三話
ここは……?
少年は目を覚まし辺りを見回すが、そこは何もない一面真っ白な部屋だった。
地球ではこんな真っ白な部屋を作り出す技術も無ければ演出すら出来ないだろう。だからここは地球では無いと少年は直ぐに気が付いた。
ああ……俺は死んだんだ。
「その通り。君は死んだんだ」
心の中で呟いた質問に答えたのはいつの間にか目の前いた若い1人の青年だった。
「だれだ?」
「神様だ」
神様?嘘くさいな……
「嘘くさいとは失礼だな。……まぁ君たちからすればそれが普通か」
あれ?声に出てたか?
「いや、俺はこの部屋の中限定だが君の心の中で思っていることがわかるんだ。だから別に喋らなくても心の中で思うだけで良いぞ」
じゃあ聞きたいことがあるんですが、俺はどうしてここにいるんですか?
「君の運命が余りにも不憫に思ったからというのも理由の一つだが、それは二の次だ。君が俺の求めていた条件を満たしていた魂の一つであったという事が最も重要な理由だ」
条件、ですか。
「それは話せないんだ。まあ神様にも色々あってな」
ふぅん……まあそういう事なら別にいいです。それじゃあこれから俺はどうなるんですか?
「君の世界では転生というのか?正確に言えば、もうすぐ死んでしまう少年の肉体に君の魂を入れるので、転生と言っていいのかわからないが………。まあそれは置いといて、君には俺が創った世界で新しい人生を歩んで欲しいんだ」
もし、俺が神様の世界で人生を歩むとして、何かしなければいけないんですよね?
「いや、何もしなくていい。君の思うままに生きるが良い。勿論君には加護を与えると約束する。あっちの世界で不自由しない力をな」
そうですか。色々待遇してくれるみたいですけど遠慮させて頂きます。
「何故だ!?こんないい話ないぞ」
俺を此処に呼び出したっていう事は俺の過去を知ってるんですよね?それならわかりますよね。俺はもう大切な人を失う痛みを、悲しみを経験したくないんです。そんな苦痛を味わうぐらいなら転生などせずに桜庭涼として人生を終えたい。
「この話をするつもりは無かったんだがな……。少しだけ話を聞いてくれるか?」
そう言うと神様は俺の返事を待たずに目を閉じてゆっくりと話し出した。




