妖狐佐々木戦争 佐々木の報復
ここは佐々木組シマ内のとある路地。そこで僕は力無く倒れていた。僕はさっき佐々木組の武闘派幹部、淺間と戦闘をした。その結果完膚なきまでに切り裂かれたのだ。
(ク、クソが……)
もはや抗う力も残っていない。
「俺相手によく粘ったな。妖狐衆の剣士」
淺間がそう言いながら刀を振り上げる。
「でもここまでだ……さらば」
そう言って冷たい鉄の塊を振り下ろす。
(ちくしょうが!!)
僕が死を覚悟したその瞬間……
「待てやコラァ!!」
どこからか巨大な両刃斧が一直線に飛んできた!
「なぁ⁈」
淺間が超反応でバックステップを踏む! そして僕と淺間の間に巨大な壁の如く立ち塞がった。僕は声のした方向に顔を向けると1人の男が飛んできた。
それは龍樹さんだ。
「大事ねぇか? 馬鹿野郎」
そう龍樹さんは静かに言う。
「は、はい……」
僕はその奥に隠された怒りを感じて申し訳なさそうになる。
すると淺間が口を開く。
「これはこれは、増援か。オメェもうちの親父殺ろうってか?」
そうして再び2本の刀を構える。
「いや、俺はコイツを回収するだけだ。じゃあ失礼するぜ」
そう言いながら龍樹さんは片手で僕を持ち上げ、肩に担いだ。しかしその次の瞬間!
「逃すかよ!!」
淺間が豪速で僕たちに向かって突っ込んでくる!
「いいや! 行かせてもらうね!」
龍樹さんはそれに反応し、斧を振りかぶる!
そして次の刹那!
「おっしゃぁあああ!!」
龍樹さんの斧が淺間の体にめり込み、豪快に吹き飛ばした!
「ぬぉおおおお!!」
すんでのところで刀を間に挟んでいたがそれでも吹き飛ばされ、淺間は壁にめり込んだ。そして龍樹さんは斧と僕を持って屋根に飛び乗った。
その瞬間僕は暴れ、腹の底から声を出す。
「淺間ぁ!! 覚えてやがれ! 次戦る時、地面に転がってんのは! テメェだ!!」
そう大声で宣言したのだ。それを聞いた淺間はそれに反応して
「やれるもんならやってみやがれ!! 今日の二の舞になるだけだぁあ!!」
そう互いに睨み合いながらこの戦いは幕を下ろした。
◆◇◆◇
そして佐々木組シマ内妖狐衆のヤサ。そこで僕は包帯ぐるぐる巻きになっていた。理由はもちろん、さっきの戦いの怪我だ。
(チクショウ……絶対に腑引き摺り出してやる……)
そうしていた矢先、龍樹さんが部屋に入ってくる。
「おい、ヨウタ」
そう話す龍樹さんの目は冷たい。
「す、すいません龍樹さん。助けていただ……」
僕がそう話そうとした瞬間、
「こんのアホが!!」
そう言って龍樹さんは僕の頬を力一杯叩いた。
「ぐっ……!!」
頬が赤く染まり口の中が切れる。
「命令もなしに勝手な行動しやがって! 挙げ句の果てに死にかけるなんて馬鹿にも程がある!!」
「……」
僕はその言葉になにも言い返せない。
「自分ならやれると思ったか? 自惚れんにも程があるわ!!」
「申し訳ございません……」
「申し訳ございませんじゃねぇよ! そんなんで済むと思ってんのか!!」
「……いえ……」
「全く……とりあえず1日でも早く怪我治せ! やらないかんことは山ほどあるぞ!!」
そう言って龍樹さんは部屋を出ていった。
(不甲斐ない……)
僕はその思いに押し潰されそうなほど悔しがった。そして心の奥で決心する。
(3日で怪我治して、その後2日で強くなる……それで奴にリベンジだ)
血が沸き立ちそうな程の怒りを抱えながら横になる。
◆◇◆◇
一方佐々木組馬車内。そこの中では既に帰路についている佐々木と淺間がいた。
「親っさん。お怪我は大丈夫ですか?」
そう話す淺間も包帯を巻いている。
「あぁ、かすり傷じゃ。問題はない」
そう言う佐々木の足には包帯が巻かれていた。そう、あの時放った弾丸が佐々木の足を掠めていたのだ。
「それなら良いのですが、申し訳ありません。怪我をさせてしまって……」
そう言う淺間は悔しさをその目に秘めている。
「いや大丈夫じゃ。それよりも……奴らに仕返しせねばのぉ……淺間」
「はい、存じております」
その声に淺間はニヤリと笑った。
「戻ったらすぐ米倉と柳を呼べ。奴らの部隊で妖狐衆本隊を狙う」
この判断は妖狐衆の面々、誰もが予想しなかったことだった。
◆◇◆◇
そうして佐々木組事務所。
「親っさん。お呼びでしょうか?」「ただいま現着でぇっす」
その組長室に現れたのは異質な雰囲気を纏った男2名。
「お前たちに指令を出す。お前たちの部隊で妖狐衆の本隊を襲撃し、被害を与えて来い」
「承知いたしました」「了解でぇっす」
この2人こそが件の米倉勝己と柳桃矢だった。
この2人は裏社会でも有名な凶暴性を持った者達だ。
米倉勝己、この男の武器は他でもないその肉体。蹴り技を主体とする武術と本能のままに戦う喧嘩スタイルを融合させ、半グレ時代からケンカは負け無しの叩き上げだ。
柳桃矢、こいつはいわば「何でもできる」。
投擲、チャカ、ナイフ、刀……相手の戦法を見抜きその場の最適解で戦う猛者。噂では爆薬が1番得意であり最後はいつも相手の顔面を爆破して終わるのだとか。
そんな佐々木組きっての狂人が動いてしまった。
◆◇◆◇
それから2日後。妖狐衆アジトには訓練中のシオンと休憩中のお頭がいた。
「アイツら……大丈夫かねぇ?」
そう呟くお頭の顔には不安が滲み出ていた。
その心配とは伍人組のことだ。既に妖狐衆本隊には伍人組の存在も知らせているのだが、これが作戦を大きく狂わせた。
当初の作戦では蛇川、赤坂、梶野、淺間を撃退し、佐々木を殺すことを目標としていた。しかし伍人組の参戦により敵の危険人物が倍以上になってしまった。こんな状況では4人倒したところで佐々木の首まで届かない。
それに敵の兵力を分散させるため佐々木組シマ内には2人ほどしか行けない。
(厄介だな……)
そうしてお頭が思案していると何かに気づく。
(なるほど……な)
そしてお頭が訓練場にいたシオンを呼び戻す。
「シオン、奴さんのお出ましだ。行くぞ!」
「はい」
その次の瞬間、2人が窓から出、屋根伝いに走り出した! そして数分後、2人が地面に降りる。
「よく来ましたね。大丸殿」「あらぁ、可愛いのいんじゃん……」
その目の前にいるのは米倉と柳。それに複数名の舎弟たち。
「……おめぇらは下がってろ。こいつらは俺たちがやる……」
そう言って米倉と柳が前に出る。
「シオン、どっちとやりたい?」
「うーん……じゃあ右の方で」
「分かった。なら俺は左だな」
そうして互いに武器を構える。
その次の瞬間、
「オラァァアア!!」「ひゃっはぁああ!!」
柳と米倉が2人に向かって走り出す!
「はぁあっ!!」
シオンが柳のナイフを受ける!
「あんたの相手は私」
「こりゃぁ嬉しいねぇ……」
そうして柳が六角手裏剣を取り出す!
「とりあえず穴空いとけばぁあ⁈」
そしてシオンの肩目掛けて突く!
「シュウ……」
だがシオンはその攻撃をもう一方の小太刀で受ける!
「なるほどなぁ……?」
その瞬間! 柳が六角手裏剣を放しナイフに持ち替える!
「オラァア!!」
「ハァアア!!」
そして凄まじい斬撃の嵐が巻き起こる! しかしシオンの攻撃は精密に柳を削っていく!
「ふんっ……」
あっという間に柳の体が血に染まる。
「なるほどなぁあ! 面白いなぁあ!!」
その瞬間柳が懐から何かを落とす。
「吹き飛べやぁあ!!」
出したのはなんと炸裂弾!
(まずい!)
危険を感じたシオンは強烈なバックステップを踏む!
次の刹那! 2人の間で強烈な爆炎が巻き起こる!
「ヒャッホォウ!!」
「くっ!」
それによって2人の間に距離ができる。
(もう一回距離を詰める!)
そうしてシオンが動こうとした瞬間、
「おおっとう!!」
柳が凄まじい速射を見せる!
「チッ!」
それによってシオンの動きが制限される。
「動かさねぇよ。遠距離戦、嫌いなんだろ?」
そう。なんとこの男、さっきの攻防でシオンの弱点を見抜いたのだ。
(この野郎……厄介だな)
その瞬間鈍く光るものがシオンの方へ真っ直ぐ飛んでくる!
「なんだ?」
それによりシオンの反応がコンマ1秒遅れる!
「チッ!」
直後シオンの頬が裂け、紅い血が噴き出る! 飛んできたのは、なんと投げナイフ。
「あららぁ、綺麗な顔が傷ついちゃった」
弾丸の中に紛れ込んだ音のない刃。それを躱すのは至難の業だ。
「このままデットエンド楽しみなよぉ!!」
そうして刃と弾丸の雨がシオンに襲いかかる!
(くっ、やりにくい!)
シオンもナイフを弾き、弾丸を避けるも戦局は一向に変わらない。
「オラオラオラァ!! どうにかしてみなよぉ!!」
それにその間に炸裂弾も混ざってきた!
(なんなのよ本当に!)
シオンが徐々に削られていく。その時、ナイフを弾くと少しばかり体勢が崩れる!
「もらったぜぇ!!」
その時、柳が何かを握りしめながら距離を詰める!
(ここ!!)
その瞬間シオンの周りの空気が一変する!
「ドライブ、1 !!」
そして小太刀を握り締め、構える!
「なんじゃぁあ⁈」
柳は戸惑うものの速度を緩めない! そして、互いの攻撃が交錯した瞬間。柳の右手が吹き飛んだ!
「……は?」
柳はなにが起きたのかわかっていない。
「ハァアア!!」
そしてシオンがその勢いのまま奴の膝下を切り取った!
「ぐがぁあああ!!」
奴はおそらく人生で味わったことのない痛みに叫び声をあげる。
「近づかなければ良かったのに。バカだね」
シオンは冷たくそう吐き捨てる。
こうしてシオンは佐々木組の狂人。柳桃矢を撃破した。
さて、いかがでしたでしょうか?
今回もなんとか出せて一安心です。前回はヨウタで今回はシオンと若手2人の戦闘を描けて良かったです。
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