Ep.12
休日を挟んで次の週になった。この週の金の曜では新入生歓迎のパーティーが行われる。
月の曜
この日の特別授業、キースに声をかけられた。彼はあの測定結果を見たようで魔力の使いすぎは気を付けるよう言った後、武術に移っても良いと言われた。
ロゼは顔には出さなかったが心の中で喜びの舞をした。学園の中(授業中)に修行が出来るのだ、修行大好きなロゼには嬉しくて堪らない事だった。
ロゼは「はい」と答え、目立たぬ場所に移動して槍の見た目をさた『双刃剣』を生成した。どこから見ても紺色の槍だ。万が一見られても彼女が使うのは槍だと思うだろう。
ロゼより先に武術に移った生徒も何人かいる、経験者なのか皆動きが良かった。入学前から身に付けていたのだろう。
ロゼも素振りや魔物を模したカカシに攻撃をした。流石 魔物対策の授業用に作られたカカシ、簡単には壊れない。ロゼの強烈な一撃を受けても壊れもしない…
カカシの肉体を壊して核の模型を破壊しても自動で修復し、パターンを変えて何度も練習が出来るようになってるようだ。凄いな
…実はロゼはまだ実戦してない。スノーリアとの修行は何時も組手や彼女が魔法術で作り出した的を壊す、または避ける等ばかりの内容…魔物が相手だったのは一度も無い。
だがこれはある意味 模擬戦だ。魔物の仕組みを理解しながら戦うのは為になる。もし学園に通わずに、何の知識も身に付けずに魔物に挑んだいたら…大怪我をしていたか、最悪命を落としていただろう。
そんな事を考えながら訓練、いや修行をしてると…また起きた。
「なんて野蛮なの!はしたないわ!」
「……」
大人しくなったと思ったクリスティナがまたロゼに絡んで来た。
「槍を振り回すなんて、賊のようだわ!」
「野蛮で結構」
「っ!!」
そう答えた後、ロゼはクリスティナを無視して修行を続けた。
それが気に入らないクリスティナはロゼを睨み付ける。どんなに罵倒してもロゼはなんの反応も見せない、つまらないがその反応すらも腹立たしい…。
ロゼはクリスティナの視線を気にせずカカシに攻撃を続ける。もっと素早く、もっと強めに…もっと鋭く…
「ちょっと聞いてるの!」
ガン無視
「このわたくしを無視するだなんて!」
修行に夢中なロゼにクリスティナの声は届かない。彼女を見てギャー!ギャー!言うクリスティナだったが、キースがやって来て説教された。
「フィオン嬢!何をしている!」
「っ!あ…その…」
「誰かの訓練にケチをつける前に自分の体力作りをクリアさせろ!そうしなきゃ魔法術の訓練に移れないぞ!」
「っ!!…」
クリスティナは顔を真っ赤にし、そのままキースに連れていかれ持ち場に戻って行った。
まだ体力作りすら終わってないのにロゼのを見に来てあーだこーだ言いに来たのか…ロゼは呆れた顔をしながらも修行を続けた。
▼△▼△
クリスティナは先に次に進んだロゼが気にくわなかった。いや、何もかも…ロゼのする事全てが気に入らない。
何故そんなに敵視してるのかと言うと…ハッキリ言ってほとんどが八つ当たりだ。
クリスティナはエリオットの婚約者候補だが、彼は全く反応を示さない。昔から魔王の一族の妃になるよう育てれたクリスティナ。魔法術も魔族でありながらも必死に光属性と耐性を身に付けた。全ては魔界を照らす光になるため…魔界には地上にいる聖女に当たる存在が居ない。クリスティナは魔界の光になろうとしたのだ。
そんな過酷な訓練の末、クリスティナは光属性と耐性を身に付けた。しかし努力は報われず魔王の一族のエリオットは無反応だった。…クリスティナが声をかけても軽く挨拶をしたり話したりする程度。
昔から話し掛けたりパーティーで会ったりと知り合いではあるが関係が発展する様子は全く無い。
取り巻きに愚痴っても大丈夫だと慰められるだけ、いまいちスッキリしないからロゼに八つ当たりしてる…クズな行いをしていたのだ。
数分後 授業が終わった。
ロゼが武器を振るう姿を見たのは奇跡的にクリスティナ1人だけだった。
…しかし安心は出来ない、ロゼが気に入らないクリスティナがロゼが野蛮だと周囲に広げるかもしれない…。
△▼△▼△
今週で授業があるのは月の曜だけ、火、水、木の曜では全ての時間を使ってパーティーの準備をする。ダンスやマナー、その他、ドレスを持ってない者はこの期間に準備する。
マナー等は既に公爵邸で家庭教師に習い完璧に身に付けており、スノーリアと祖母が張り切って何時着るかもわからないドレス等も用意してあるので、ロゼが今更やることではなかった。同じように貴族達もそうだった。だから学年内の交流として茶会を開催して友好を深めたり等に時間を使ってる。
既に用意出来る者は好きなように過ごして良いことになってる。
しかし特別授業は行われて無いので武器を振るう事は禁止、それ以外でだ。
ロゼは20位以内になるために、勉学に励んだ。黙々と取り組むタイプのロゼに勉学は向いてるようだ。
黙々と問題集を解くロゼの元にある人物が声をかけてきた。
「可笑しな人ですね、殿下の誘いよりも勉学を優先するとは」
「……(誰に言ってるんだ?)」
肝心なロゼは自分に言われてると思ってないようで、声の主を気にせず教科書とノートに向き合う。そんな彼女を見て、声の主はムッとした表情をして更に続けた。
「聞いてるのです?貴女に言ってるのですよ、アステリアンさん」
「えっ…あっ、そうだったの」
「……」
ロゼが顔を上げると、声をかけてきたのはエリオットの側近の1人『セリオン』だった。
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