神鳴衆、再結成
ここはナゴヤと呼ばれた都市、そのとあるビルの目の前で熾烈な戦いが繰り広げられていた。
「来いよ、踊ろうぜ?」
「良いぜ……乗った!」
その瞬間! 奴が手裏剣を投げてそれに引っ張られる形で俺に向かって突っ込んでくる!
奴の腕から手裏剣へ伸びているのは細い鋼線。奴はそれを利用して空中を駆け回っているのだ!
「チッ!」
俺は何発も鉛玉を放つがそのほとんどが手裏剣に弾かれる!
(このままじゃまずい!)
俺は咄嗟の判断でフックを外し、間一髪で奴の攻撃を避けた! そして別の所に照準を合わせて再びフックを撃ち出す! それに引っ張られ地面に着く前に別の所へ辿り着いた。
「ちょこまかと……」
奴も負けじと手裏剣を投げて俺を追ってくる! このままなら逃げ続けられる。だがチャカは防がれるし弾も少なければフックも交換しないといけない……。
(対してアイツは体力が保つ限り飛べる……攻撃範囲は狭いが……)
俺は地上を見る。そこには俺が地面に縫い付けておいた奴の手裏剣がもがいてる様子が見えた。
(外されるのも時間の問題か……)
手裏剣が2つに戻ってしまえば俺に勝ち目はない。
俺が策を練ろうとしたその瞬間! 地上から黒い影が奴に迫る!
「くっ!」
奴は皮一枚でそれを躱した。その黒い影の正体は……シオンだ! 本来踏ん張りの効かない空中という舞台は能力的にも完全にシオンと相性が悪い。
それでも迷う事なく飛び込んできたのだ!
「相変わらず無茶して……」
だがこれで動きやすくなった! 俺はすぐに弾とワイヤーを補充すると罠を仕掛けに行く!
「あなたの相手は私……」
シオンが小太刀を構えた……。
「相手? 2人まとめて地獄に送るだけだ!」
そして2人が同時に飛び出した! そして突撃一閃! 超速で金属がぶつかり火花が散る!
「ここで仕留める……!」
「真っ二つになれよ……!」
そのまま超規模の空中戦が始まる! しかし、空を縦横無尽に駆け回る奴の方が一枚上手だ。
「これはどうだ?」
奴がそう言った瞬間、なんとシオンのワイヤーを切断する!
「チッ!」
機動力を失ったシオンはそのまま地面に向かって加速する。
「ジ・エンドだ……」
奴が勝利を確信したその刹那、
「よっとぉ!!」
俺が地面スレスレで何とか助ける。
「シオン、罠ができた。中央の地面におびき寄せて」
そしてそう耳打ちする。そして俺はシオンを地上に下ろした。
「おびき寄せてって……無茶言うね……」
シオンは少し考えた後、静かに構えをとった……。今まで攻め一辺倒だったシオンが自ら後手に回る、それは奴に対する一種の挑発、挑戦だった。
(なるほどな……正面から来い、と)
奴は冷静に状況を俯瞰する。
(あの野郎は小細工も使っていない……能力もおそらくシンプルな肉体強化。反対にあの男の能力は分からんが、主力の刀は封じてあるしチャカでも俺は仕留められんだろう……)
そして奴は覚悟を決める!
「その挑戦……受けて立つ!」
そして手裏剣を投げて一気に加速した! その勢いはまるで弾丸、それに対してシオンも能力を発動する!
「来い……」
「やってやる!」
そして2人の刃が交錯した、その瞬間!
「妖陣、幻朧……」
俺が静かに能力を使う。次の刹那、シオンの輪郭がぼやけて攻撃がすり抜けた!
「なっ⁈」
手裏剣が地面に突き刺さり、奴の動きが止まった!
「目眩しはどう?」
そしてシオンは下がりながら大量の煙玉を落とす。刹那! 辺りが濃い白煙で覆われた!
「チッ!」
(最初からこれが狙いか!)
だが奴は冷静に手裏剣を地面から引き抜き自ら鋼線を切った。
「よっと!」
そして手裏剣を勢いよく投げた! 同時にもう一つの手裏剣も自由になり、煙を中心に回り続ける。
(俺の能力を調整すれば奴らが飛び込んできた瞬間に感知できる……俺の間合いに入ってきた瞬間、俺の手裏剣がお前らを断ち切る)
そして奴が集中する。その瞬間……
(妖狐流剣術、基本技四!!)(ドライブ2……妖狐流双刀術!!)
煙に向かって俺達が同時に飛び込む!
(来た!)
しかし奴は罠で俺たちの存在をいち早く察知した!
「見えてんだよ!」
そして俺たちの背後から巨大な手裏剣が音もなく襲いかかる!
「ぐっ!!」「チッ!!」
―ザンッ―
次の瞬間、響いたのは刃が肉を切り裂く音……。
「ふふっ……終わった……」
煙が晴れた時、奴の目に飛び込んできたのは……得物を構えた俺とシオンだ。
「なんで避けれてんだよ……」
奴はこの結果が分かっていたかのように少し笑う。そしてその場に座った。
「それはテメェの目で確かめな」
そう言って俺が指を刺した先には大量のワイヤーが絡み、空中で静止していた手裏剣。
「あのワイヤー……なるほど、お前が飛び回ってた時のやつか」
「ご名答……」
「何でこんな策を使った? 不確実性があるように思えてならん」
「最初、お前の能力は武器を操ることかと思ってた。うちの先輩にもそんな人がいるからな……でもそれだとあの回避能力に疑問がある。そんな時に違和感を感じたのさ」
「違和感?」
「俺の技を避ける時……本来初見なら追撃の刃なんて分かんないのにお前は一度の動きで両方の攻撃を避けた。それにその後のチャカは見えていたはずなのに避けれていなかった。この二つの違和感」
その言葉を奴は静かに聞いていた。
「それを見た時にビビッと来たわけよ。「コイツの能力は距離制限付きのテレパシーだ」ってな。それなら近距離の攻撃を全て避けたのもチャカを避けられなかったのも説明できる」
「なるほどな……その仮説を出すのも完全に信じるのも、どっちも狂ってやがるな」
奴はニヤリと笑った。
「狂ってなかったらこんな所まで来ねぇよ」
「確かに」
そうして奴と打ち解けた俺は血を拭ってあのホールまで戻る。
「そういえばそっちの小柄な方は? さっきから一言も喋ってない」
「必要ない事は喋らない、顔も明かさない」
シオンはまるで俺と初めて会った時のように冷たい言葉で返した。
「自己紹介はするだろうから良いけど顔は明かしてもいいだろ……」
僕がそう言うとシオンは静かに舌打ちをして仮面を外した。
「これで良い?」
「え……お前、女だったのか?」
奴が驚いたような顔をする。確かに戦闘中、声もあまり出していなければ仮面もつけたままだ。そのせいで気づかなかったのだろう。
「なんか……意外だ……」
そんな会話をしながらホールまで戻ると初めて入った時よりも少し穏やかな空気が流れていた。
「戻ったか、お疲れ」
お頭がこっちを振り向いてそう言う。
「死にそうです……」「疲れました」
僕達はわざと不満が分かるような声で言った。
「何はともあれ、これで全員揃ったな……」
お頭がそう言うと全員が神鳴衆のあのバッジを取り出した。
「……あれから随分減っちまったな」
お頭がしみじみとそう言った。その言葉に周りのリーダー格であろう人達が頷いた。
「だが、ここで再び集まれた事! 誠に嬉しく思う!」
そして声高らかに宣言する。
「ここに集いし74名! その名をもって「神鳴衆」の復活をここに宣言する!!」
その声を聞くと周りの人たちが雄叫びを上げる。それは個人が自分を奮い立たせるものではない。軍が、部隊が、その志を合わせて奏でる「鬨の声」であった。
そしていよいよ、神鳴衆が動き始める!
さて、いかがでしたでしょうか?
今回は謎の男vsヨウタとシオンの戦いの決着。大丸の神鳴衆復活宣言を描きました。本当は自己紹介とか説明とか加えたかったんですがそれはまた次回。
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