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妖狐佐々木戦争 虎の爪と龍の咆哮

 ここは妖狐衆アジト目の前にある大通り。そこでこの戦争の決戦が今、始まろうとしていた。


「オラァァァアア!!」「くたばれ狐野郎!!」

 妖狐衆と佐々木組、伍人組の戦闘者達が刃を交える! 次の瞬間、壮絶な金切音と共に互いの刃と信念がぶつかる。


「くたばれぇぇぇええ!!」「ぶっ潰してやるよ!!」

 そして互いが同時に刃を引き、自らの相手と睨み合う。


「盛大なリベンジの始まりだぁ……」「お望み通りぶっ殺してやるよ!」

 僕は淺間と向き合い、


「我が……弟の仇……」「討てないからごめんって言っといた?」

 烏とシオンが睨み合う。

 一時の沈黙が過ぎた後、まるで両者が示し合わせたかの如く同時に飛び出す! そして再び刃を交えた!


 その時、その中の一つに異様な光景があった。 

 それは龍樹さんの相手……赤い上着に様々な装飾を施した男だ。何が異様か、それはこの男が龍樹さんの斧を腕で受け止め、あろうことか力で拮抗しているしているのだ!

 その刹那! 龍樹さんが先手を取る!


「叩き潰してやんよ!」

 そして鍔迫り合いをしていた斧を引き、反転させて奴に切り掛かる!


「フンッ!!」

 だがその男はその攻撃すらも腕で受け止めた!


「チッ!」

(コイツ……この分厚さはなんだ?)

「オメェ何もんだ!」

 龍樹さんの問いに奴は素直に答えた。


「傭兵部隊伍人組の一、虎」

 そう言うと男は両拳を握った。すると袖の中からまさに虎の爪を思わせる鋭いナイフがいくつも出てきたのだ。


「おいおいマジかよ……」

 恐らく袖の中に機構があるのだろう。これなら奴が龍樹さんの攻撃を腕で受け止められたのも説明がつく。


(コイツは厄介だな……)

 瞬時に龍樹さんの集中力が上がる。


「行くぞぉ!!」

 その刹那、虎が爆発的な踏み込みで前に出る! そして凄まじい斬撃の応酬!

 互いの刃が激しくぶつかり合い火花を散らす!


「オラオラオラオラァ!!」

 だが速さでは奴だ。一瞬で龍樹さんの体に無数の傷が現れる。その時、わずかに龍樹さんが体勢を崩した。


「もらったぁぁああ!!」

 奴がその隙を逃すはずがない。そのまま龍樹さんの脇腹に強力なボディブローをかました! 殴られた場所から血が滴る。

 だが龍樹さんもただではやられない。


「クソがァァアア!!」

 龍樹さんは腕に全力を込めて斧を引き戻し、片手で奴に向かって叩きつけた!


「ぐぅぅうう!!」

 奴のこめかみが爆ぜ、その衝撃で吹き飛んだ! そして龍樹さんの空気が変わる。


「生憎だが、手加減は嫌いでな。速攻でぶっ潰してやるよ!」

 そしてスタートを切った! 次に巻き起こったのは、まるで嵐のような斬り合い!


「さっさとくたばれよぉぉおお!!」「馬鹿力がぁぁああ!!」

 さっきまでとはまるで別人のような攻撃が虎の身体を削っていく! その時、虎の体勢が崩れてしまう。


(くっ! まずい!)

 その隙を見逃すほど龍樹さんは優しくない。


「もらったぜぇぇええ!!」

 そして奴の脇腹から反対の肩にかけて深く切り上げた!


「ぐはっ……!!」

 その一撃は虎の命を断つには十分すぎるもの、これで奴は死んだ……そう思われた。


「まだだぁあ!!」

 なんと奴は踏みとどまった。


「何っ⁈」

(深く入ったはずだが……)

 その時、奴が上着を脱ぎ捨てる。その下から出てきたのは……なんと帷子かたびらだ。


「……なるほど。下に着込むとは考えたなぁ」


「派手好きなのはそうだが、一番好きなのは仕事終わりの一杯なんでね。死なない対策は忘れんよ」

 そう言って奴は帷子を脱いだ。そして先ほどよりも低く構える。


「いくぜ!」

 その瞬間! 奴が低姿勢のまま龍樹さんに突っ込む! その速さはまるで弾丸。一寸の迷いもなく前に踏み込んだ!


「うおっ!」

 これには龍樹さんも驚く。そして奴の爪が空を切り裂いた! 龍樹さんは間一髪で避けるも奴の勢いは止まらない。


「っしゃァァアア!!」

 すると奴は何度も何度も突進を試みた。まるで獰猛な虎が獲物を殺さんとするように龍樹さんに向かって突っ込んでは末端を削り取っていく。


「クソがっ!」

(やりづれぇ!)

 無論龍樹さんも迎撃しようとするが奴はたとえ空中にいても身体を捻って攻撃を外してくる! 一気に形成逆転だ。


「オラオラオラどうしたぁぁああ!!」

 虎の目は完全に捕食者のそれに変わっていた。

 その時、龍樹さんが力無く膝をつく。


(終わりだな……)

 龍樹さんの状況を理解した虎は今までより一層力を貯めて龍樹さんの命を刈り取りに来る。

 そして奴の爪が龍樹さんに届く瞬間……吹き飛んでいたのは虎の方だった。


「ぐはぁぁああ!!」

 奴は鼻血を噴き出しながら地面を転がる。


「……ふぅ、やっと捉えれたぜ。ちょこまか動きやがってよ」

 龍樹さんはそう言いながらゆっくりと立ち上がる。


「なんで……もう限界だったんじゃねぇのかよ」

 虎は起き上がりながらそう問いを投げる。


「あまりにも鬱陶しかったんだな。こっちが弱ってるところ見れば少なからず回避への集中力が削がれる。それを使っただけだ」

 なんと膝をついたのは盛大なブラフであり、一瞬のカウンターを狙っていた布石だったのだ。


「へへっ……小賢しい真似しやがって」

 そう言いながら奴は爪を再び出す。


「うるせぇ、騙される方が悪りぃんだ」

 そう言って龍樹さんも斧を構えた。


(あの一撃で鼻が砕けちまった……胸の傷も深い……長丁場には出来ねぇな)

 虎は自身の置かれている状況を的確に理解していた。


(ならこれを使うしかねぇ!!)

 その瞬間、奴が虚空に向かって思いっきり腕を振るった。


(なんだ?)

 龍樹さんであってもその意味が理解できない。だが次の瞬間、龍樹さんの目が異様なものを捉える!


「チッ!」

(まさか……)

 龍樹さんが一瞬で腕を上げたその時! なんと無数のナイフが全身に突き刺さった!


「ぐあっ!」

 龍樹さんは血を流しながら後ろに下がる。


(何なんだ?)

 だがその原因はすぐに分かった。なんと虎の腕に生えていた爪が片方だけ無くなっているのだ。


(恐らく腕を振った瞬間に飛んだ来たか……)

 龍樹さんは体に刺さった刃を引き抜きながら脳を回転させる。


(奴に遠距離の手段があるとなるとやりづらいな……何とかして無力化しないと……)

 だが奴が考える時間なんて与えるはずがない。


「そろそろ終わりにしようかぁぁああ!!」

 奴が加速し、再びあの戦法で攻めてくる!


「クソがっ!!」

(息ついてる暇もねぇ!)

 龍樹さんはなんとか奴の猛攻を紙一重で防ぐが長くは持たない。その時、


「ゴフッ!」

 虎が突然血を吐いた。それと同時に奴の勢いが弱まる。


(なんだぁ? 何が起こってんだ……)

 虎は再び加速しようとするが上手くいかない。

 そう、奴は今まで血を流し過ぎたのだ。特に深い胸の傷、それは奴の想像よりも遥かに深く刻まれており、奴が動くたびに血を撒き散らしていたのだ。

 それを龍樹さんが見逃すはずがない。


(これはチャンス!)

 その瞬間、龍樹さんが一気に攻勢に出る! そして能力も全開で一気に奴を攻める! 


「クソがァァアア!!」

 龍樹さんの斧による攻撃は例え乱撃であっても人を叩き潰すには十分な威力を持っている。しかもそれを奴は腕で受け止めるしかない。

 あっという間に虎が劣勢に立たされる。


「さっきまでの威勢はどうしたぁぁああ!!」

 龍樹さんは狂ったように猛攻を浴びせる。


「ぐぎぃぃいい!!」

 虎はもはや成す術もなく防戦一方だ。


「これで終わりだ……」

 そう龍樹さんが呟いた瞬間、斧を逆手に持ち後ろに構えた!


(妖狐流斧術、三の段! )

 だがその瞬間……虎の顔に狂気的な笑顔が浮かぶ。


「ここじゃぁぁああ!!」

 次の刹那、なんと奴がまだ残っている方の腕を龍樹さんの脇腹に突き刺した!


「が……はぁっ!」

 その一撃は体の奥深くにまで突き刺さり、骨を砕いて内臓まで届いていた。そして奴が何の躊躇もなく爪を体から強引に引き抜いた。

 ズタズタになった傷口から血が噴き出る。


(これで終わりだ……)

 そうして虎の警戒が薄れた瞬間、


「妖狐流、斧術……三の段!」

 なんと龍樹さんが動き出した!


「なっ!」

 虎は何とか防ごうとするがもう間に合わない。


龍獄閃りゅうごくせんざん!!」

 その瞬間、虎を神速の斬撃が襲う! 虎も直前で武器を挟むがそれも意味を成さず、奴の身体を完膚なきまでに断ち切った!


「がはぁぁああ!!」

 奴が血を吐き、地面に倒れる。


「もう終わりだぜ」

 龍樹さんが脇腹を抱えながら奴に歩み寄る。


「どうやら……そうらしいな」

 虎は死にかけながらもどこか嬉しそうにそう言った。


「あの世で、続きやろうぜ……待ってっからよ……」

 奴はそう言い残し、静かに目を閉じた。こうして龍樹さんは一流戦闘者との戦いを制した。



 そしてこの戦闘はさらに苛烈を極めるのだ。

さて、いかがでしたでしょうか?

今回は最終決戦の龍樹版でかなり良く書けた(かな?)と思っています。次回からも1人ずつ戦闘シーンをみっちり書いていこうと思っていますので気長にお待ちください。

それではコメントや感想、評価などありましたらしていただけると嬉しいです。


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