第五話 密室
暗い部屋に1人の少女が気を失って横たわっていた。
ソルシャだった。
コンクリート床の冷たさで目が覚めた。
『私..なんで此処に?確か..あっそうだ!気を失って倒れたんだっけ。それで..あの誘拐犯に連れられて閉じ込められたのか?とりあえず外に行かないと』
と思い動こうとするができなかった。
足首と手首を紐でくくられていたのだ。
『紐で縛られている!?しょうがない這いずってでもいいから手前にある扉から出たいけど頑丈そうだな。..ココで役に立つとは..』
首を器用に動かしたりなんとか上手く立ってジャンプしたりしてある物を口に咥えた。
それは、いわゆる追跡装置。
1か月前にお店で売っているような安いしろものをマリアが買いコッソリと私の服に付けたのだ。
後から気づいてマリアに叱った。
マリアは、心配だから付けただけと言うが実際には私が変な男と遊んでいないかという理由だった。
ただマリアは私だけの子だとという考えがオーバー過ぎているのでそれも叱った。
まぁここまで私の事を大事に思っていたので正直嬉しかった。
これを壊すのは、もったいないと思い私が改造した。何かあった時に私がスイッチを押すと位置情報がマリアの端末に出てくるのだ。
マリアが持っている端末は、手と同じぐらいの板みたいな大きさで私が持っているスイッチのは、小さい棒みたいな形にした。
一部だけゴムの所を軽く触って押す事により位置がマリアの端末に更新される。手は縛られているので歯で噛むことにした。
『ほれをほしたら!(これを押したら!)』
ビッ!プー!プー!
音が出るのを忘れていた。
この機械は、スイッチと防犯ブザーとしての役割にも設定していたのだ。
すぐさま音を口の中に入れ音を抑えたそれと同時に扉が開いて2人の男が出てきた。
2人の男の顔を見るとバスを襲撃したあの誘拐犯だった。
今は、仮面をつけていなかった。
太い男は、見た目通りずんぐりとした顔と目にくまができていた。
細い男は、ボヤけて見たらイケメン見えると思うがよく見ると太い男とほぼ同じで目にくまができていた。流石兄弟だなぁと思った。
細い兄の方は、イライラとした態度でポケットにてを突っ込みながら歩いてきてソルシャの目の前に座った。
『お前!うるせぇぞ!クソォ〜怒られた挙句に子供のお守りなんてよぉ〜。あの蛇野郎俺らにこんな仕事させられてよぉ〜。』
『兄貴!上司にそんなこと言ったら殺されるよぉ〜。まだマシだよ。1人だけでもさらうことができたんだよ。もし..失敗したら...』
太い弟がブルブルと震えながら言った。
『わ..分かってるよ。それでなんとか身代金は、いつ届くんだ。早く金を貰って女と酒で遊びたいぜ。』
細い兄が立ち上がりながら扉から出る。
『確か?明日に届くらしいよ。』
弟が兄の後についていきドアを閉めた時に少し会話が漏れていた。
『兄貴?この人質どうするんだ。元の所に返すのか?』
『あーボスが預かって餓鬼を獲物として狩猟ごっこをやるらしい。ヤベェよな。あいつゼッテェ頭がイカれてる!』
そんな話が出てきてゾッとした。
冷や汗と涙が出てきた。
死にたくないという怖さに支配された。
『早く助けて..マリア』
小さく口を振るわせながら言った。