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妖狐佐々木戦争 藤の裏と獅子の笑み

 ここは妖狐衆アジト前、そこでは今まさに熾烈な命の取り合いが行われていた

 そして龍樹さんが伍人組の1人、虎を討ち取った横でも信念と信念の激しいぶつかり合いが起きていた。


「とっとと死んでください!!」


「逝かぬわぁぁああ!!」

 それは百合さんと伍人組、唐獅子との戦闘だ。両者はまさに五月雨の如き斬撃の雨を降らせる。

 この烏という男の武器は鉄扇。護身用の武器の一つだがコイツはそれに改良を加え、広げれば盾となり、投げればブーメランとなり、振るえばナイフとなる凶悪な武器へと姿を変えている。


 対して百合さんの武器は槍。しかしただの槍な訳は無く、なんと百合さんの能力によって意のままに形を変えることができるのだ。

 そんな武器の使い手同士がぶつかれば必然的に腹の探り合いとなる。


(コイツ……攻撃が巧みだ。扇の特性を活かして的確に削りに来る)

 百合さんは奴の攻撃を防ぎ、反撃しつつも打開策を練っていた。


(この速さ相手で槍は悪手……ならば!)

「趣向を変えてみましょう!」

 その時、百合さんが奴と距離を取って槍の形を変えた。そして再び持った武器は、2本の小太刀だ。


「何っ⁈」

(武器が変わった……どんなカラクリだよ……)

 初めて見る武器の急な変形に唐獅子は一瞬驚く。そして、百合さんの攻撃がより一層激しくなる!


「こうなれば速さは負けません!」

 百合さんは二刀をまるで身体の一部のように扱い奴を攻め立てる!


「ぐっ!」

(速さが上がった!)

 唐獅子が少しずつ押されていく。しかし奴の武器は鉄扇だけではない。


「おっしゃぁぁああ!!」

 奴が声を張り上げた瞬間、渾身の回し蹴りが炸裂する!


「クソッ!」

 全ての力を攻めに使用していた百合さんは反応が一瞬遅れる。そして次の瞬間、


「チェストォォオオ!!」


「がはぁぁああ!!」

 蹴りが百合さんのこめかみで爆ぜた。頭が割れ、血が滴る。しかし百合さんも負けじと下がる瞬間に奴の腕を薙いだ。


「良いねぇえ!」

 奴の腕から血が流れる。だがダメージは明らかに百合さんの方が大きい。


「この野郎……」

 百合さんは再び小太刀を構えるが血が目に入る。


「チッ……」

(視界が無い……)

 片目の視界が潰されたことでより唐獅子が有利になってしまった。その時、百合さんが武器を変形させる。

 そうして変形させた武器は、鎖鎌だ。


「おいおい」

(そりゃあ聞いてねぇぞ)

 その瞬間、百合さんが鎖鎌を振るう! 加速した鎖が唸りながら空を切る。


「食らってろよ!!」

 その瞬間、百合さんが鎖鎌を放った! そしてそれはまるで生きているかのように唐獅子へと迫る!


「うわぁぁああ!!」

 奴は反射で避けようとするが鎖が腕に巻き付く! そして百合さんはそれを力一杯引っ張った! しかし奴も踏ん張ろうと全身に力を込める! 


「くっくく……!」


「クソがぁぁ!」

 鎖が両者の間で千切れそうに震える。


「これでも食らえよ!!」

 その瞬間、百合さんが反対側の鎌を奴に投げつける!


「食らわん!!」

 だが唐獅子も鉄扇を投げて鎌を相殺する! その瞬間、唐獅子の筋肉が隆起する!


「ぬぉぉおらぁぁああ!!」


(何っ⁈)

 百合さんは咄嗟に耐えようとするが奴の力は圧倒的で一瞬で引き寄せられてしまった!

 そして奴が鎖をガッチリと掴みもう一つの扇子を振り上げる!


「くたばれよぉぉおお!!」

 そして鋭い刃を振り下ろした!


(まずい!)

 危険を感じた百合さんは咄嗟に鎖鎌を変形させる! それによって動けるようになったと同時にバックステップで距離をとった!


「逃げんなやぁぁああ!!」

 奴の扇子が空を切る。そして百合さんが次に手に取った武器は……槍。


(なんだ? また槍に戻してどうするつもりだ?)

 唐獅子は百合さんの行動の意味を理解できない。だがそれとは反対に百合さんはスッキリしたような笑みを浮かべる。


(今なら……暴れて良い。ここであの野郎を、殺せ!)

 その瞬間、百合さんの目つきが変わる。


「ハッハァ……さぁ、第二ラウンドの開始だぜ……」

 そうして現れたのは、裏百合さんだ。そして裏百合さんが槍を構える。


「なんだぁ?」

 唐獅子も百合さんの変化を気取り鉄扇を両手に構える。

 その直後、


「行くぜ!」

 裏百合さんが爆発的な踏み込みで前に出る! そして突っ込みながら奴の喉を薙ぎに行く!


「うおっ⁈」

 唐獅子はその一撃に虚を突かれ、姿勢が崩れる!


「まだまだぁぁああ!!」

 そのまま壮絶な斬り合いに傾れ込む! 奴も一流の名に恥じない技と身のこなしで対等に渡り合う。

 だがその瞬間、裏百合さんの槍が奴の肩に突き刺さる!


「ここからっ!」

 裏百合さんの口角が上がり腕の筋肉に力が入る。だがそれとほぼ同時に唐獅子の全身の筋肉が隆起する!


(なんだ⁈)

 その瞬間、奴が咆哮と共に拳を突き出す!


「ハァァアア!!」

 裏百合さんはなんとか腕を間に挟んで防ぐがそれでも吹き飛ばされる。


(なっ⁈)

 裏百合さんはなんとか体勢を立て直すが口からは血が流れる。


(この感じ……まさか!)

「発勁……?」

 裏百合さんの口からその言葉が放たれる。それを聞いた時唐獅子の顔に驚きの色が現れる。


「知ってんのか……」


「あぁ、名前だけだがな。通常の打撃とは違う形で放つ攻撃であり、外ではなく内を破壊する。だったかな?」


「ご名答。ってかは戦前の技だからそこまでは知らんけどな」

 唐獅子がなんとも言えない表情をしながらそう答える。だがその刹那、奴が音もなく鉄扇を投げる!


「チッ!」

 裏百合さんは超反応でそれらを弾き、再び前に出る!


(こいつは自由にさせたらダメだ!)

 そして裏百合さんが槍を突き出そうとした瞬間、


(なにっ!)

 なんと虚空が切り裂かれる音が聞こえる! 裏百合さんは即座に迎撃するが二つのうち一つが脇腹を深く抉る。


「チッ……」

 だが奴の攻撃はまだ繋がっている!


「もらったぁぁああ!!」

 奴は戻ってきた鉄扇を掴み、渾身の力で振り下ろす!


「ぐぅぅぅうう!!」

 その一撃は完璧に裏百合さんの背中を切り裂いた! なんとか前に飛び追撃を避けるが、すでにかなりの深手を負っていた。


(クソ……なんとかしねぇと……)

 裏百合さんが策を練ろうとした瞬間、奴がスタートを切る!


「さぁ! 終幕だぜ!! 狐野郎!!」

 奴は鉄扇を二つ構えて一直線に突っ込んでくる!


(ここしかねぇ!)

 そしてそれとほぼ同時に裏百合さんも前へ飛び出す!


「ハァァアア!!」


「くたばれや狐がぁぁああ!!」

 そして互いの渾身の一撃がぶつかる!

 その瞬間……空中を鮮血が舞った。傷が増えたのは、裏百合さんだ。だがそれでも止まらない!


「オラァァアア!!」

 なんとあの瞬間、裏百合さんは左腕を犠牲に紙一重で躱していたのだ! そしてそのままカウンターに繋がる!


「妖狐流槍術一の段! 龍旋斬!!」


「ぐぅぅうう!!」

 奴はその攻撃を外そうとするが一拍遅く裏百合さんの槍が奴の左腕を捉える。


「クソがっ!!」

 奴は鉄扇を振って距離をとる。そして両者の動きが止まる。


(今の一撃で、腱がやられたか……出血もひどい……なら)


(あの野郎……脇腹やりやがって。動かせは……しないよな……ってことは)

 その時に両者が導き出した結論は奇しくも同じであった。


((次の一撃で、決まる!!))

 その結論を導き出した瞬間両者の空気が一変する。その空気はまさに相打ちであっても「敵を屠る」その決意にやって生み出されるものだった。

 二人はどこまで行っても生粋の戦闘狂であったのだ。

 そして両者が同時に構える。


(こいつの槍相手に突っ込むのは芸がなさすぎる……ここはあいつの一枚上を行く一手でしか勝てない。なら傷が増えることくらいどうだっていい!)

 そして二人が示し合わせたかのように同時に踏み込む! その勢いはまるで弾丸そのもの!


 そして裏百合さんが槍を突き出そうとする!


(ここだっ!!)

 その瞬間、唐獅子が鉄扇を広げて盾のようにしながらさらに加速する!


(奴は俺の鉄扇なんて簡単に突き破ってくるだろう。そして狙うなら心臓の一点のみ! ならそれを読んで紙一重で躱し、カウンターで発勁をぶち込む!)

 奴はなんとこの一瞬で必勝の道を見出していた!

 そして裏百合さんが槍を突き出した!


(さぁ来やがれ!!)

 奴は自身に満ち溢れながらも極限の集中でその瞬間を見逃すまいと凝視する!

 だがその瞬間、予想外のことが起こる。なんと裏百合さんの突き出した槍はそのまま手を離れ、奴に向かって超速で飛んで行ったのだ!


(なに……?)

 これには奴も反応できない。そして、槍はそのまま奴の鉄扇を容易く貫き奴の左肩に突き刺さった!


「がぁぁぁああ!!」

 しかしその程度では止まらず槍は奴の体に刺さりながら飛んでいき、アジトの壁に奴を縫い付けたところでようやく止まった。


「妖狐流槍術、二の段。飛竜閃突ひりゅうせんとつ

 そう、裏百合さんは奴の狙いを全て読んでいたのだ。そして裏百合さんがゆっくりと奴に歩み寄って行く。


「ヒュー……ヒュー……」

 唐獅子は既に瀕死の状態だった。


「終わりです。久々に危なかったですよ」

 百合さんは血塗れになりながらも奴にその言葉を投げかけた。


「へへっ……アンタら、本当におかしな奴らだな。武器の変形なんて聞いたことねぇぞ」

 唐獅子も残った僅かな力を振り絞り、そう言った。


「楽しかったぜぇ……アンタとやり合うの。もう未練も何もねぇ」

 そう言うと奴は静かに上を向いた。まるで首を差し出すかのように。


「はい。私も」

そう言いながら百合さんがナイフを振り上げる。



こうして僕たちはまた一つ。奴らとの戦いを制した。

さて、いかがでしたでしょうか?

今回は百合の戦闘を描きました! 正直言って今登場しているキャラの中でもこの2人はお気に入りなのでいつもより筆が早く進んだ気がします。

それではコメントや感想、評価などありましたらしていただけると嬉しいです。

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