していく。


風に煽られ消えていくフモフモフを見つめながら

クマルマルは姿勢を正し、敬礼でそれを見送るのだった…


上にのしかかるアンジェラの体を押しのけ、フリー・フリーズが這い出して立ち上り、

痙攣を繰り返すアンジェラの姿を見つめながら呟く。


「ごめんなさい…アンジェラ…今はこうするより他なかった…」


ガクッと膝をつくフリー・フリーズ。


「だ…だけど…」


 トドメを刺されそうになった時飛んできたあのポール…

 あの一手が隙を作らねば、私は負けていただろう…

 そして、

 ギリギリのタイミングで復活した私の特殊魔法能力…

 それがなければ私が勝つ事は出来なかった…

 しかし、

 今、私の魔法能力が回復したということは

 ななの部屋に固定した我が魔法『スイート・ルーム』が解除されてしまったということ!

 ななが危ない!

 急がねばならない!


仮の(あるじ)の指示を失った従者(フォロワー)ジッペイは

戦意を喪失し、倒れるアンジェラの傍らに歩きよると、

その傷を癒そうとするかのように、ひたすら舌で舐め続けている…


それを悲しそうに見ながら、フリー・フリーズが、ふと頭上に気配を感じ振り仰ぐと、

上空からリボル・リボーンが現れ、舞い降りてくる。


(いこい)!遅くなってゴメン!」


ゆっくりと舞い降り、着地するリボル・リボーンに駆け寄るフリー・フリーズ。


「キズナ!助かったわ。あなたの加勢がなかったら勝てなかった」


「?加勢?私、今ついたばかりだけど?」


「え?!それじゃあ、アレはユニベルサリスが?」


フリー・フリーズはユニベルサリスの姿を探し

キョロキョロと辺りを見回す。


「ユニベルサリスならミルイ達の相手してる、

 で、私には先に行けと…」


考え込むフリー・フリーズ。


「大丈夫!ユニベルサリスなら負けるはずがない…

 きっとすぐ勝って此処に来てくれるよ!」


「え?…ええ、そうね」


 では、あのポールは、いったい誰が?


何やら腑に落ちない面持ちのフリー・フリーズであったが

すぐに意識を切り替えると、横たわるアンジェラ・マキシモフへと歩み寄る。


「…アンジェラは…」


フリー・フリーズがアンジェラに触れようとすると

従者(フォロワー)ジッペイが牙をむき、唸りを上げて威嚇する。


「勝敗は決した…これ以上、君が戦うのは無意味だ…

 悪いようにはしない、そこをどいて欲しい」


睨みを利かせるジッペイをじっと見つめるフリー・フリーズ。

やがてジッペイは何かを感じ取りアンジェラから少し離れるとその場に座り込んだ。


フリー・フリーズは、虫の息のアンジェラの傍らに腰を下ろし

その胸元に優しく手を置くと、

いつの間にか傍に来ていたリボル・リボーンが、その手に自分の手を重ねる。

すると手の平が淡い光を発し、レース模様のリボンと化し、

一瞬のうちに優しくアンジェラの体を覆い尽くす。


そして、リボンは体に染み込むかのように消え去ると

アンジェラの呼吸は穏やかなものになり、体の痙攣も収まっていく。


「ふう」


大きくため息をつくフリー・フリーズ。


「もう大丈夫、今はこれしか出来ないけれど…」


フリー・フリーズは立ち上がるとリボル・リボーンに向かって言った。


「行こう、キズナ」


「で、でもこのままにしておくの?」


今は敵対しているとはいえ、

それはアンジェラがドクター・ダーク・ドーンに支配されてしまっての事。

本来であれば『魔女会』の仲間である彼女をこのままほうっておくのは忍びない…


そう感じたリボル・リボーンの一言にフリー・フリーズが答える。


「気持ちはわかるけど、今は一刻を争う時……

 でも、ななを保護した後、必ず戻ってくるわ…

 それまでの間は、この子が守ってくれるから」


フリー・フリーズの言葉に答えるかのようにアンジェラの傍に寄り添うジッペイ。


更に数体の臣民に残るように命じた後フリー・フリーズが叫ぶ。


「さあ、行くわよ!キズナ!薫が、ななが危ない!」







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