第二話 魔法使いの世界 その5
ちょっとワルノリして脱線してしまった箇所を大幅カット、修正していたら
投稿遅れてしまいました。
それでは
魔法少女王!ソルキュート!第二話 魔法使いの世界 その5
お楽しみいただけたら幸です。
保健室に運ばれながら、
なないろは疲労から、すぐに深い眠りへと落ちると
不思議な夢を見た。
どこまでも広く青い空を、その身一つで舞い上がるなないろ。
いや、体に感じるその感覚は舞い上がる、というよりも
空に向かって落ちていく、といったほうが近いかもしれない。
為すすべもなく、遥か上空へ向かい落ちていったなないろは、
白い雲を突き抜けた後、
こんどは前方に向かって水平飛行へと移る。
風を切る感覚が体を包み、振動が全身を揺らす。
雲が流れ、空が晴れ渡ると、
眼下には雄大な崖が連なる岩場が広がるのが見える。
幾重にも流れる川は崖を流れ落ち、荘厳な滝を形成していた。
なないろの視線は、
ふと、岩場の、ある一点に惹きつけられる。
何故なのかは解らない。
が、その一点を注視していると岩場に生じた亀裂がグワっと開き
恐ろしく巨大な瞳がなないろを覗き返してきた。
驚いたなないろが、腕を目の前にかざし視線を遮り
顔を横に背けると、自分から少し離れた距離に人影があることに気づく。
さらに周囲に目を向けると、
その他にも幾つかの人影があった。
ひとつ、ふたつ、みっつ、よっつ、いつつ、むっつ・・・
なないろを含め
この場には七つの人影がある・・・
それらのシルエットは様々な形をしているが人であることは確かなようだ。
だがその顔、その表情までは確認することはできない。
その時、轟音を上げながら、
岩場の目を中心とした大地が崩れ始め、何かが姿を現そうとする。
その何者かが発する光が視界を遮り、
その光は、やがてなないろをも包み込むと・・・
保健室のベッドで、なないろがで目を覚ますと
ベッドの横には親友の日笠薫と
魔法使いの少年、ユニベルサリスが
備え付けの椅子に腰掛けてなないろを見守っている。
「あ、起こしてしまいましたか?」
ユニベルサリスは柔らかな表情でなないろに問いかける。
その両手は、なないろの左手を包むように握っていた。
なないろは自分もその手を力いっぱい強く握り返していることに気づくと
照れて、すぐに手を引っ込めてしまう。
「あ!ご、ごめんなさい!」
胸元に引っ込めた左手に右手を添えると
薬指に指輪がはめられている感触があり、顔の前にかざし確認する。
左手の薬指に輝く銀の指輪。
腕の文様も今は綺麗に消え去っていた。
「あ・・・指輪・・・」
「はい、僕が回収しておきました」
なないろは同時に水着を着ていたはずの自分が、
今はきちんとジャージを着ていることにも気づいた。
「それ?私とユニで着替えさせたの!」
「濡れていたので少々手こずりましたが・・・」
なないろの疑問に、薫とユニが答える。
「薫ちゃんと、ユ・・・?!ふええええええええ!?」
っていうことは、私の裸、ユニベルサリスさんに見られちゃったの!?
大いに焦り、耳まで真っ赤になったなないろは
毛布を顔まで引っ張ると顔をうずめ身悶える。
「な~んちゃって!冗談、冗談!私と保険の先生でやりました!」
薫の言葉に、おずおずと毛布から顔を出したなないろが
チラリとユニに視線を向けた。
「ほ・・・本当・・・?」
「はい」
ユニの答えにホッとして胸をなでおろすなないろ。
「もう!二人とも一緒になってからかうんだから~!」
「手伝おうとしましたが、止められてしまいました」
{え!?」
少しずれたユニの補足にあっけにとられるなないろ。
コンコン!
そんなやり取りの中、保健室のドアをノックする音が響き、続いてゆっくりと開くと
女生徒と、それに連れられた女教師が入ってきた。
「しつれいしま~す」
女生徒、八雲ナルミは保健室に入ってくると
女教師、倉持良子を庇いながら、ベッドにいるなないろ達を見て声をかけてくる。
「あれ?・・・保健の先生はいないの?」
キョロキョロと周りを見回すナルミに対し
薫がすぐさま声をかける。
「あ!うん、今、職員室に報告に行ってて・・・わたし、呼んでくるわ!」
「ん~ん!大丈夫!ちょっとした用事だから・・・ね!倉持先生!」
「え?ええ、す、少し休めば、平気だから・・・」
良子はナルミの後ろにコソコソと隠れるように立ち
視線を泳がせながら答えた。
それを横目にニッコリと微笑むナルミ。
「と、いう訳だからあなたたちも気にせずに、そこで休んでいて?
倉持先生にはこっちのベッドで休んでもらうから・・・ね!先生!」
「え、ええ、そうね・・・」
言うが早いかナルミと良子は、なないろ達がいるベッドから、
ひとつ挟んだベッドに移動すると
手早くカーテンを閉める。
「なにか手伝えることがあったら言ってね!」
薫が声をかけるとナルミはカーテンからパッと顔を出し
笑顔で答える。
「ありがとう!えっと・・?」
「日笠薫よ」
「ありがとう!日傘さん。私は八雲ナルミ。よろしくね」
自己紹介を終えるとナルミは急いでカーテンの中に引っ込んでしまう。
(虹乃なないろ、日笠薫、ユニベルサリス・・・三人だけか?・・・)
虹乃なないろとは、なるべく早く接触したい、
だが、あせってユニベルサリスに気づかれたのでは今までの苦労が水の泡になる・・・
慎重にも慎重を重ねないと・・・
そう思ったナルミはふうっと一息吐くと気を取り直し
クルッと振り向くと倉持良子の耳元に唇を寄せて妖しく囁く。
「さて、お着替えしましょうか?良子ちゃん♡」
ナルミはベッドに備え付けられている小型のチェストを
わざと音を立てるように、少々乱暴に開く。
薫達の事は気にも留めていない事を演出しようとした行為だったが
(少し、わざとらし過ぎるか・・・?リラックス、リラックス)
そう思い直し、取り出したタオルや着替え、精製水等を小型のテーブルの上に置き、
戸惑う良子に囁く。
「はい♡脱いで脱いで♡」
「!?だ、大丈夫、自分で、出来るから・・・」
「聞こえなかった?じゃあ『お漏らしパンツ』を脱いでって、
大きい声で言いなおいたほうがいいのかな?」
ナルミはわざととぼけた様子で独り言のように呟いた。
「わ!・・・分かりました、脱ぎます、脱ぎますから・・・」
同室内のなないろ達の存在を意識し、
あわてた良子は恥じらいつつ、ゆっくりとスカートを脱ぎ始める。
ナルミはその様子をニコニコ見つめながらも
イヤリングと化した蜘蛛の糸を使い、なないろ達の会話に耳を傾けていた。
なないろ達は、ひとつ離れたベッドにいるナルミ達に聞こえないように
小声で会話を続けている。
「・・・と言うわけなんだけどクロシロウさんはどうしたの!?
ななを守るって言ってたくせに!」
「薫ちゃん、シ~!」
興奮し声が大きくなる薫をなないろが宥める。
「悪いのはわたしだよ、絶対に外しちゃいけないって言われていた指輪を、外しちゃったんだから」
「いいえ、詳しく説明しなかった僕の責任です・・・申し訳ありません・・・」
少し落ち着きを取り戻した薫が
落ち込む二人の様子に、バツが悪そうにしながら話を変える。
「あ~っと・・・あ、その指輪ってそもそもなんなの?」
「この指輪はななの中の『王冠持ち』の力を抑えるとともに、
ななに引き寄せられる精霊の目を欺くための物なんです」
「『王冠持ち』云々はわかるけど、精霊の目を欺く・・・って?」
「『王冠持ち』は精霊の王。
ゆえに精霊達はその輝きに魅せられ引き寄せられるんです。
そして、今、なないろの中にはその光が宿っている」
「光に?・・・なんか虫みたいね」
「薫ちゃん・・・」
なないろは薫の喩えにツッコミを入れようとしたが、ぐっとこらえる。
「精霊達の目には、ななは精霊の王に見初められ、その力を分け与えられた選ばれた特別な存在、
いうなれば『精霊の女王』としてうつっているんです」
「ななが
精霊の女王!?」」
「私が
「ええ、プールでの出来事を聞く限り、水の精霊はななを襲っていたのではなく
ななを祝福していたんです」
「祝福!?おぼれさせることが!?」
ユニベルサリスは、憮然とする薫を宥めるように話を続ける。
「いえ、位の低い水の精霊にはそもそも溺れるという概念自体が無いんです。
人が空気に溺れるなんてことは考えないように彼らもそうは思わない・・・」
「多分、自分達の踊りを披露しようとしていたんでしょう」
「傍迷惑な話!」
「だけど、ちょっと気になることが・・・」
「「?」」
「精霊はいたるところに存在しますが、
通常、プールのような人工的な施設に、これだけ大勢の精霊がいる事は考えられない・・・」
「つまり?」
「何者かがプールに放った、と僕は考えます・・・
多分、様子見程度の考えだったのでしょう、
だけど、ななが指輪を外したために王の力に精霊が興奮し、暴走した・・・
そんなところだと思います」
カーテンで遮られた、ひとつ離れたベッドでは
蜘蛛の糸のイヤリングを使い、聞き耳を立てていたナルミが
危うく声を上げそうになるが、ぐっとこらえる。
(すべてお見通しかよ!・・・いや、やはり念のため様子を見ていて大正解だったな)
腕を組み、考え込むナルミの前では
濡れた下着も脱ぎ終えた良子が、
うつむき、両手で股間を隠すように立っている。
その体は、恥ずかしさで紅潮し、小刻みに震えていた。
「ぬ、脱ぎました・・・」
「は~い、良子ちゃん、良く出来ました」
声を絞り出すように答えた良子を
ナルミは子供に言い聞かせるように褒める。
そして
タオルに棚から取り出した精製水を含ませると
良子の太腿を優しく拭き始める。
濡れたタオルの感触にピクンと反応する良子。
その反応を楽しむかのようにナルミは濡れタオルを
さらに上へ、内股へ、そして股間へと移動させる・・・
良子の下半身をきれいに拭きながらナルミは再び耳に意識を集中させ
カーテンの向こうの様子を探る。
「・・・んで、その時拾ったのがコレ、なんだけど・・・」
日笠薫は、なないろの手からこぼれ落ちた蒼い結晶プレートをユニベルサリスに見せる。
「コレをななが?」
「うん。確かに、ななの手から落ちたのを見たよ」
「なるほど・・・しかしまだ魔法も使えないのに、
こんなに高純度の物を生成するなんて・・・やはり凄いな・・・」
感心し、独り言を呟くユニベルサリスを見て
薫はキョトンとしながら問いかける。
「コレ、もしかして精霊を放った奴に何か関係あるものなんじゃないの?」
薫の疑問にユニベルサリスは意外な言葉を口にする。
「これはななの言っていた水の少女、つまり水の精霊その物です」
「「えっ!」」
驚く二人を後目にユニベルサリスはさらに続ける。
「正確には、水の精霊だった物ですね・・・
これは強力な魔力によって物質化、封印された精霊、例えるなら精霊の卵とでもいいましょうか」
説明を聞いていたなないろが、感心しつつ疑問を口にする。
「なんか凄そう・・・ユニベルサリスさんがやったの?」
「いいえ、僕ではありません、これをやったのは
なな、あなた自身です」
「「えっ!!」」
再び飛び出した意外な答えに驚く、なないろと薫。
薫はパッとなないろの方に向き直るが
なないろはブンブンと首を振って否定する。
「わ、わたし、知らない!」
振動する蜘蛛の糸を通じて、なないろ達の会話を盗み聞いていたナルミは
その内容に驚きを隠せない。
(無意識でアレをやった?ってか、魔法も使えないって初心者どころかズブのド素人がアレをやったのか!)
なないろの事、『王冠持ち』事件のことは聞いていたが、
少し話が盛られているだろうと考えていたナルミは
一瞬考え込んだあと気持ちを切り替え、
目の前の良子に声をかける。
「さあ、おしっこのあとをキレイキレイにしたから、お次は、
おパンツを履かせてあげる・・・ベッドに座って?」
恥ずかしさに目をギュっとつぶったままの良子をベッドに座らせたナルミは
タオルを、備え付けの洗面器の中へ置くと
用意した替えの下着を持って、良子の前に跪く。
そして強く閉じた良子の両足を強引に開くと
右足を軽く上げさせ下着を履かせ始める。
「はい!良く出来ました!」
下着を履かせ終えたナルミが褒めるように言うと、
良子は少しほっとした表情を浮かべる。
次にナルミはチェストの中から取り出した替えのジャージを抱えながら
振り向く。
「後はこれに着替えましょう。そんな格好のままだと男子連中が悩殺されて困ってしまうから」
コンコン!
再び保健室の扉がノックされる音が響くと
扉を勢いよく開け、小学部の制服を着た少女が入ってくる。
「しつれいしま~す!!」
長い髪をいくつかに分け、リボンでまとめた可愛らしい少女。
制服にはいくつかのぬいぐるみ型のアクセサリーを付け
その手には見慣れた黒と白の猫のぬいぐるみを抱きしめている。
そしてその足元にはピンクのクマのぬいぐるみ、クマルマルが付き従っている。
少女はそのまま、つかつかとカーテンをおろしたベッドまで歩み寄ると
一気にカーテンを開いた。
「キャッ!!」
着替えの最中、上下ともに下着姿となった倉持良子が
いきなりカーテンを開けられて思わず悲鳴をあげ、うずくまる。
とっさにナルミが自分の体で良子を庇いながら少女を叱りつけた。
「ちょっと!いきなり、なに?あなた!!」
「あっ!!ごめんなさい!」
少女はペコリと深くお辞儀をすると
急いでカーテンを締め、
なないろのベッドの横に座るユニベルサリスに気づくと
トテトテと小走で近寄る。
「いっけな~い!こっちこっち!」
なないろのベッドまで来た少女は三人の顔を見回すと
姿勢を正して挨拶をする。
「こんにちは!ユニ!薫!そして、なないろ!」
少女の足元のクマルマルがそ~っと覗き込み手を振る。
見知らぬ少女の、突然の登場に困惑する薫。
「やあ!来たね!」
ユニベルサリスは笑顔で対応するが、なないろと薫はただただ、困惑するばかり・・・
そんな二人を見て少女は少し残念そうな顔を浮かべ口を開く。
「あらら?私のこと、わすれちゃった?」
ひと呼吸置き、少女は片手で敬礼の真似事をしながら宣言する。
「魔女会の『ひとりぬいぐるみ王国!グラン・ギニョール!』でーす♡」
前回からちょっとアダルツな描写があるのですが、有りか?無しか?御意見お聞かせくださいませ~




